いよいよ、最終日となりました。昨日と同じように、朝の放送で起きて、つどいをしました。ここで登場するのが、恒例のシーツシスターズ。いつ頃からそう呼ぶようになったのか、定かではないのですが、シーツ返却係の女性スタッフが、アイドルさながら登場し、シーツの返却のお知らせをします。初日のオリエンテーションで、所員の方から説明がありましたが、最終日、もう一度、返却の仕方をみんなの前で再現してくれるのです。単に連絡の形にしないのが、僕たちの仲間です。シーツシスターズという名前のサマキャンアイドル、1年に一度結成され、今年も大活躍でした。朝食の後は、子どもたちは、劇のリハーサルです。その間、親は、子どもたちの劇の前座をつとめるため、集会室で「荒神山ののはらうた」の表現に取り組みます。話し合いのグループごとに詩を用意して、ふりつけを考え、からだ全体で表現します。緊張している子どもたちも、初めて見る親の姿にびっくりです。劇上演前の子どもたちのドキドキを同じように体験してみよう、親も自分の声や表現を磨こうと始まった親の表現活動、「荒神山ののはらうた」も、今年で18回目となりました。話し合いのグループは4つあるのに、用意した詩は3つというドジをしましたが、グーチョキパーで3つに分かれてもらい、短時間で仕上げました。この練習中の親たちの楽しそうなこと。参加回数が多くないのに、この伝統はちゃんと受け継がれています。見事に息のあったパフォーマンスを見せてくれました。

そして、いよいよ荒神山劇場のはじまりです。前座は、親のパフォーマンス。すてきなオープニングとなりました。そして、子どもたちの劇「王様を見たネコ」が始まりました。どもりながら、でも、楽しそうに参加しています。アドリブも効いています。衣装や小道具は、これまで作ってくれたものと、足りないものはスタッフの西山さんが手作りしてくれました。僕の家には、西山さんや今回参加できないけれど鈴木さんが作ってくれた衣装・小道具が、段ボールに5箱分くらいあります。荒神山劇場の後、卒業式をしました。今年は、小学4年生から連続7回参加し、今年高校3年生になった男の子が卒業でした。卒業証書を渡し、本人の挨拶、連れてきた親にも挨拶をしてもらいました。卒業証書を渡すのは、サマーキャンプに3回以上参加することが条件です。サマーキャンプと出会うのが遅く、3回に満たない高校3年生が今回もこれまでもいましたが、この原則は崩していません。
最後にサマーキャンプ初参加の人を中心に、感想を聞きました。いくつか紹介します。
・誰も知っている人がいないので、参加する前は不安や心配があったけれど、我が子がどこにいるのか分からないくらい、すぐに仲良くなっていて、安心した。
・話し合いの時間が長くとってあるので、そんなに話すことがあるのだろうかと思っていたが、それぞれ深い話ができて、勇気づけられた。
・サマーキャンプがこんなに長く続いている訳が分かった。来年も、ここに帰ってきたい。
・始まる前は不安だったけれど、子どもの声にハリがあり、普段と違っていきいきとしていた。
・同じようにどもる子どもに会いたい、それもどもる女の子に会いたいと思って参加した。いい先輩に出会えてよかった。
・子どもより親の方が不安だった。どもる子どもの親と出会えて、縁を感じた。
・去年と比べると、劇の中に入り込んで、せりふをちゃんと言っていたのがうれしかった。
・願いは一つ。伊藤さん、長生きしてください。そして、サマーキャンプを続けてください。



おまけのショータイムがありました。西山さんが、新聞紙を使った手品を披露してくれたのです。破ったはずの新聞紙が、見事つながって、すてきな笑顔の僕たちや仲間が現れました。西山さんは、元ことばの教室担当者で、退職して何年も経つのに、サマーキャンプを大切に思ってくれているスタッフのひとりです。
最後の食事をして、バスが待つこどもセンターへ移動です。迎えには行けなかったけれど、見送りはしようと思いました。参加者もスタッフも、これから、遠い自宅に帰っていきます。そして、いつもの生活が始まります。楽しいことばかりではないかもしれませんが、なんとかサバイバルしてほしいと思います。今年、初参加のサマキャン卒業生が言っていました。「嫌なことがあっても、みんながそれぞれがんばっているんだと思うと、僕もがんばろうと思った」と。そんな力を育んでくれるサマーキャンプという場。また、来年、荒神山自然の家で、「おかえりなさい」と言って、みんなを迎えたいと思います。
お疲れ様でした。日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/08/26
河瀬駅に、自然の家行きのチャーターバスを用意しました。いつもの黄色い旗が参加者を出迎えます。初参加組はドキドキしながら、リピーターは1年ぶりの再会を喜び合いながら、バスに乗り込みます。バスが到着する所は、自然の家とは少し離れています。例年、そこまで迎えに行っているのですが、今回は暑さと腰痛のため、勘弁してもらいました。
その後、参加者には部屋に入ってもらって、スタッフ会議です。今年のスタッフは、キャンセルがあって、39名。初めて顔を合わせる者もいます。学習室に集まり、簡単に自己紹介。そして、1日目の流れを確認しました。細かい説明をする時間がないので、初めて参加するスタッフは、訳が分からないままスタートするのですが、不思議なことに、それぞれに様子を見ながら、適切に動いてくれています。見事というほかない、僕たちのスタッフの力です。
参加者を紹介し、3日間生活をするグループに分かれて名札やしおりを渡し、いよいよ活動1の出会いの広場です。これは、千葉のことばの教室の教員の渡邉美穂さんが担当してくれています。初めての参加者の不安が少しでも減り、リラックスして参加できるようにと、エクササイズを工夫して進行していました。1時間ほどの間に、みんなの顔が柔らかくなり、笑い声もたくさん聞かれるようになりました。初参加者も多いのに、かなり難易度の高い表現活動も楽しくこなしている姿を見て、僕は、今年のキャンプもうまくいきそうだと思うのです。
夜8時から、スタッフによる劇の上演です。できるだけせりふを覚えてこようと伝えていたので、みんながんばって覚えてきていました。劇のあらすじをつかんでもらうことと、自分は何の役をしようかなと考えるときの参考にしたもらうこと、が目標です。ちょっと長い劇だったのですが、子どもも親も、真剣に見ていました。いい観客のおかげで、演じたスタッフも、いい感じでした。
申し込みは92名、体調不良、骨折などでの直前のキャンセルが4名で、88名の参加でした。大阪、三重など比較的近くからの参加、遠くは、沖縄、鹿児島、長崎、埼玉、東京、千葉などからも参加がありました。
その後、話し合い、事前合宿で練習したスタッフによる劇の上演で、一日目が終わりました。
今年、スタッフは39名でした。そのうちの10名がサマキャン卒業生です。キャンプ中に稽古をして、最終日に上演をする演劇のためのスタッフのための事前レッスンには、約半分が参加しました。まず、スタッフ自身が楽しんでいる、珍しいキャンプです。
例年、荒神山から帰ると、秋の気配が感じられるのですが、今年はまだまだのようです。「吃音の夏」の余韻を楽しみながら、体調を整え、「吃音の秋」を迎える準備をします。みなさん、「吃音の秋」、またご一緒いただけるとうれしいです。
自然の家に着くと、所長の西堀さん、所員の堀居さんをはじめ、自然の家のみなさんが温かく迎えてくださいました。1年ぶりの懐かしい再会でした。
今日から6月。「吃音の夏」と、僕たちが呼んでいるシーズンの到来です。
吃音親子サマーキャンプが終わって早10日経ちました。
8月18日(金)、キャンプの初日、2台の車に荷物を積み込み、荒神山に向けて出発しました。普段、僕は車の運転をするのですが、キャンプのときはどうしても睡眠不足になるため、車の運転を控え、大阪のメンバーに車を出してもらっています。高速を走っている頃、先発隊が電車で最寄り駅の河瀬駅に向かっています。自然の家に着くと、打ち合わせをはじめ、キャンプの資料集や劇の台本、スタッフの進行表の製本、シーツの配布、麦茶の用意など、参加者が到着するまでにしなければならないことがたくさんあります。打ち合わせは、僕たちがしますが、その他諸々の準備のため、先発隊が早く来てくれるようになり、本当に助かっています。

入所のつどいが終わり、36名(残念ながら直前に病気などで3人がキャンセル)のスタッフの打ち合わせをします。この日、初めて顔を合わせるスタッフも多く、自己紹介の後、少なくとも初日の分だけの打ち合わせをします。この間、待っていてもらって、全員が集合するのが開会のつどいです。
プログラムのスタートは、出会いの広場です。集会室に全員が集まり、声を出したり、ゲームをしたり、歌を歌ったり、グループに分かれてふりつけをしたり、固かった表情が柔らかく、穏やかになっていくのが見えました。
夕食の後は、第1回目の話し合いです。保護者は3グループに、子どもたちは小学校低学年と高学年、中・高校生は混合で2グループに、それぞれ分かれて、吃音について話し合いました。これまでなら、どのグループにも、リピーターがいて、その子たちが、話し合いをひっぱっていってくれていました。話したいことをいっぱい持って参加しているので、話がいつの間にか広がっていきます。初参加の子どもたちは、その輪の中にいて、自然と、他者の語りを聞くことになります。そして、いつの間にか、自分も語り出すという流れができていたのです。初参加者と二回目の参加者の多い今年はどうかなと心配でしたが、スタッフにリピーターが多いこともあって、また協力的な子どもたちが多かったこともあって、いつものような話し合いの場になっていきました。聞いてもらえるという安心感のある場で、子どもたちは、自分の本音を話していたのだろうと思います。対等性と応答性が保証されている中で、共に、不確実性への耐性を発揮していたのだろうと思います。


僕が参加していたのは、小学校5、6年生グループでした。
こうして初日のプログラムが全て終了しました。上々の滑り出しです。自然の家に到着したときの、固かった顔が、緩んでいます。
今日は、吃音親子サマーキャンプの会場である彦根市荒神山自然の家に行ってきました。