新・吃音ショートコースのホットな話題を入れたので、鹿児島行きが途中になってしまいました。でも、ことばの教室担当者向けの鹿児島県大会と、どもる子どもや保護者との吃音交流会の報告はできているので、ほぼ終わってはいるのですが。
知覧3 今日は、公式行事が終わった後の、鹿児島でのおまけの話です。

 鹿児島県の大会と、翌日の吃音交流会を終え、ほっとした僕には、鹿児島で、行きたいところがありました。6年前にも一度訪れているのですが、知覧の特攻平和会館にもう一度行ってみたいと思っていました。鹿児島に来る前、準備に忙しかったけれど、その中で、高倉健主演の「ホタル」をもう一度観ました。県大会での講演の冒頭にも、それについて触れました。
知覧1 知覧特攻平和会館に着くと、入り口前に、映画「ホタル」の記念碑がありました。
会館の中には、写真、手紙などの遺品がたくさん展示されていました。
知覧2 日本がもう負けると誰もが知っているのに、特攻隊として、敵の軍艦を目指して突っ込んでいく。無駄死にの理不尽さ、作戦の無意味さを誰もが知りながら、日本軍隊上層部に逆らえない。一度動き出したら軌道修正できない、今の日本の政治と似ていてやりきれなくなります。今回は、語り部さんの話を聞くことができました。お母さんが、特攻隊の人達のお世話をしていたという人でした。90歳を超えているお母さんも、写真に登場していました。お母さんから直接聞いた話も交えての語りは、迫力があり、話に引き込まれました。
 その後、薩摩の小京都と言われる知覧の武家屋敷を歩きました。江戸時代にタイムスリップしたかのような町並みでした。
知覧武家屋敷 
 自分自身の経験をもとに、今まで考えてきた吃音についての話をし、そこで初めて出会う人と語り合い、その土地を歩き、その土地ならではのおいしいものを食べ、なんと贅沢な時間を過ごすことができたのだろうと思います。
 知覧特攻平和会館や沖縄戦の跡地などに行くと、いつも吃音のことを思います。かつての日本教職員組合は「教え子を戦場に送るな」と平和教育に力を入れていました。僕は、ことばの教室の教師に「教え子を、吃音の戦場に送るな」と言い続けてきました。吃音は闘えば闘うほど巨大なモンスターになります。闘って勝つのではなく、吃音に負けないことが大事だと言い続けてきました。どうにもならない相手とは和解するしかありません。平和教育の大切さと、吃音がマイナスに影響されないための予防教育の大切さを、今年の夏も伝え続けます。
 
 こうして、今年の「吃音の夏」は、鹿児島から始まりました。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/06/29