伊藤伸二の吃音(どもり)相談室

「どもり」の語り部・伊藤伸二(日本吃音臨床研究会代表)が、吃音(どもり)について語ります。

渡辺貴裕

親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会、近づいてきました

 連日、猛暑、酷暑が続いています。
 僕たちが「吃音の夏」と呼ぶ大きなイベントが近づいてきました。まず、一週間後に迫っているのが、第11回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会です。
 吃音講習会は、これまで、下記のように、研修、学びを積み重ねてきました。講師の肩書きは、当時のものです。

1回 吃音否定から吃音肯定への吃音の取り組み(2012年 千葉)
    講師:浜田寿美男(奈良女子大学名誉教授)
2回 子どもとともに、ことばを紡ぎ出す(2013年 鹿児島)
    講師:高松里(九州大学留学生センター 准教授)
3回 ナラティヴ・アプローチを教育へ(2014年 金沢)
    講師:斉藤清二(富山大学保健管理センター長 教授)
4回 子どものレジリエンスを育てる(2015年 東京)
    講師:石隈利紀(筑波大学副学長・筑波大学附属学校教育局教育長)
5回 子どものレジリエンスを育てる〜ナラティヴからレジリエンスへ(2016年 愛知)
    講師:松嶋秀明(滋賀県立大学人間文化学部人間関係学科教授)
6回 ともに育む哲学的対話 子どものレジリエンスを育てる(2017年 大阪)
    講師:石隈利紀(東京成徳大学教授 筑波大学名誉教授)
7回 どもる子どもとの対話 子どものレジリエンスを育てる(2018年 千葉)
8回 どもる子どもとの対話〜子どものレジリエンスを育てる〜(2019年 三重)
9回 対話っていいね〜対話をすすめる7つの視点〜(2022年 千葉)
    健康生成論、レジリエンス、ナラティヴ・アプローチ、ポジティブ心理学、オープンダイアローグ、当事者研究、PTG(心的外傷後成長)
10回 どもる子どもが幸せに生きるために〜7つの視点の活用〜(2023年 愛知)
    健康生成論、レジリエンス、ナラティヴ・アプローチ、ポジティブ心理学、オープンダイアローグ、当事者研究、PTG(心的外傷後成長) 


 そして今年、第11回は、やってみての気づきと対話〜どもる子どもが幸せに生きるために、ことばの教室でできること〜をテーマに、教育方法学、教師教育学が専門の東京学芸大学教職大学院准教授の渡辺貴裕さんを講師に迎えます。渡辺さんは、演劇的手法を用いた学習の可能性を現場の教員と共に探究する「学びの空間研究会」を主宰されています。
 昨年の講習会では、子どもとの対話をすすめる教材として、「吃音カルタ」「言語関係図」「吃音チェックリスト」の3つを紹介し、それらの実践交流の場にしました。
 今年は、それら教材の実践を取り上げ、子どもと一緒に学び合う活動にどうつなげていくか、もう一歩すすんだ実践を参加者みんなで探ります。
 渡辺貴裕ワークショップでは、ことばの教室の実際の授業を参加者で経験し、その授業を講師の渡辺さんと参加者で振り返るようなことも考えています。従来の授業検討会とは違って、自分自身も授業で行われたことを実際にやってみること、新たな気づきを得ることを目指します。「吃音カルタ」「言語関係図」「吃音チェックリスト」などの実際の授業が体験できます。例えば、「学習・どもりカルタ」は持っているけれど、それをどう活用したらいいのか、よく分からないという方には、実践に直結する研修になるでしょう。
 昨年、参加していなくても大丈夫です。初めてことばの教室担当になった人も、長年経験している人も、基本的なことを丁寧に押さえながら、ゆっくりすすめていきますので、どうぞ、安心して、ご参加ください。
 これまで積み重ねてきたことを踏まえ、新たな視点で、子どもたちとの時間を振り返ります。吃音の新しい展望を、共に探っていく研修会になればと願っています。
 開催日ぎりぎりまで申し込みを受け付けています。
 日本吃音臨床研究会のホームページから、吃音講習会のホームページを検索し、参加申込書をダウンロードして、郵送していただくか、メールに添付して送信してください。
郵送   〒260-0003 千葉市中央区鶴沢町21-1  千葉市立鶴沢小学校 黒田明志
メール  Mail:kituon-kosyukai@live.jp
 吃音講習会のホームページは、これまでの講習会の報告、大会要項に載せた資料などをご覧いただけます。講師からの貴重な提案、ことばの教室の実践報告、どもる子どもや大人の声など、日々の指導の参考になる資料が満載です。
 なお、吃音講習会に関する問い合わせは、日本吃音臨床研究会まで。
           TEL/FAX 072−820−8244
           〒572−0850 大阪府寝屋川市打上高塚町1−2−1526

日本吃音臨床研究会のホームページ https://www.kituonkenkyu.org 

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/07/21

第11回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会

 梅雨入り前に猛暑日を記録するなど、異常気象が続いていますが、紫陽花が雨に映える季節を過ぎると、いよいよ「吃音の夏」がスタートします。
 「吃音の夏」のスタートは、7月27・28日、千葉県教育会館での、第11回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会です。

 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会は、今年で11回目となります。水町俊郎さんや村瀬忍さんたちと一緒に始めた吃音講習会は、水町さんがお亡くなりになって、4回で終わりました。そのときの吃音講習会を、シリーズ1とすると、その8年後にシリーズ2が始まり、それが今年、第11回となります。
 今年は、久しぶりに講師を迎えます。教育方法学、教師教育学が専門の東京学芸大学教職大学院准教授の渡辺貴裕さんです。ことばの教室の実際の授業を参加者で経験し、その授業を講師の渡辺さんと参加者で振り返ります。従来の授業検討会とは違って、自分自身も授業で行われたことを実際にやってみること、新たな気づきを得ることを目指します。
 吃音講習会のテーマは、『やってみての気づきと対話〜どもる子どもが幸せに生きるために、ことばの教室でできること〜』としました。「吃音カルタ」「言語関係図」「吃音チェックリスト」などの実際の授業が体験できます。「学習・どもりカルタ」は持っているけれど、それをどう活用したらいいのか、よく分からないという方には、実践に直結する研修になるでしょう。
 吃音の新しい展望を、ぜひ一緒に探っていきましょう。

  

  日時     2024年7月27・28日(土・日)
  会場     千葉県教育会館
  参加費    6,000円(当日、受付でお支払いください)
  参加申し込み 参加申込書に必要事項をご記入の上、郵送またはメールで
  問い合わせ  日本吃音臨床研究会 伊藤伸二まで TEL/FAX 072-820-8244


 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会の詳細は、日本吃音臨床研究会のホームページでみることができます。《ニュース&トピックス》の中の、詳しい案内と参加申し込み書をクリックしてください。また、トップページを少し下にスクロールしていただくと、【親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会】の青色のマークが出てきますので、そこをクリックしていただくと、これまでの吃音講習会の様子など、見ることができます。
 みなさんのご参加、お待ちしています。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/06/16

第33回吃音親子サマーキャンプ、開催します

33回目を迎える吃音親子サマーキャンプのご案内

サマキャンの写真 ワークブック表紙 10% 今日から6月。「吃音の夏」と、僕たちが呼んでいるシーズンの到来です。
 吃音親子サマーキャンプは、今年、33回目を迎えます。
 ひとりで吃音に悩んでいたとき、同じようにどもる仲間に出会えた喜びは、何にも代えがたいものでした。その仲間といっぱい話し、いっぱい聞き、新しい価値観に出会い、僕もがんばってみようと行動を変えるきっかけをもらいました。もっと小さい頃に、子どもの頃に出会えていたら、そう思って、どもる子どもたちのためのサマーキャンプをしようと、吃音親子サマーキャンプを始めました。たくさんのどもる子どもたちに出会いました。連れてきてくれた保護者、手弁当でかけつけてくれたどもる大人やことばの教室担当者や言語聴覚士などの臨床家、大勢の力が 集まって、吃音親子サマーキャンプは、33年の歴史を重ねてきました。
 僕たちのキャンプの3つの大きな特徴は、吃音についての話し合いと、声や表現のレッスンのための演劇の練習と上演、そして親の学習会です。スタッフによる事前合宿も、演劇を担当してくださる渡辺貴裕さんのスケジュールに合わせて行います。若いスタッフが参加してくれます。

  あなたはひとりではない
  あなたはあなたのままでいい
  あなたには力がある

 このことを伝えたくて、続けてきました。

 今年の日程は、次のとおりです。
  日時 2024年8月16・17・18日
       16日13時から18日13時まで
  場所 滋賀県彦根市荒神山自然の家
  参加費 17000円(どもる子どもと大人も同額)   
同行のきょうだい 14000円
  内容  吃音についての話し合い
      ことばに向き合うための劇の練習と上演
      親の学習会

 詳しい案内と参加にあたっての注意事項、申し込み書等は、もうしばらくお待ちください。ホームページに掲載します。
 取り急ぎ、日程と場所をお知らせしました。
 みなさんのご参加をお待ちしています。
  
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/06/01

2024年度がスタートします〜第7回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会(第一次案内)

 今日から4月。新年度、2024年度が始まりました。学校も、新学期に向けて準備が進んでいることでしょう。新しいクラスでの新しい出会いに対する不安と、必ずどもって言えなかった自己紹介を考えて不安だった僕は、この3月から4月にかけての早春は、嫌いな季節でした。長い間、そんな思いを抱えてこの季節を迎えていましたが、いつの頃からか、新しいことが始まるこの季節が好きになっていきました。
 今まで諦めていたことにもう一度挑戦してみようかなと思えたり、新しい出会いにわくわくしたり、スタート、リスタートが切れるこの季節のこと、今では大好きです。
 さて、日本吃音臨床研究会も、2024年度のスタートです。日本吃音臨床研究会の3つの大きなイベントは下記のとおりです。

第11回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会
  7月27・28日 千葉県 千葉県教育会館
第33回吃音親子サマーキャンプ
8月16・17・18日 滋賀県・彦根市の荒神山自然の家
第7回新・吃音ショートコース
  10月12・13日 大阪府寝屋川市


第11回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会
 やってみての気づきと対話 
   〜どもる子どもが幸せに生きるために、ことばの教室でできること〜


顧問 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
             上席総括研究員/研究企画部長 牧野泰美
主催 吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会

 昨年は子どもとの対話をすすめる教材として、「吃音カルタ」「言語関係図」「吃音チェックリスト」の3つを紹介し、それらの実践交流の場にしました。
 今年は、それら教材の実践を取り上げ、子どもと一緒に学び合う活動にどうつなげていくか、もう一歩すすんだ実践を参加者みんなで探ります。そのために、久しぶりに講師を迎えます。
 教育方法学、教師教育学が専門の東京学芸大学教職大学院准教授の渡辺貴裕さんです。渡辺さんは、演劇的手法を用いた学習の可能性を現場の教員と共に探究する「学びの空間研究会」を主宰されています。
 渡辺貴裕ワークショップでは、ことばの教室の実際の授業を参加者で経験し、その授業を講師の渡辺さんと参加者で振り返ります。従来の授業検討会とは違って、自分自身も授業で行われたことを実際にやってみること、新たな気づきを得ることを目指します。「吃音カルタ」「言語関係図」「吃音チェックリスト」などの実際の授業が体験できます。例えば、「学習・どもりカルタ」は持っているけれど、それをどう活用したらいいのか、よく分からないという方には、実践に直結する研修になるでしょう。
 昨年、参加していなくても大丈夫です。初めてことばの教室担当になった人も、長年経験している人も、基本的なことを丁寧に押さえながら、ゆっくりすすめていきます。どうぞ、安心して、ご参加ください。
 吃音の新しい展望を、共に探っていく研修会になればと願っています。
 皆さんの参加を心よりお待ちしています。
         (大会実行委員長 千葉市立松ヶ丘小学校ことばの教室 渡邉美穂)
   
日時 2024年7月27日(土)9:20〜20:00
      7月28日(日)9:20〜16:30
会場 千葉県教育会館 千葉県千葉市中央区中央4丁目13−10
    最寄り駅 JR「千葉」駅から徒歩20分、京成「京成千葉中央」駅から徒歩12分
参加費 6,000円(当日、受付でお支払いください)
講師 渡辺貴裕(東京学芸大学教職大学院准教授)
※詳しいプログラムや申し込み先・申し込み方法等については、6月上旬、日本吃音臨床研究会のホームページ等で案内します。


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/04/01

第32回吃音親子サマーキャンプ(8月18日から20日)、スタッフのための演劇の事前レッスン、終わりました

 猛暑となった3連休の初めの土日、大阪市内の銀山寺で、吃音親子サマーキャンプのはじめの一歩が始まりました。サマーキャンプで子どもたちと取り組む芝居の練習を、まずスタッフが事前に合宿で行うものです。
 演出家の竹内敏晴さんが、どもる子どもたちのために書き下ろしてくださっていた脚本をもとに、竹内さんが亡くなってからは、学生の頃から、サマーキャンプに関わってくれている渡辺貴裕・東京学芸大学教職員大学院准教授が後を引き継いでくれています。
事前レッスン1 渡辺さんは、自分の専門性を生かし、演劇を仕上げるということではなく、そこに至るプロセスを重視し、子どもたちと取り組めるエクササイズをたくさん紹介してくれます。スタッフはいつも、本番、子どもたちと取り組む姿を想像しながら楽しみにしています。
 この事前レッスン、コロナの影響で、今年、4年ぶりに行いました。会場である銀山寺の住職も、「久しぶりに開催でき、よかったですね」と喜んでくださいました。
大阪在住が中心ですが、遠く千葉、東京、埼玉、静岡、山口、三重などから、20人が集まりました。その中には、事前レッスンに参加するのは初めてだという人が、5人もいました。
 2019年の夏以来、4年ぶりの事前レッスンは、からだを揺らし、声を出し、少しずつ、感覚を取り戻しながら、いつもの空間に変わっていきました。
事前レッスン2 台本が配られ、それぞれいろいろな役を交代しながら、物語をたどっていきました。歌がたくさんあって、登場人物も多くて、楽しい演劇の世界に浸りました。
 レッスンが終わったその日に投稿された、渡辺貴裕さんのFacebookを、渡辺さんの許可を得て紹介します。

 
2023年7月16日 渡辺貴裕さんのフェイスブックより
 吃音親子サマーキャンプ(日本吃音臨床研究会主催)の事前合宿、大阪・銀山寺、終了。
マルシャーク「森は生きている」を故・竹内敏晴さんがアレンジした脚本を使って劇づくりを行ったわけだが、私は、芝居の演出にとどまらず、スタッフが子どもと劇の練習をするときに楽しめるようなプチワークを多く取り入れるようにしている(このあたりの詳細は、石黒広昭編『街に出る劇場』所収の拙稿をどうぞ)。たいていは、その場で思いついたちょっとした遊びだ。
 「女王」と「博士」の日常、つまり、まだ子どもで気まぐれ・わがままな「女王」と、何かにつけて勉強につなげてくるうっとうしい「博士」との短いシーンをペアでつくる。たかだか2分ほどの準備時間で、「セミがうるさい。全部鳴き止ませなさい!」と命じる女王から、女王の「なんでこんなに暑いの」に「今は一年のうち太陽が最も高い時期で…」と自然科学的解説を始める博士まで、笑いで沸く発表が多数出てくるあたり、さすが大阪か(参加者は千葉やら静岡やら山口やらいろいろだけど)。
 林光の有名な「燃えろ〜燃えろ〜あざやかに」の曲に着想を得て、呼びかけの遊び。3〜4人にほのお役で座ってもらい、周りを取り囲む人は、自分が応援したいほのお(いわば「推し」)を決めて、「燃えろ〜燃えろ〜」と呼びかける。ほのお役のほうは、自分が応援されたと感じたら燃え上がり、逆だったら消沈する。それで、自分の「推し」を燃え上がらせる。これぞまさに「推し、燃ゆ」だ!と自分ではかなりツボったのだが、残念ながら他のスタッフには多分通じていなかった。こうしたちょっとした遊びを通じて、人物を掘り下げたり、声をしっかり届ける練習をしたり。
 キャンプ本体でも、劇の完成度うんぬんよりも、こんなふうに虚構の世界を楽しむこと、そこでしっかり人とかかわることを、大事にしたい。


事前レッスン3事前レッスン4 毎年、この事前レッスンから、吃音親子サマーキャンプが始まるのを実感します。子どもたちとどんな時間・空間を共有できるのか、とても楽しみです。
 参加を迷っている方、まだ間に合います。一緒に空間を楽しみましょう。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/07/18

吃音親子サマーキャンプ、会場の荒神山自然の家で打ち合わせしてきました

サマキャンの写真  7% 今日は、吃音親子サマーキャンプの会場である彦根市荒神山自然の家に行ってきました。
 サマーキャンプ開催1ヶ月前に行う打ち合わせのためです。雨を心配していましたが、出発のときは曇りで、途中、小雨が降りましたが、無事、荒神山自然の家に到着しました。着くと、所長の西堀さんが「お待ちしていました」と、にこやかに出迎えてくださいました。西堀さんは所員としてお世話になり、何年か前から所長としてお世話になっています。また、吃音親子サマーキャンプのことや僕たちのことをよく知っていてくださる堀居さんも、今日はお休みとのことですが、所員としていてくださることがわかり、安心です。変わらぬ温かい出迎えを受け、ほっとしました。
 打ち合わせは、活動プログラムに沿って行いましたが、学校の林間学校と違って、人数の確定が難しく、今年も今の段階では、全然参加人数が読めません。開催2週間前には確定することになっています。
 打ち合わせを担当してくださった方が、「昨日は、雷がすごかったんですよ」とおっしゃっていました。雷といえば、10年くらい前のキャンプのとき、天気が急変して、荒神山へのウォークラリーの途中でものすごい雨が降ってきたことがありました。別プログラム参加で、自然の家に残っていた人が車を出し、山に登ったみんなを迎えに行ってもらったことがありました。今では、笑い話になりますが、あのときは、もしものことがあったら…と思うと、気が気ではありませんでした。
 荒神山自然の家で、吃音親子サマーキャンプを開催するのは、1998年、第9回目からでした。あれから、25年、所員のどなたよりも、僕たちの方が、自然の家を知っているというか、古くから使わせてもらっています。吃音親子サマーキャンプといえば、荒神山です。
 ここでは、僕たちは、「吃音さん」と呼ばれています。「吃音さん」と、吃音に「さん」をつけて呼んでくださるのも、荒神山自然の家だけです。
 吃音親子サマーキャンプにまつわるたくさんのエピソードがあります。いつか、そんな話も、このブログでできたらいいなあと思います。

 今年の吃音親子サマーキャンプは、下記の日程です。
 どもる大人と、ことばの教室担当者や言語聴覚士が協同で行う、吃音親子サマーキャンプ。吃音についての話し合いと、自分の声やことばに向き合う演劇の練習と上演、親の学習会が主なプログラムです。学童期、思春期に、しっかりと吃音に、自分に、向き合うことの大切さを思います。
 今週末は、合宿で、プログラムの柱のひとつである演劇の事前レッスンを行います。
 キャンプ当日稽古をして、最終日にみんなの前で上演しますが、そのために、スタッフが事前に合宿でレッスンをするのです。遠くから交通費を使って多くの人が合宿に参加してくれます。その事前レッスンの指導は、東京学芸大学大学院准教授の渡辺貴裕さんです。今年の劇は、渡辺さんが「森は生きている」を選んでくれました。竹内敏晴さんの作・演出の作品です。コロナのために、この合宿による事前レッスンは4年ぶり。それを楽しみに全国から仲間が集まってきます。いよいよ吃音の夏の本番、間近です。
 32回という歴史あるこのキャンプに、どうぞ、ご参加下さい。お待ちしています。

日程 2023年8月18・19・20日
会場 滋賀県 彦根市荒神山自然の家(最寄り駅 河瀬駅) 
参加費 17,000円(大人も子どもも同額)
 詳しくは、日本吃音臨床研究会のホームページをご覧ください。お電話で問い合わせていただいても構いません。
  TEL 072−820−8244
荒神山 写真 渡辺さん
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/07/13

吃音親子サマーキャンプを終えて〜東京学芸大学教職大学院准教授・渡辺貴裕さんから見たサマーキャンプ〜 2

 昨日に引き続き、渡辺貴裕さんの、今度はNoteに投稿されたものを、許可を得て紹介します。
 文面から、子どもたちの話をよく聞いてくださっているのが分かります。それも、その子が小学校低学年の頃からずっと継続して参加してくださっているので、長いスパンでのかかわりとなります。話し合いや演劇の練習は、それぞれグループに分かれて行うので、自分自身が担当している所以外の様子が分かりません。こうして、言語化、文字化していただくことはとてもありがたいです。2年前に卒業するはずだった男の子の話です。吃音のことを考える上で、また、人と人とのかかわりやコミュニケーションのことを考える上で、大切なことが含まれていると思います。

吃音の高校生、撮り直し可のプレゼン動画提出と一発勝負の対面面接、どちらを選ぶ?

 第31回吃音親子サマーキャンプにスタッフとして参加してきた

 「吃音とともに豊かに生きる」ことを掲げる日本吃音臨床研究会(代表:伊藤伸二)が主催する行事だ。

 このキャンプには、学生のときからもうかれこれ20回以上参加してきた。昨年・一昨年はコロナ禍のため中止。今年も、開催するかの判断はギリギリのところだったが、なんとか再開にこぎつけた。

 滋賀県彦根市の荒神山自然の家に、全国から、どもる子どもたちと、そのきょうだいと、その親、スタッフ(どもる大人やことばの教室の教師、言語聴覚士など)が集まり、2泊3日でみっちりと吃音と向き合う。
 子どもたちは、吃音について話し合いをしたり作文を書いたり、劇の練習と発表をしたり、山に登ったり。親も、話し合いと学習会とプチ表現活動がある。
 スタッフは、何かをしてあげたり教えたりするような存在ではない。たしかに話し合いのファシリテートや劇の練習のリードはするが、スタッフも一参加者としてここに(同じ参加費を払って)学びに来ている。伊藤伸二さんが大事にする「対等性」。伊藤さん含め、誰に対しても「先生」呼びはしない。
 今年もなんとか活動の柱は変えずに、約80名の参加者ら(例年より小規模)と共に、3日間のプログラムを実施することができた。

 さて、そんなキャンプで、今回一つ印象に残ったこと。
 小学生のときからの参加者で、無事AO入試で第一志望に合格して、大学生となって今回のキャンプに来ていた男の子の話。

 そのAO入試、元々は対面での面接が予定されていたのが、コロナ禍の影響で、15分間のプレゼン動画の提出になったらしい。どもりまくって内容が飛んだりで撮り直してを繰り返して、結局、彼は動画の作成に丸2日間かかった。最終的にもたくさんどもった動画だったが、中身に関しては、やりきったと思えるもの、自分が出せるものを出し尽くしたと思えるものになったらしい。そして無事合格。達成感を得たという。

 そんな彼に、気になったことがあって聞いてみた。

 動画提出なら、思いっきりどもったとしても何度でも撮り直すことができるわけだけれど、それと、元々予定されていた対面での一発勝負での面接、もしどちらか選ぶならどっちを選ぶ?

 彼は即答した。

 
絶対面接です。


 撮り直すことでより整ったものを出せる選択肢があったとしても、彼はそれよりも、一発勝負の対面面接を選ぶという。彼はこう言う。

 
相手の反応を見ながら、「ここもうちょっと話したほうがいいかな」とか調整して話すことができる。相手なしでカメラとマイクに向かってしゃべるのはしんどい。「もう一回」とかしていると、よけいどもって、ドツボにハマっていく。


 んー、まあ、彼は元々人に積極的にかかわっていくほうだしなと思って、大学生&高校生グループの話し合いのときに、他の子たちにも聞いてみたら、「私も対面がいいです」だった。
 理由は同じ。「相手に合わせてしゃべるほうがしゃべりやすい」。

 キャンプに何度も来ていて自身の吃音を一定受け入れている子たちだからなのか、あるいはこれが一般的傾向なのかは分からない。
 が、これは、第三者による勘違いを招きやすいポイントでもあるのかなと思う。
 つまり、「どもる人たちは、できるだけどもらずにしゃべる姿を見てもらえるほうがよいだろうから、撮り直しがきく動画作成と提出のほうを好むだろう」といった一方的な思い込みだ。場合によっては、それを「合理的配慮」とさえ呼ぶかもしれない。

 けれども、少なくとも今回来ていた子たちは、たとえやり直しはきかなくても、人と直接しゃべることができるほうを選んだ(そもそもそのほうが楽にしゃべれる、一人でカメラに向かってしゃべるとめっちゃどもる、というのもあるようだが)。

 ことばは人から人への働きかけだ。
 望ましいとされる型に近づけてしゃべれるようにすることがゴールでは決してない。
 このことを忘れて、教師や専門家は、ただ見かけ上のなめらかさをよしとしたりそこを目指させたりしてしまってはいないか。
 あらためてそんなことを考えさせてくれる出来事だった。

【補足 
 一つ前の2019年の第30回キャンプを朝日新聞に取り上げられたときの記事。このときには、まさかその後2年間、感染症の流行のためにキャンプが開けなくなるなんて、思ってもみなかった。

吃音の子 ありのままの君で 親子キャンプ30回目:朝日新聞デジタル
 吃音(きつおん)を隠さなくてもいいんだよ、そんな子どもを丸ごと受け止めようよ―。言葉をうまく出せない子どもとその親が全国から集う年一回のキャンプが30回目を迎えた。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14160633.html?iref=pc_ss_date_article

【補足◆
workbook cover『親、教師、言語聴覚士が使える、吃音ワークブック』(解放出版社)。吃音と共に生きていく子どもを支えるための1冊。キャンプの話も登場する。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/28

吃音親子サマーキャンプを終えて〜東京学芸大学教職大学院准教授・渡辺貴裕さんから見たサマーキャンプ

 大学生のときから吃音親子サマーキャンプに参加してくれている渡辺貴裕さんのFace bookの記事を紹介します。渡辺さんは、吃音との接点はなかったそうですが、僕たちが大阪で開催していた、竹内敏晴さんの「からだとことばのレッスン」への参加がきっかけで、学生時代からキャンプに参加するようになり、今に至っています。
 僕たちの良き理解者であり、大切にしている表現活動・演劇の担当をしてくださっています。長年、竹内敏晴さんが脚本を執筆し、事前レッスンとして合宿で演出してくださっていました。その竹内さんが亡くなり、さて、吃音親子サマーキャンプの大きな柱である劇の稽古と上演のプログラムをどうしようと思っていたとき、「引き継ぎましょう」と言ってくれました。以来、僕たちの演劇活動を支えてくださっています。
 渡辺さんの許可を得て、渡辺さんの書かれた、吃音親子サマーキャンプの報告をそのまま紹介します。

第31回吃音親子サマーキャンプにスタッフとして参加してきた
荒神山 写真 渡辺さん
 滋賀県彦根市の荒神山自然の家で開かれる2泊3日のこのキャンプには、学生のときから毎年もう20回以上参加してきたのだが、去年・一昨年はコロナ禍のため中止になっていた。
 今年も、開催できるどうかスレスレのところだった。が、主催者の伊藤伸二さんが「行動制限が出されない限り実施」という方針を固め、開催。3日間、どもる子どもたちやそのきょうだいとその親、スタッフ(どもる大人やことばの教室の教師、言語聴覚士など)が集まり、吃音について話し合いをしたり、作文を書いたり、劇の練習と発表をしたり、山に登ったりする。親は学習会がある。
 劇は、今年は、スタッフの事前合宿もできなかったため難しいんじゃないか、となっていたのを、開始10日ほど前の打ち合わせで急遽実施する方向になった。
 そんなわけで、大枠ではほぼ例年通りの内容だ。参加者は少し少なめの約80名。
 初日のスタッフ顔合わせのミーティングで、キャンプ卒業生であり今は理学療法士をしているスタッフが、
 「3年ぶりなんで、ここに来られるだけで泣きそうなんですけど」
と言っていた。
 私は彼が小学生のときから知っていて、どもりまくりながら(正確には、難発でなかなか声が出てこないなか)真っ直ぐにセリフを届けようとする姿、普段学校の友達とはできないような吃音に関する話を同年代の仲間らとしてきた姿を知っている。参加者としても、大学生以降のスタッフとしても、キャンプを大事に思ってきたことを知っている。そんな彼の率直な言葉が私の胸にも刺さる。
 また、私自身、3年ぶりの再会、3年ぶりのこの場にグッとくる。
 休止前、高校生で「医者を目指します」と言っていた女の子が、1浪のあと無事医学部に合格して勉学に励んでいた。小さい頃からキャンプに参加して生き物が大好きだった男の子が大学生になって海洋学部に入っていた。それぞれ、入試のときの面接やら入学後のプレゼンやら苦労もしているが、吃音と共にしなやかに生きている。
 そして、キャンプは、私自身、素の自分でいられる場だ。「大学の先生」うんぬん関係なく、気楽に子どもとも親ともスタッフともかかわれる。その心地よさ。キャンプ自体、伊藤さんの方針で「対等性」を大事にしていて、「スタッフが何かをしてあげる場」ではないことに価値を置いているのだが、そのなかで過ごすことで、自分の大元に立ち戻れる気がする。
 私が自身の専門としても「評価する−される」「助言する−される」とは異なる関係性での実践を通しての学びや対話を追究していることの原点の一つは、この吃音親子サマーキャンプにある。
 キャンプは、全員が1日2回の検温をしたが、一人の発熱者も出ることなく、無事終了。
 他にもいろいろと書きたいことはあるが、ひとまずはこれで。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/27
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