「えー、私、落語家の桂かい枝と申します。以前、桂文福兄さんのご紹介で、一度、天満天神繁昌亭でお目にかかったことがございます。その後も、「卒業証書」を演じさせてもらっていますが、今度、3月28日の朝なんですけど、神戸の喜楽館でやらせてもらうことになりました。読売新聞の方から、いろんな取材が入ることになり、伊藤さんにも、ご意見をうかがえたらということになりました。また、ご相談の連絡をさせてもらいます。急にお電話をして、失礼しました」こんな留守番電話が入っていたのは、2026年月3月4日の午後4時過ぎでした。ゆっくりとした、聞き取りやすい、明瞭な声です。落語特有のリズムでしょうか、なんともいえない温かい優しい声でした。僕は留守にしがちなので、留守番電話によく録音が入ります。そのほとんどが早口で、相手が電話番号を言ってくれても、聞き取れたことはほとんどありません。そのような聞き取りにくい留守番電話をとることが多いので、さすが噺家さんだと思いました。
翌日、家にいるときに再度電話があり、同じ内容の電話を直接、かい枝さんから受けました。
落語の演目「卒業証書」を初めて聞いたのは、2023年10月13日でした。かい枝さんが演じられました。桂文福さんから連絡があり、天満天神繁昌亭に出向きました。出番前に、文福さんに案内されて、楽屋に行き、そこで、演芸作家の石山悦子さんや、その日の演者であるかい枝さんを紹介していただきました。石山さんが文福さんの話を聞いて、この「卒業証書」の落語を作られました。吃音のために不登校になっている担任の先生を、どもる父親をもつ生徒が訪ねるところから始まる「卒業証書」ですが、ネガティヴなお話ではなく、心温まる、そしてちゃんと最後はオチのある、すてきな物語になっています。
このときのことは、2023年10月14・15・16日のブログに、3回連続で書いています。
その後、吃音の話の提供者である桂文福さん演じる「卒業証書」も聞きました。
その「卒業証書」、かい枝さんの話にもあったように、今度、3月28日(土)午前10時から、神戸新開地の喜楽館で行われます。ご都合が合えば、ぜひ、お出かけください。
ほろりとさせ、そして、温かい、物語の世界に、ご一緒しませんか。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/03/07
今日は、2月3日で、節分です。
本堂の中でお経をあげて豆まきをした人たちが、舞台に登場しました。今度は、見ている僕たちの方へ豆をまいてくれます。豆をまく人のことを、年齢に関係なく、男女に関係なく、「年男」と呼ぶのだと、住職さんが話しておられました。文福さんの姿もちらっと見えます。朝ドラの俳優さんたちも見えます。この光景は、毎年、ニュースで見るあの光景です。
ここでは「鬼は外」は言わず、「福は内」だけを言うのだと、これも、住職さんが言っていました。早くから来て、前の方に陣取っていた人たちは、紙袋を広げ、豆をゲットしていました。文福さんの写真を撮ろうと試みますが、あまりに人が多く、映るのは、前にいる人の頭やスマホばかりでした。それでも、帰るときの小さな後ろ姿を撮って、文福さんに送りました。すぐ、返信が来て、もう30年以上、年男として豆まきをしているとのことでした。
まかれた豆は、僕たちのいる後ろの方には飛んできませんでしたが、ずらーっと並んだ先で、福豆をいただきました。
演芸作家である石山悦子さんとの出会いは、新作落語「卒業証書」でした。桂文福さんを取材し、文福さんの体験をもとに、石山さんが作った「卒業証書」。桂かい枝さんが演じるということを知らせていただき、天満天神繁昌亭に行ったのは、2023年のことでした。楽屋で、文福さんやかい枝さん、石山さんともお会いすることができました。
この落語会は、第3回・第4回上方落語台本大賞発表落語会で、2020年、2021年と、コロナのために2度取りやめになり、一旦は永久中止が決まったそうです。でも、あきらめきれなかった作者たちが立ち上げたお披露目会だったのです。いただいた、あいさつ文の中に、こう、書かれています。
おまけ。10人にプレゼントが当たる抽選があり、まさかの当選。このようなことに当たったことなど一度もないのですが。額に入った、サイン入りの今回の落語会の案内チラシです。「こいつぁ、春から縁起がいいい」は、まだ続いているようです。
3月31日(月)、大阪天満宮の近くにある、天満天神繁昌亭の夜席は、文福一座の恩返し寄席でした。その日は、文福さんの72歳の誕生日でもありました。これまで長く落語家として続けることができたお礼にと、文福さんは、これまで縁のあった地域を訪ねて、落語会を開くことを企画しました。名付けて、「文福恩返し寄席」です。
翌日すぐに、文福さんからLINEがありました。僕たちとの縁もとても大切に思ってくれている文福さんです。ありがたいおつき合いに感謝しています。


昨日、箕面市に行ってきました。第38回みのお市民人権フォーラムがあり、その全体会の記念講演が、桂文福さんと桂福点さんの人権落語二人会だったからです。文福さんから、招待券を送ってもらっていました。
福点さんの後は、文福さんの登場です。
そして、最後は、にぎやかに、人権音頭でしめくくりました。午後1時半から始まった全体会が終わったのは、午後5時前。予定時刻をオーバーしての熱演でした。落語会では、よく終わったら、出口に立って、参加者を見送ってくれる文福さんですが、まさか今日はそれはないだうと思っていましたが、会場を出ると、にぎやかな声が聞こえます。文福さんが、福点さんと一緒に参加者を見送ってくれていました。ここで、記念の写真を撮りました。最後まで、あったかい文福さんでした。
外は冬に突入したように、寒い風が吹いていましたが、温かい気持ちになって、帰りました。
昨日のつづきです。
繁昌亭から出て、絶対に会うことのない、僕の車のディーラーの担当の人に声をかけられました。「えーっ、なんで?」とびっくりしました。落語作家の石山悦子さんを間接的に知っていて、自分も趣味で落語の台本を書いて応募しているというのです。彼が話しかけてくれたお陰で、再び文福さんや出演者のみなさんに会うことができました。そうでなければそのまま繁昌亭を後にしているところでした。しばらく立ち話をしていたおかげで、文福さん、桂かく枝さん、石山悦子さん楽屋から出てこられ、最後にもう一度、お話することができました。本当に不思議な縁を思います。
新作落語が3つ披露されるのですが、共通のテーマは、「実は実話のストーリー」。つまり、空想や想像ではなく、実際に起こった話、実話に基づいた落語だということです。
演目は、案内チラシには書いてありません。落語のタイトルはあるはずなんでしょうが、僕たちが見落としたのか、結局、最後まで演目を知らないままでした。受付のところに張り出してあったのかもしれませんが。
当日券を購入するため、早く天満天神繁昌亭に着くと、主催が繁昌亭ではないので、開場時間の午後6時にならないと買えないとのことでした。せっかく早く来たのにと思い、企画会社に電話してみました。そのとき、電話対応してくださった人が、かなりどもっている人でした。どもってはいても、何の問題もなく、席は押さえておくので5時半頃に来てほしいとのことでした。吃音をテーマにした落語を聞こうと思ってきたら、どもる人が電話口に出てきた、何かおもしろいことになりそうな予感がしてきました。
開場まで時間があるので、天満天神繁昌亭近くの喫茶店で、夕食をとろうと入りました。店の名前は「喫茶ケルン」、見覚えのある文福さんの絵が看板になっています。中に入ると、落語家さんや落語を聞きに来た芸人や著名人の色紙がずらりと並んでいます。写真もたくさん飾られていました。入り口近くの席に座り、人気のカレーを食べていると、ドアの向こうに、見たことのあるような人影が…。文福さんでした。
落語が始まる前から、不思議な立ち上がりに、ワクワクしてきました。肝心の落語の内容は、また明日。