静岡のキャンプのつづきです。
1日目が終わる直前、僕だけ少し早めに静岡から三島へ、箱根鉄道で大仁温泉に向かいました。大仁温泉は、確か、かつて私が好きだった巨人の長島茂雄が自主トレをしていたところだったなあと思いながら、行きました。やはり、ホテルには、現役時代の長島、そしてこの温泉でトレーニングをしているところの写真が大きく飾られていました。すでに到着していた人たちと合流し、食事をしてから、どもる子どもの保護者との話し合いがありました。
その場には、保護者だけでなく、子どもがいたので、主催者側が子どもは別の部屋で話し合うなり、遊ぶなりしていましょうかと言ったのですが、僕は、これはいい機会だと考えて、保護者も子どもも一緒に同席して、話し合うことにしました。
基本的に、僕は、子どもの思いを親が知るのと同じように、親の思いを子どもが知っておいた方がいいと思っています。親の子どもへの思いや不安、いい面も悪い面も含めて、親も子どもも吃音についての思いを共有しておいた方がいいと思っているのです。
一般的には、親は親同志、子どもは子ども同士の話し合いが多く、僕たちがしている吃音親子サマーキャンプでも、子どもは子ども、親は親で、グループを作り、話し合いをします。時間がないので、親と子が同席しての話し合いの設定はできないのですが、それができたらいいなあとはずっと思っていたので、今回、図らずも、そういう場になったので、保護者、子ども同席のまま、話し合いを進めることにしました。
保護者からの質問を受けて、その質問に答えるなどの話をすすめていきましたが、その一区切りが終わったところで、子どもがその話を聞いてどう思ったかの感想を言ってもらいました。
今、精神医療の世界で注目されているオープンダイアローグは、当事者、家族、友人と精神医療の専門グループが対等の立場で話し合うことを基本にしています。吃音についても、そのようなことをしていきたいなあと考えていましたので、静岡のキャンプの経験はとてもありがたいことでした。おそらく親にとっても、子どもにとっても、いい時間だったのではないかなと自己満足をしているのです。
翌日の10月1日は、以前から話を聞いていて、行きたかった吉岡正会長の畑へみんなで移動しました。
吉岡さんは、静岡でのこれまでのキャンプにはずっと参加して下さっていて、定年後、している畑の話をよくして下さっていました。また、僕が野菜が好きだということを知っているので、収穫した大根やキャベツなどをどっさりと毎年送って下さってもいます。一度その畑に行きたいとの僕の願いを、今回、実現してくれました。
親子で畑で野菜を収穫し、それを保護者が子どもと一緒に調理をし、バーベキューをしました。子どもが火をおこしたり、野菜を切ったり、準備をしてのバーベキューはおいしいだけでなく、とても楽しいものでした。これまでとは一味も二味も違う静岡のキャンプになりました。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2017.12.31