ラジオドラマのうれしい数々の受賞と、再放送
吃音の夏が終わり、朝晩は涼しくなりました。
暑い夏が長く続き、一気に冬になる、そんな季節の移り変わりを最近よくみてきたように思います。いつだったか、立川志の輔の落語を聞きに行ったとき、残暑が厳しかったその年のことを、「この暑さ、大晦日まで続くんじゃないでしょうかね」なんて枕に使っていたことを思い出します。でも、今年はしっかりと秋を味わうことができそうです。
今年の3月の終わり、吃音をテーマにしたラジオドラマのことをこのブログで紹介しました。「5拍子の福音」というタイトルでした。プロデューサーの方から連絡をいただき、シナリオの段階から、少し関わった作品でした。僕たちの意見を取り上げていただき、シナリオに反映させてもらいました。声優さんにもお会いし、どもり方を事前に見せてもらい、少しだけアドバイスしました。映像のない、ただ声と音と効果音だけで、世界を表現することの奥深さを初めて見た貴重な体験でした。
その「5拍子の福音」は、その後、毎日テレビの「マンスリーレポート」でとりあげられ、制作の裏側を知ることになりました。
大阪吃音教室の4月8日の開講式では、その「マンスリーレポート」を見てから、「5拍子の福音」を聞き、みんなでその感想を言うという講座を持ちました。
大阪だけでなく、神戸スタタリングプロジェクトでも、その取り組みは、行われました。
とても印象に残る「5拍子の福音」は、僕たちだけでなく、ラジオドラマのジャンルで、かなり高い評価をしていただいたそうです。
最初に連絡していただいたプロデューサーの方からは、その後、折に触れ、連絡をいただいていました。
6月には、放送文化の質的な向上を狙って設立された放送批評懇談会という放送業界において権威ある団体が表彰する「ギャラクシー賞」の2016年度ラジオ部門の入賞作品に「5拍子の福音」が選ばれました。2016年度に放送されたラジオ番組の中から、上位8本が選ばれるのですが、その8本の中に入ったということです。6月1日の夜、大阪への帰りの新幹線の中から、選奨になったとの連絡を受けました。弾むようなメールをいただき、僕たちも心弾む思いでした。
そして、民間放送連盟賞のラジオエンターテインメント部門、近畿地区の最優秀作品賞を受賞。続いて、各地区の作品を集めた中央選考会では、優秀賞と決定したそうです。
作っては消えていく世界だということは、ある意味、仕方のないことだと思っていましたが、意外なことに、こうして余韻を楽しむことができ、関わった僕たちにとっても、印象深い、心に残る作品になりました。
プロデューサーから、再放送の連絡をいただきました。文化庁芸術祭に出品するとのことで、急遽再放送となったそうです。
10月4日、19:00〜20:00です。毎日ラジオ放送なので、どの地域の方にも視聴していただけないのかもしれませんが、rajiko.jpという媒体では、聞くことができると聞いたように思います。地域限定のお知らせになってしまいますが、ぜひ、お聞き下さい。ひと味違う吃音の世界の豊かさを味わっていただけると思います。
日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2017/09/26