大勢の人との出会いのありがたさ
6月2日、鹿児島での県難聴言語障害の研究大会で講演をし、翌3日は学習会をし、元気に大阪へ帰ってきて、4日の夜に喉の奥が痛くなって、緊急入院したけれど、無事退院したというブログを書きましたが、その後、全く更新できないまま、7月も下旬になってしまいました。
その後、喉の痛みは全くなく、日程を変更してもらった言語聴覚士養成の専門学校の4日間の講義、追手門学院大学の心理学科の学生300人への講演、大阪でのどもる子どもの親・臨床家のための吃音相談会、東京と大阪で開かれた国重浩一さんのナラティヴ・セラピー研修会の4日間への参加など、予定どおりのスケジュールをこなしています。
ただ、10日間の入院は、体調の戻りに時間もかかり、その後の準備にかなり響いてきて、予定どおりに進んでいなくて、ばたばたとしています。
その間、「スタタリング・ナウ」の7月号の編集があり、金子書房からの原稿依頼もありました。金子書房からの依頼は、「児童心理」10月号臨時増刊の原稿でした。
『児童心理』2017年10月号臨時増刊
特集:子どもの困ったクセ(仮題)
●心理的背景をもつクセ解消のための援助と治療
■論考タイトル:専門家による心理的な援助−事例を基にして
・集団療法(自助グループ、キャンプ、合宿等から一つ)による援助
「吃音とクセ」という、これまでに全く書いたことがない視点から、吃音をとらえての執筆でした。僕としては、おもしろいものが書けたと思っています。10月頃には、店頭に並ぶと思いますので、よかったらお読み下さい。その原稿を先日送ったので、いよいよ、「吃音の夏」に向けての本格的な準備に入りました。
7月19日には、第28回目となる吃音親子サマーキャンプの会場である滋賀県の彦根市荒神山自然の家に打ち合わせに行ってきました。荒神山自然の家を使わせてもらうのは、20回を超えていると思います。今、いらっしゃる所員の誰よりも古くから自然の家を知っていることになります。
そして、今週末は、そのサマーキャンプの大事なプログラムである芝居の練習を合宿で行います。吃音とは全く関係のない渡辺貴裕・東京学芸大学准教授が、竹内敏晴さんの跡を継いで芝居の構成・演出をして下さっています。全国から手弁当で集まってきてくれる23人のスタッフと一緒に、芝居の練習をします。サマーキャンプは、ここから始まります。
27・28日は、全国難聴言語障害教育研究協議会全国大会・近畿大会が大阪で開催されます。僕は、そこで、吃音の講習会と分科会の両方のコーディネーターをします。講習会には105名、分科会にも92名の参加申し込みがあると聞きました。
29・30日は、第6回吃音講習会があります。それにも、90名を近い人が参加して下さいます。「子どもと育む哲学的対話」というタイトルで、対話の大切さについて、みんなで考えます。第4回に引き続いて、石隈利紀・元筑波大学副学長が、特別講師として来て下さいます。
8月3日には、山形県で県の言語障害研究大会が開催され、僕はそこで、講演をします。翌日は山形市のことばの教室で、どもる子どもの保護者やことばの教室の教師との出会いがあります。これは、第4回の吃音講習会に参加して下さった山形のひとりのことばの教室の先生の尽力により、実現しました。
一週間の間に、400名近いどもる子どもの保護者、ことばの教室の担当者、言語聴覚士の方と出会うことになります。とても楽しみになってきました。
ナラティヴ・アプローチをベースに、哲学的対話、レジリエンス、オープンダイアローグ、ネガティヴ・ケイパビリティなどから考えた吃音について話してきます。吃音のおかげで、いろんなことを学ぶことができ、たくさんの人と出会えること、吃音のありがたさを思わずにはいられません。丁寧に説明し、真摯に対話を続け、新しい出会いを楽しみたいと思います。体調も戻ってきましたので、また、報告します。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/07/21