国立特別支援教育総合研究所での吃音の講義
今年で何回になるのでしょうか。たぶん、20回以上は講師として呼んでいただいていると思います。
神奈川県久里浜にある、国立特別支援教育総合研究所での吃音の講義が、2月28日(火)に終わりました。大学や研究所など公的な機関に所属しているわけでもないも民間人の僕が、こうして毎年呼んでいただいて丸一日の吃音の話ができることは、本当にありがたいことだと感謝しています。
今年も、9名の受講生と、膝をつき合わせてということばがふさわしいくらい、じかに、話をさせてもらいました。少人数だからこそできることです。
昔は系統立てて自分が話したい、伝えたい話をしていたのですが、最近は、講演会でも質問を出してもらい、それに答えながら、僕が伝えたい大切なことを散りばめて話すというスタイルに変わってきました。
20年以上続いているわけですから、話す内容も大きく変化しています。基本的な「吃音を否定しないでほしい」「吃音を治す、改善をめざさなくても、吃音は日常生活の中で、どんどん話していけば自然に変化する」「吃音そのものではなく、吃音から受けるマイナスの影響にアプローチする」などは、話の中で必ず触れますが、それは質問がやはり、それらのことに関連してくるからです。
かつては、自分の体験、セルフヘルプグループや吃音親子サマーキャンプの意義などが話の中心で、僕が出演したNHKの番組や、TBSの番組、キャンプの映像などを見てもらっていたのですが、その時間がまったくとれない程に質問があり、結局90分4コマの講義時間を全て、質問に答えるようになりました。
そのため、それをカバーするために、かつての講演記録やニュースレターを配布資料として用意します。資料はかなりの分量になりますが、研修が終わった後、ゆっくりと読んでもらえればと思って、できるだけの資料を用意します。
話の内容も、アサーション、論理療法、交流分析、認知行動療法なとが中心だったのが、最近は、ナラティヴ・アプローチをベースに、レジリエンス、当事者研究などへと変わっていき、今年はオープンダイアローグを紹介ししつつ、子どもとの、哲学的対話の必要性を話しました。毎年変わっていくこと、常に変化していくことに喜びを感じています。
今年の受講生は、青森、茨城、群馬、埼玉、千葉、京都、岡山から、3月までの短期研修生として、来ています。吃音に関する講義は、僕のほかにいくつもあるので、それらとまったく違う内容に、初めは受講生も驚き、とまどうようです。でも、話をしていくうちに、だんだんと僕の話を理解して下さいます。
ひとつの質問に対して長い答えになることがあります。これには、あのときの僕の体験を、あの人のあの体験をと、たくさんのどもる人の顔が浮かびます。僕の答えの背景には、これまで出会ったたくさんの、どもりながら豊かに生きている人たちが存在します。僕は、その人たちの代弁者として、語り部として、伝えていくことが僕に与えられた使命だと、最近は思うようになりました。
講義を終えた後の、受講生との写真です。牧野泰美さんも一緒です。
このときの受講生が、地元に帰り、そこで実践を続けながら、僕を講師に呼んでくれるなど、つながっていくこともこれまでありました。島根スタタリングフォーラムが始まったのも、この受講生とのつながりですし、昨年末に行った埼玉県越谷市での研修もそうでした。小さな輪が広がっていくことがとてもありがたいことです。
どんな小さな集まりでも、辻説法を続けていきたい、それが今の僕の願いです。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/03/03
今年で何回になるのでしょうか。たぶん、20回以上は講師として呼んでいただいていると思います。
神奈川県久里浜にある、国立特別支援教育総合研究所での吃音の講義が、2月28日(火)に終わりました。大学や研究所など公的な機関に所属しているわけでもないも民間人の僕が、こうして毎年呼んでいただいて丸一日の吃音の話ができることは、本当にありがたいことだと感謝しています。
今年も、9名の受講生と、膝をつき合わせてということばがふさわしいくらい、じかに、話をさせてもらいました。少人数だからこそできることです。
昔は系統立てて自分が話したい、伝えたい話をしていたのですが、最近は、講演会でも質問を出してもらい、それに答えながら、僕が伝えたい大切なことを散りばめて話すというスタイルに変わってきました。
20年以上続いているわけですから、話す内容も大きく変化しています。基本的な「吃音を否定しないでほしい」「吃音を治す、改善をめざさなくても、吃音は日常生活の中で、どんどん話していけば自然に変化する」「吃音そのものではなく、吃音から受けるマイナスの影響にアプローチする」などは、話の中で必ず触れますが、それは質問がやはり、それらのことに関連してくるからです。
かつては、自分の体験、セルフヘルプグループや吃音親子サマーキャンプの意義などが話の中心で、僕が出演したNHKの番組や、TBSの番組、キャンプの映像などを見てもらっていたのですが、その時間がまったくとれない程に質問があり、結局90分4コマの講義時間を全て、質問に答えるようになりました。
そのため、それをカバーするために、かつての講演記録やニュースレターを配布資料として用意します。資料はかなりの分量になりますが、研修が終わった後、ゆっくりと読んでもらえればと思って、できるだけの資料を用意します。
話の内容も、アサーション、論理療法、交流分析、認知行動療法なとが中心だったのが、最近は、ナラティヴ・アプローチをベースに、レジリエンス、当事者研究などへと変わっていき、今年はオープンダイアローグを紹介ししつつ、子どもとの、哲学的対話の必要性を話しました。毎年変わっていくこと、常に変化していくことに喜びを感じています。
今年の受講生は、青森、茨城、群馬、埼玉、千葉、京都、岡山から、3月までの短期研修生として、来ています。吃音に関する講義は、僕のほかにいくつもあるので、それらとまったく違う内容に、初めは受講生も驚き、とまどうようです。でも、話をしていくうちに、だんだんと僕の話を理解して下さいます。
ひとつの質問に対して長い答えになることがあります。これには、あのときの僕の体験を、あの人のあの体験をと、たくさんのどもる人の顔が浮かびます。僕の答えの背景には、これまで出会ったたくさんの、どもりながら豊かに生きている人たちが存在します。僕は、その人たちの代弁者として、語り部として、伝えていくことが僕に与えられた使命だと、最近は思うようになりました。
講義を終えた後の、受講生との写真です。牧野泰美さんも一緒です。
このときの受講生が、地元に帰り、そこで実践を続けながら、僕を講師に呼んでくれるなど、つながっていくこともこれまでありました。島根スタタリングフォーラムが始まったのも、この受講生とのつながりですし、昨年末に行った埼玉県越谷市での研修もそうでした。小さな輪が広がっていくことがとてもありがたいことです。
どんな小さな集まりでも、辻説法を続けていきたい、それが今の僕の願いです。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/03/03