ブログの更新ができずにいました。なかなか書けないので、私たちの仲間に送った報告で、私的な部分が多いのですが、それもブログの良さかとも思い、そのまま使わせていただきます。
 今後、ぼちぼちとまた更新していきますので、よろしくお願いします。

先週の土日、23・24日のサマ−キャンプの劇の取り組みのための、芝居のレッスンから始まった夏の吃音ロード。総勢21名が参加し、今年のサマーキャンプのお芝居の練習をしました。

25・26日の月曜日、火曜日は、横浜で教員向け研修と2つの小学校での子ども・保護者向けワークショップでした。
横浜での研修は昨年12月に続いてのもので、土井さんや瀬川さんのおかげで実現したものです。たくさん資料を用意し、パワーポイントのスライドも60枚作り、今一番伝えたいことを話してきました。
夏風邪をこじらせたのか、声が出ず、それがかえってソフトに聞こえたようです。子どもや保護者向けのワークショップは楽しかったです。

27日の水曜日に、島根県・出雲に向け出発しました。横には、通路をはさんで1席と2席の合計3席、縦に12列の定員40人に満たない小さな飛行機は満席でした。宍道湖に突っ込むんじゃないかと思わせるような着陸時のスリルを味わい、無事、島根の地に着きました。出雲市駅に行ったところで、松江市在住の佐々木和子さんと偶然に会うことができ、なんだかほっとしました。

今回の発表者の千葉市の黒田明志さんも水曜日に島根に着いていて、発表の無事成功をお願いに、まず出雲大社に行ったそうです。「前日に観光するなんて余裕じゃん」という声もありましたが。

ホテルで、偶然に、昔、吃音親子サマーキャンプにもよく参加して下さっていた、三重県津市のことばの教室の教師、小島玉子さんに久しぶりにお会いしました。お連れ合いと一緒に、キャンピングカーで来ておられました。東日本大震災の復興支援で、何度も被災地を訪れ、お連れ合いの津軽三味線と玉子さんの尺八で演奏会をずっと続けておられるそうです。

28日、木曜日、全国難聴・言語障害教育研究協議会全国大会・島根大会が始まりました。佐々木和子さんと一緒に書籍販売の準備をしていると、たくさん仲間や知り合いが集まってきてくれます。今回の実行委員長の佐々本茂さん、きっとお疲れだろうと思うのですが、責任を果たすべく、会場全体を細やかに見ておられたのが印象的でした。

千葉から渡邉美穂さん、鹿児島から溝上茂樹さん、大阪から桑田省吾さん、神奈川から特別支援教育総合研究所の牧野泰美さん、いつもの顔ぶれが集まると、本当に安心し、元気になります。

1日目は、シンポジウムと記念講演。シンポジウムには、牧野さんが登場。「暮らし」をキーワードに実践を続けてこられた島根県ならではの発言が続きました。この「暮らし」は、私たちにとっても大切なことばであり、どもりながら、どもりとともに、豊かに生きるのは、言語訓練室ではなく、まさに日常生活であり、「暮らし」なのです。

僕の体調は、引き続きあまりよくなかったのですが、島根に来て、まるで第二の故郷のように温かく迎えていただき、だんだん元気になっていきました。
分科会のコーディネーターの資料を用意できずに島根入りしましたが、初日の午前中に、ふと、やはり必要だと思い返し、パワーポイントの24枚の資料を作り上げました。コンビニで参加者90名のコピーをと思い、複合機にUSBメモリーを挿入したところ、肝心のパワーポイントが開けなくて大会事務局に相談しました。ここはやはり、長いつきあいがあり、安心できる人たちが、大会実行委員の中心人物なので融通がききました。実行委員長の佐々本さんや長く島根のことばの教室のリーダーをしている安部満明さんのおかげで、印刷していただけ、配布することができました。吃音分科会のコーディネーターとしての講評のまとめの話が30分弱あったので、パワーポイントをもとに話して正解でした。

夜は、交流会。石見神楽が迫力満点でした。退治した大蛇の前で記念撮影しました。初めて出会った人との交流にもなり、大いに盛り上がりました。

その一方、懇親会への来年開催予定の近畿地区ブロック大阪大会関係者からの参加者がゼロで、毎年行われている次期開催地の歓迎の挨拶がなかったのは残念でした。全難言事務局長とともに、神戸の桑田省吾さんが壇上に上がり、挨拶をしていました。
 
二次会は、桑田さん、中西ユキさん、溝上さん、渡邉さん、黒田さん、佐々木さん、伊藤、溝口の8人で、島根のおいしいものを食べて、翌日の分科会へ向けての英気を養いました。
重要なことが、このような場で決定されていくのは、これまでもたくさんありましたが、今回も、来年の講習会について、会場は、大阪か神戸。日程は、全国大会の後の土日。実行委員長は桑田さん。そこまで、一気に決まりました。みんなの気分は、高揚していました。

29日、吃音分科会です。吃音分科会への参加が一番多く、事前申し込みで84名、当日参加もあり、活気に満ちていました。
トップバッターは、岡山市の石井小学校。3人のチームワークで、どもる子どもたちの日常生活を丁寧に支援されている実践を発表して下さいました。「教育現場だからこそできること」というタイトルが、医療モデルとして捉え、どもる子どもたちを支援対象である弱い存在にしたい人たちとは対極であることを表していました。発表者の一人、築山道代さんは、岡山の吃音キャンプでも長いおつきあいのある方です。

二番目が、黒田明志さん。前日に島根に入り、出雲大社でお参りし、島根のおいしいものを食べ、そこで得た安心感、居心地の良さをまず伝え、自分の実践発表に移りました。ほかの発表者が、発表原稿を読み上げているのに対して、原稿は作ったものの読み上げることはせず、参加者の方を見ながら、自分のことばで伝える姿は、吃音プロジェクトに受け継がれているすてきな伝統であり、力強いメッセージとなりました。
周りの「前置きがちょっと長いんじゃないの」という心配をよそに、本人はとても気持ちよさそうに発表していました。
コーディネーターとしては、大切なことを伝えてほしいとの思いがあったので、「発表時間は、25分だよ」と、思わずメモを発表者の机に置きました。

レジリエンス、ナラティヴ、当事者研究など、新しいことばに惹かれながらも、参加者は、難しそうという引き気味のところもあったようです。これは想定内のことであり、まずは興味をもってもらい、実は、これは新しいようで、これまで実践してきたことに、ひとつの尺度なり概念なり、キーワードをつけたものなのだということを、僕の講評の中で伝え、できるだけ身近なものとしてとらえていただけるよう、解説しました。

発表25分、協議50分、講評10分という制限の中で、最大限流動的に進行し、参加者と共に作り上げる伊藤伸二の分科会のスタイルを目指しました。

午後は、開催地島根から、中学校の実践の発表でした。中学校に通級指導教室が多くあるのが島根県の特徴のひとつです。「島根スタタリングフォーラム」の参加者でもある中学生男子の変容の姿が、素朴な語り口の中から現れてきました。

まとめの短い時間に、前日の午前中に作ったパワーポイントで作った資料をもとに、一気に話し、定刻通り、分科会を終了しました。

 分科会会場に特設した書籍販売も、好調でした。黒田さんが発表の中で、自分がした当事者研究について、「詳しくはこの本の中に…」と言って『吃音と当事者研究』の本を見せながら紹介してくれたので、かなり効いたようです。黒田さんが、買って下さった方から「サインして下さい」と頼まれていたのが、おもしろかったです。

島根大会は無事終わりました。
大会後の、松江の町の観光など、番外編は、後日に。


日曜日の夜、大阪に戻りました。
サマキャンの申し込みが届いていました。講習会の参加者も増えているようです。
そして、いよいよ8月。
吃音の夏は、続きます。


日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016年8月3日