伊藤伸二の吃音(どもり)相談室

「どもり」の語り部・伊藤伸二(日本吃音臨床研究会代表)が、吃音(どもり)について語ります。

2016年04月

吃音のドキュメンタリー映画 試写会に43名参加

上映会4

上映会3

上映会2

上映会1

 今月号の大阪の機関紙「新生」担当の藤岡さんは、その様子をこう書いている。
 
 この映画がこれから日本でどのように上映されていくのかわからないため、何としても試写会で観たかった。ポートランドの自然豊かな風景と静かで心地いい音楽、マイケルの穏やかな語りに心が癒され、80分があっという間だった。毎年恒例の「どもりカルタ」の講座で「世界中 どこかで誰かがどもってる」という内容の読み札に時々出会う。私は一人で悩んでいた時、どもりで悩んでいるのは自分一人なのではないかと、深い闇の中にいた。

 大阪吃音教室でたくさんの仲間に出会った時、私は決して一人ではないことにとても大きな勇気をもらった。映画の中で(ポートランドの)セルフヘルプグループの例会でも同じようなことが話されていた。同じ国籍であっても価値観や考え方は様々だけど、国籍を超えて同じテーマで同じような価値観を持つ人がいることに心から勇気づけられた。私もいつか、世界のどもる人とどもりについて語ってみたいと思っていた。

 2016年度の大阪吃音教室が開講した。今年度最初の講座は開講式と映画の試写会。先月号で紹介した、進士和恵さんの翻訳と井上詠治さんの字幕作成によって、この映画の日本語版が実現した。

 今のところ日本での上映も予定されていないため、この試写会を逃すと次はいつ観られるのかわからない。マイケルの好意により、この日の参加者には無料で上映可能ということだった。この日の参加者は43人。例会のスタートから少し遅れて会場に入った時にはすでに満席だった。映画館ではないため座席に傾斜もなく、字幕を見るために、参加者の4分の1ほどは立ち見となった。

 80分の上映が終わると会場は大きな拍手に包まれ、伊藤伸二さんのリードで参加者が感想を述べた。
(藤岡)

 私の感想を含めて、参加者の感想を次回に紹介します。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/04/17

世界大会に先駆けて、日本で初上映

 
 吃音のドキュメンタリー映画

 2016年度の大阪吃音教室は明日開講日です。
 その日は、映画の上映会です。日本語の字幕をつけるという、大変な作業を日本吃音臨床研究会の国際部長の進士和恵さんがして下さいました。大阪吃音教室の様子もでてきます。楽しみです。

THE WAY WE TALK
監督 : Michael Turner(マイケル・ターナー)
報告 : 川益彦

 2013年12月6日(金)、大阪吃音教室にアメリカからマイケル・ターナーと奥さんのアリッサがやってきた。僕がマイケルから最初の連絡を受け取ったのは同じ年の5月。アメリカ、オレゴン州ポートランドのどもる人のセルフヘルプグループに所属するマイケルは、吃音をテーマとするドキュメンタリー映画を撮っていた。きっかけは、マイケルだけでなく両親、弟、祖父がどもりで、家族の歴史を通してどもりで苦しんでいるにもかかわらず、マイケルがどもりについてほとんど知らないことに気づいたからである。それからマイケルは、セルフヘルプグループの仲間やスピーチセラピスト、遺伝子の研究者、アメリカのサマーキャンプでどもる子どもたちとの出会い、また新婚旅行を兼ねて日本まで伊藤伸二さんに会いに来るというプロセスを経てどもりを徐々に受け入れていった。

 12月3日に大阪駅のホテルのレストランで初めて会ったマイケルとアリッサは、いかにもバックパッカー風なシャイでとても親しみやすい感じだった。彼らが吃音に真剣に向き合っているのもよく分かった。三日後、彼らを車に乗せて應典院に向かい、吃音教室が始まる1時間半前に伊藤さんへのインタビューが始まった。進士和恵さんの通訳で、伊藤さんのインタビューは順調に進んだ。この映画では、伊藤さんの話に真剣に聴き入るマイケルの表情が写っている。その後の大阪吃音教室の例会は、伊藤さんとマイケルの対談が中心だった。その時の様子は、吃音教室のメンバーもしっかり映画に記録されている。
今回、進士和恵さんが大学の授業で学生の協力も得て字幕の英訳を完成し、OSPの井上詠治さんが映画に字幕をつけるという繊細で地道な作業を一人で完成させた。この二人のおかげで私たちは簡単に内容を理解することができるようになった。お二人の大変な努力に改めて感謝したい。

この映画は既にアメリカでは3月だけでもカリフォルニアはじめニューヨーク大学など7ヶ所で上映される。今年7月にアメリカのアトランタで開催される国際吃音連盟の第11回世界吃音大会での上映も決まっている。間違いなく今回の世界大会のハイライトとなるだろう。また海外ではチェコでプラハをはじめ30都市以上で公開されていて、近い将来、世界中の多くのどもる人が見ることになるだろう。
数日前、マイケルから進士和恵さんにメールが来た。そのメールは、この映画のアメリカでの評判が書かれていた。「アメリカでは映画を見た人達の中で、伊藤さんと川崎さんそして大阪吃音教室の場面が人気があります。伊藤さんの吃音に対する考え方や川崎さんの対処法が他とは違っていて新鮮だからです。これらが映画の重要な部分となっていて、映画を見た人たちの間で大きな話題となっています。皆さんに改めて感謝です」。
マイケルとの出会い、そしてマイケルがこの映画を製作してくれたこと、進士さんと井上さんの努力で字幕が完成したこと、偶然も含めたすべての出来事に感謝し、一人でも多くの日本のどもる人がこの映画を見てくれることを願う。

日本初試写会 案内  2016年4月8日(金)  大阪吃音教室

  (以下の映画の解説は、“THE WAY WE TALK”オフィシャルホームページから)
 “THE WAY WE TALK”『私たちの話し方』は、吃音が一人の人間にどのような影響を与えるか、治ることがなく遺伝的要素もある吃音との折り合いを見つけるまでの旅を記した自伝映画である。監督のマイケル・ターナーは自身だけでなく、両親、弟、祖父もどもり、吃音は家族の歴史に縦糸のように織り込まれている。間もなく父親となるマイケルは自分自身に問う。「もし将来子どもがどもりだしたら、僕はどうするだろう?子どもに何と言えばいいのだろう?」
 物語は、個人の記憶から始まり、どもる人のサポートグループ、スピーチセラピー、新婚旅行で日本へ出かけ、そこで出会った革新的な考えを持つ伊藤伸二さんへと進んでいく。そこには驚くような新事実や治療法は出てこない。ただ吃音を受け入れていく様子が淡々と描かれている。人生が苦しければ吃音も苦しい。人生が楽しければ吃音も楽しくなる。マイケルにとって吃音は人生に欠くことの出来ない存在である。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/04/07

誠実な人物を表現するには、吃音がいい

 風に立つライオン


 4月に入って、ブログを再開しましたので、本当はずいぶん前に書く予定だったものも、少しタイムリーではなくなるのですが、書いていこうと思います。

 2月14日、その日は東京で日本家族療法学会の研修会がありました。僕がこれまでナラティヴ・アプローチについて学ぶ中で、お世話になっている、小森康永先生の基礎講座がありました。これまでも、学会のワークショップに参加しているので、とても楽しみにしていました。

 ところがその日は、春一番の大荒れの天候で、ANAが早く欠航を決定していたのですが、予約していた、JALは飛ぶ予定になっています。台風並の強風が吹き荒れていたので、飛ぶかどうか心配だったのですが、欠航が決定していないので、とりあえず伊丹空港まで行きました。欠航を決定すれは、新幹線で行くこともできたのに…。待っていると、「名古屋中部空港で下りるか、伊丹に引き返す可能性がある」というアナウンスです。このいい加減な対応に振り回され、しばらく伊丹空港にいたために、それから新幹線に変更したのでは、結局、午後を過ぎてから会場に着くことになるので、今回は学会参加をあきらめました。

 
 ぽっかりと空いた時間、かねてより映画館で見るつもりでいたのが、どうしても時間の都合がつかず見逃してしまった映画を家で観ました。「風に立つライオン」です。
 さだまさしのファンということはないのですが、「風に立つライオン」だけは好きなのです。さだまさし作曲のこの曲に出会ったのは、もう28年前くらいでしょうか。アメージンググレイスの曲と彼の詞とがマッチして、心に深く残る曲となりました。

 アフリカで医療活動を行ってきた実在の医師・柴田紘一郎さんの経験を基に、さだまさしさんがまず歌にして、その後小説になったもので、歌に惚れ込んだ主演の大沢たかおさんの熱意で、三池崇史監督で映画化されたものです。歌から30年近く経ち、小説化、映画化へと進んだものです。長崎・五島列島のロケに始まり、アフリカ・ケニアでも1カ月以上大規模なロケを敢行しました。歌とともに、心打たれる映画でした。

 主人公の子ども時代をふりかえって級友たちが語る場面がありました。「彼には吃音があって、…」。
 小説を読んでいないので、まさか吃音がでてくるとは思わなかったので、びっくりしました。どもっている映像も流れました。クラスで合唱をすることになって、ソロの部分に立候補がなく、彼が手を挙げ、見事、ソロを歌い上げ、それから吃音は目立たなくなったとの表現でした。

 主人公の、誠実なアフリカでの医療活動、その行動力の奥に、吃音がどのように影響したのかは分かりませんし、実際、柴田紘一郎医師が子どもの頃どもっていたのかどうかはわかりません。しかし、誠実な人の子ども時代の描写に吃音がでてきたのは、うれしいことでした。

 登場人物に吃音が描かれるとき、おっちょこちょいであったり、神経質であったりしますが、もうひとつ、時々でてくるのが、誠実な人物を描くときです。どもる人が主人公でなくても、重要な役でなくても、ちょっとしたシーンに、どもる人がどんどん出てきてほしいなあと思いました。

 「風に立つライオン」歌も、映画も僕は好きです。


 参加できなかった学会でしたが、ありがたいことに、小森先生は、当日のスライド、配付資料を送って下さいました。うれしいことでした。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/04/05

ブログ再開は、花見の報告から。


 花見2

花見1

 少しは時間がとれるようになると思うので、できる限りブログは更新したい。何度、書いたことでしょうか。なかなか暇にはならず、相変わらず時間に追われています。ふって沸いたように出てきた、「吃音は発達障害」「発達障害者支援法に吃音が入った」ことなど、吃音をとりまく状況は変化しています。

 長い時間をかけてやっとたどりついた、吃音のネガティヴな物語から、吃音肯定の物語。大阪吃音教室や、吃音親子サマーキャンプの子どもたちや、「吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会」のことばの教室の教師や言語聴覚士はとまどい、強い違和感を持っています。どもる人のセルフヘルプグループである、大阪スタタリングプロジェクトのメンバーも、話し合い、それぞれの思いを文章にしました。

 それらの僕たちのつぶやきを、今後発信していこうと思います。

 今日は大阪は雨ですが、昨日の大阪城公園での花見はなんとか持ちこたえました。
 大阪スタタリングプロジェクトの例会である、大阪吃音教室は、僕たちは世界一のミーティングだと自負しています。まあ僕は世界大会に何度も参加して、世界のグループの実際のミーティングの話や、映像をみているから比較ができるのですが、アメリカから一昨年参加して、ドキュメンタリー映画を作った、マイケルさんも、質の高さに驚いていました。その映画に僕たちの例会シーンが出てきます。

 毎週の例会は多い時で35名ほど、通常は25名前後が参加する、とても活発な例会です。それに加えて、吃音親子サマーキャンプなどに取り組んでいるのですが、新たに、若い人たちが、レクリエーション実行委員会を立ち上げてくれました。これまでハイキングや宿泊レクを、鈴木永弘さんがひとりで取り組んでくれていましたが、そのレク活動を9人のレク実行委員会のメンバーが担ってくれることになりました。昨日の花見が、実行委員会形式のレクの第一回でした。

 席とり競争の激しい大阪城公園の西の丸庭園、大阪城をバックに満開の桜の木の下という抜群のロケーションの席をとるために、始発電車で行ってくれたそうです。ブルーシートを敷いて、みんなが集まるまで、結構な時間、待っていてくれたようです。そこまでしなくてもと思う反面、その意気込みには、ほほえましくも、ありがたくもあります。おかげで、最高の場所で、33名が参加しての花見が行われました。

 ただ、飲んで、食べての一般的な花見ではなく、大きな輪になって、久しぶりの人や何かがんばった人、話してほしい人を指名してのスピーチ。グループ対抗のクイズで、吃音の知識をみんなで分かち合う、若い人たちの工夫がみられた、楽しい時間でした。

 若い人たちが実行委員会をつくっての取り組みに、とても楽しい、気持ちのいい花見となりました。ともすれば、まじめすぎて、硬くて、難しい話ばかりしていると思われそうな、大阪スタタリングプロジェクトですが、こんな楽しい、おもしろい面があることは、もしかしたら、あまり知られていないことかもしれません。

 雨の降らないうちにと解散したのですが、若い人たちの二次会はおそらく盛り上がったことでしょう。真剣でまじめな大阪吃音教室と、若い人たちの企画するいろんな行事が両輪になって、大阪はますます元気に活動を続けることができるだろうと確信しました。僕は、50年前にセルフヘルプグループを創立したときのことを思い出していました。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/04/04
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