失礼します。ありがとうございました。
2月24日の大阪吃音教室は、「ゲームを通して自分を知る」の講座でした。
「今ある自分を作って来たのは?」という設問に、行動力、運、協調性など10の選択肢から自分に当てはまるものを選び、小グループで話し合うのですが、これが実に楽しくおもしろかったです。話し合いも、具体的に自分を示すものがあると、自分を語りやすいし、前から知っていた人の違う一面も見ることができました。
後半は、「今これが欲しい!」のオークションです。参加者全員が「松本銀行」から1千万円ずつをもらい、自分が価値を置いている能力やことがら、具体的には「事務処理能力」から「世界平和」まで、39項目あるリストの中から自分の欲しいものを選んで、競り落とすという、たわいもないゲームなのですが、みんなが真剣になると、とてもおもしろいのです。
「何かを信じる心」20万、「どもらずに電話をかける能力」30万、「人前でどもらずにスピーチする能力」950万や、「世界平和」のために全額1,000万を使うなど、その人の人生観、吃音をどう考えているか、将来をどのように展望しているかなど、知らず知らずのうちにオープンにされていくのです。大阪の乗りで、ヤジや突っ込みが満載で、涙が出るほど大笑い。そして、しんみりと。
どもりカルタに、まじめに真剣に勝負する姿勢や、こんなゲームでも真剣に遊びにしてしまう、大阪のこのおもしろさは、他には見られないことでしょう。大笑いしながら、いろんなことを考えさせられました。
「どもらずに本読みをする能力」10万、「どもらずに電話を受ける能力」15万、「どもりに悩まない精神力」3万と、意外に低額で落札されたものがあるかと思うと、「考えたことをすぐ実行に移す能力」300万、「どもりになってよかったと思える気持ち」555万と、かなり高額です。
今日のゲームで、自分が何に価値を置いているか、他人がどのようなことに価値を置いているか分かっておもしろかったと、感想が出されました。
そうそう、今日のテーマは面接です。
私が吃音教室に着いた時はすでに始まっていました。初参加者の自己紹介と、その人の質問に各自が答えている時間でした。面接のことなどを話しているようだったので、最近の電話相談のこと、話の流れとは違うかもしれないと前置きして話しました。
私の電話相談、吃音ホットラインは、子どもの吃音の相談が多いのですが、就職活動の人の相談も少なくありません。2日前の相談は、子どものころはかなりどもっていたが、積極的な性格なので、どんどん話していく中で、あまりどもらなくなった青年の相談でした。
彼は、就活の面接に入れば、なんとか話す自信があるけれども、部屋に入るときの、「失礼します」と、面接が終わった後の「ありがとうございました」などの挨拶の語頭がどもって、声が出なくて困っていました。面接の時間すべて、どもるから困るという人ももちろんいますが、このような、挨拶が困るという人は、実は、とても多いのです。
このような相談は、簡単です。まず、「失礼します」「ありがとうございます」が言えるようにするための練習は一切必要がないこと、ネットの治るという情報は、すべてインチキだと話して、どう対処するかを話します。
これは何回も書いていることですが、「失礼します」「ありがとうございます」と一音一音きちんと言っているかどうかを気にする人はほとんどいません。
「し」が出なければ「つれいします」「あ」が出なければ「りがとうございます」で、相手は、「失礼します」「ありがとうございます」と聞いてしまうのです。もっと気楽に考えようと、ちょっとアドバイスするだけで、十分なのです。その人は、自信がつきましたと、明るく電話を切りました。
こんな簡単なことで、挨拶だけで困っている人には通用するのです。
そんな話をした後、その初参加の人も含めて、ゲームを楽しみました。みんなの漫才のようなやりとりに初参加のその人も楽しそうに加わり、笑っていました。
そして、最後の感想にこう話していました。
これまで自分の吃音を公表したことがなかった。ここに来て初めてそれを言って、悩んでいるのは自分だけじゃないとよく分かった。仕事のことでみんなの話を聞けて、勉強になった。ここに来て良かった。
本当におもしろい人たちのいる大阪吃音教室です。
日本吃音臨床研究会・会長 伊藤伸二 2012年2月26日
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
世界中に確実な吃音治療法が全くない中で、私たちは「吃音を治す」ではなく、「吃音を生きる」を目指します。吃音とうまくつきあために、交流分析、アドラー心理学、論理療法、当事者研究、ナラティヴ・アプローチ、認知行動療法、アサーションなどを、楽しく学んでいます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2月24日の大阪吃音教室は、「ゲームを通して自分を知る」の講座でした。
「今ある自分を作って来たのは?」という設問に、行動力、運、協調性など10の選択肢から自分に当てはまるものを選び、小グループで話し合うのですが、これが実に楽しくおもしろかったです。話し合いも、具体的に自分を示すものがあると、自分を語りやすいし、前から知っていた人の違う一面も見ることができました。
後半は、「今これが欲しい!」のオークションです。参加者全員が「松本銀行」から1千万円ずつをもらい、自分が価値を置いている能力やことがら、具体的には「事務処理能力」から「世界平和」まで、39項目あるリストの中から自分の欲しいものを選んで、競り落とすという、たわいもないゲームなのですが、みんなが真剣になると、とてもおもしろいのです。
「何かを信じる心」20万、「どもらずに電話をかける能力」30万、「人前でどもらずにスピーチする能力」950万や、「世界平和」のために全額1,000万を使うなど、その人の人生観、吃音をどう考えているか、将来をどのように展望しているかなど、知らず知らずのうちにオープンにされていくのです。大阪の乗りで、ヤジや突っ込みが満載で、涙が出るほど大笑い。そして、しんみりと。
どもりカルタに、まじめに真剣に勝負する姿勢や、こんなゲームでも真剣に遊びにしてしまう、大阪のこのおもしろさは、他には見られないことでしょう。大笑いしながら、いろんなことを考えさせられました。
「どもらずに本読みをする能力」10万、「どもらずに電話を受ける能力」15万、「どもりに悩まない精神力」3万と、意外に低額で落札されたものがあるかと思うと、「考えたことをすぐ実行に移す能力」300万、「どもりになってよかったと思える気持ち」555万と、かなり高額です。
今日のゲームで、自分が何に価値を置いているか、他人がどのようなことに価値を置いているか分かっておもしろかったと、感想が出されました。
そうそう、今日のテーマは面接です。
私が吃音教室に着いた時はすでに始まっていました。初参加者の自己紹介と、その人の質問に各自が答えている時間でした。面接のことなどを話しているようだったので、最近の電話相談のこと、話の流れとは違うかもしれないと前置きして話しました。
私の電話相談、吃音ホットラインは、子どもの吃音の相談が多いのですが、就職活動の人の相談も少なくありません。2日前の相談は、子どものころはかなりどもっていたが、積極的な性格なので、どんどん話していく中で、あまりどもらなくなった青年の相談でした。
彼は、就活の面接に入れば、なんとか話す自信があるけれども、部屋に入るときの、「失礼します」と、面接が終わった後の「ありがとうございました」などの挨拶の語頭がどもって、声が出なくて困っていました。面接の時間すべて、どもるから困るという人ももちろんいますが、このような、挨拶が困るという人は、実は、とても多いのです。
このような相談は、簡単です。まず、「失礼します」「ありがとうございます」が言えるようにするための練習は一切必要がないこと、ネットの治るという情報は、すべてインチキだと話して、どう対処するかを話します。
これは何回も書いていることですが、「失礼します」「ありがとうございます」と一音一音きちんと言っているかどうかを気にする人はほとんどいません。
「し」が出なければ「つれいします」「あ」が出なければ「りがとうございます」で、相手は、「失礼します」「ありがとうございます」と聞いてしまうのです。もっと気楽に考えようと、ちょっとアドバイスするだけで、十分なのです。その人は、自信がつきましたと、明るく電話を切りました。
こんな簡単なことで、挨拶だけで困っている人には通用するのです。
そんな話をした後、その初参加の人も含めて、ゲームを楽しみました。みんなの漫才のようなやりとりに初参加のその人も楽しそうに加わり、笑っていました。
そして、最後の感想にこう話していました。
これまで自分の吃音を公表したことがなかった。ここに来て初めてそれを言って、悩んでいるのは自分だけじゃないとよく分かった。仕事のことでみんなの話を聞けて、勉強になった。ここに来て良かった。
本当におもしろい人たちのいる大阪吃音教室です。
日本吃音臨床研究会・会長 伊藤伸二 2012年2月26日
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世界中に確実な吃音治療法が全くない中で、私たちは「吃音を治す」ではなく、「吃音を生きる」を目指します。吃音とうまくつきあために、交流分析、アドラー心理学、論理療法、当事者研究、ナラティヴ・アプローチ、認知行動療法、アサーションなどを、楽しく学んでいます。
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