昨日の続きです。以前の吃音ショートコースの時は、宿泊を伴うワークショップでしたが、今は、ホテルは各自で予約してもらっています。その分、事務局の負担はかなり小さくなっています。
8回新・ショートコース 3 2日目は、午前9時からスタートしました。
 まず、愛媛から参加した人の、

 「自分はどもることは平気で、司会や校内放送などもできると思っている。でも、他の人から、『どもるんだから代わってもらったら』と言われる。このとき、どう答えたらよかったのか」

 このテーマで、対話をしました。
 何が起こっているのか、そのとき、何を考え、どう感じたのか、今後どうしたいのか、そうすることで何が起こるか、最終的にどうするか、参加者も加わり、テーマを出した人に寄り添いながら、考え、感じ、話し合いました。新・吃音ショートコースの場にふさわしい時間でした。

8回新・ショートコース 8 午後は、声を出しました。秋の歌を歌ったり、歌舞伎の演目にもある「外郎売」を詠んだり、気持ちのいい時間でした。「外郎売」は、役者の発声練習にも使われるようですが、日本語の軽快なリズムにのって、気持ちよく詠むことができます。

8回新・ショートコース 6 最後のセッションは、リクエストにもあった「非認知能力」について考えました。今、僕が一番注目しているのが、「非認知能力」です。まず、セルフチェックをしました。そして、項目の中から、自分にとっての一番の非認知能力だと思う項目について、それを選んだ訳をエピソードを交えながら、ひとりずつ話してもらいました。千葉の吃音親子キャンプでも、保護者に同じようにしてもらいました。エピソードを話すとき、保護者のみなさんがうれしそうで、笑顔で話されていたことが印象的でした。今回も一人ずつ発表した後、周りのみんなからコメントを送りました。自分では気づかない非認知能力について触れられるのは、うれしいものです。自分の非認知能力に気づき、育て、どう活かしていくか、まだまだ「非認知能力」は、奥が深く、広がっていきそうです。

 ひとりひとりに、2日間の感想を話してもらいました。
・普段の大阪吃音教室とは違ってゆったりとした時間が流れていた。
・個人的な問題が出されたが、自分に置き変えて考えることができた。
・今まで考えたこともないことが、対話の中で出てきて、自分でもびっくりした。
・久しぶりに声を出して気持ちよかった。
・ことば文学賞のどの作品も素敵で、心が豊かになった。
・毎回、濃厚な時間になるので楽しみだ。
・シーアンの考え方についてみんなで考えた。言い換えがダメと言われるとしゃべれなくなると思った。伊藤さんの考えに出会えてよかったと思った。

 こうして盛りだくさんの2日間が終わりました。終わってみて、僕は、やっぱり、このような対話が溢れる場が好きなんだなあと改めて思いました。今回、いつもと違って人数が少なかったので、みんなから必要とされていないなら、吃音ショートコースはやめてもいいかなと思ったのですが、人数ではなく、この濃い時間は何ものにも代え難いと思い直し、また続けたいなと思いました。
 今回、参加できなかった方、ぜひ、来年、ご参加ください。
8回新・ショートコース 7 秋はいろいろと行事が多くて、重なるようなので、6月に戻そうかなと思っています。決まり次第、早めにお知らせします。参加者全員の顔が、お互いに見える吃音ショートコース、すてきな時間をご一緒できたらうれしいです。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2025/10/29