たくさんの人に視聴いただいた「にんげんゆうゆう」。中には、この番組がきっかけで、大阪吃音教室に参加してくださった方もおられます。
 偶然というものは、あるのですね。たまたまテレビをつけたときに流れていたとか、テレビ欄を開いたときに目に入ったとか、そんな偶然の出会いが、これからの自分の生き方に大きく影響するということもあるようです。思い切って行動するということの大切さを思います。
 偶然「にんげんゆうゆう」を見て、大阪吃音教室に参加された方の感想を紹介します。

 
偶然見たテレビがきっかけで参加した大阪吃音教室
                              大島純子

 私自身が最近あるセルフヘルプグループに参加するようになって、今までの自分を振り返りながら思うことをことばにし、他者に共感してもらうことで、「なんだか気持ちが軽くなるなあ」という経験を少しずつですが、しています。
 「自分だけではない、自分が悪いのではない」と自分を肯定的にとらえる努力をしながら、コンプレックスをもつ自分を徐々に受け入れていっているといえるでしょうか。
 そんな時期に、NHK教育テレビでセルフヘルプ活動についてのリポートがあることを偶然見つけ、とても興味を持って見ました。
 大阪吃音教室では、どもりを持つ自分の体験を各々が皆の前でスピーチされていました。つっかえたりしながらもご自身を表現し、それを皆さんが共有し、時には考えを言い、和やかな印象を受けました。やはり同じ悩みを持つ仲間に共感してもらうということはいいことだなあと感じ、私も勇気を出して大阪吃音教室に参加しようと思いました。
 私もどもることにコンプレックスがあります。中学、高校時代には症状が結構目立っていたし、何より自分自身がどもることを非常に恐れていました。人づきあいが苦手というか、性格的なことやその他の要因はあったにせよ、人と喋ることにいつも緊張し、実際どもってしまうので余計に息苦しくなっていました。最近はその頃よりは目立たなくなっている(うまくごまかしているだけかもしれませんが)とはいえ、完全になくなったわけではなく、心のどこかでいつもどもる自分を恐れています。そしてうまく話せない瞬間には、なんともいたたまれない気持ちが襲ってきます。
 「うまくつきあっていくしかないのか」と思うようになった時、このグループにつながることができてよかったと思っています。どんなふうにどもりとつきあっていくかを一人で模索するより、同じ仲間のいるグループで見聞きしながら考えていく方が力づけられると思います。また、毎週のプログラムは、幅広いテーマを扱い、よりよい人間関係を作ったり、自分を成長させることに役立つ教室のようで、ちょっと期待もしています。参加して間もないですが、あせらずマイペースで、いろいろ吸収して前進したいと思っています。(「スタタリング・ナウ」2000.8.15 NO.72)


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/03/24