11月23日の、どもる人のことばのレッスン〜公開レッスン&上演〜の本番に向けて、練習が始まりました。14日には、朝日新聞に、写真入りで大きな記事が掲載されました。まず、その、「吃音の人ら 舞台に挑戦」の記事を紹介します。記事によると、当時、竹内敏晴さんは73歳。今の僕より5歳も年下だったのかと、感慨深いものがあります。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/11/23
吃音の人ら 舞台に挑戦 朝日新聞 1998.11.14
大阪府内に住む吃音の人たちが二十三日、芝居を上演する。人前でうまく話せない経験を持つ人たちが練習を重ねている。難聴でしゃべれなかった経験を持つ演出家の竹内敏晴さん(73)が指導。当日は竹内さんの公開・体験レッスンもあり、初めての人も参加できる。
演じるのは、大阪言友会(東野晃之会長)の会員や吃音の子を持つ母親ら約二十五人。同会と日本吃音臨床研究会(伊藤伸二代表)、言語障害の臨床家たちが企画した。
初めての人たちには、声を出す楽しさを引き出す竹内さんのレッスンを体験してもらうのも目的だ。木下順二作の「夕鶴」を約四十分で上演。木下作の「木竜うるし」の一部分と「トム・ソーヤ」の一部分も披露する。
参加者の半分は舞台での芝居は初めて。中高校生四人もそうだ。中学二年の松本愛子さん
(14)は夕鶴の子ども役などを演じる。ふだんは電話の「はい、もしもし」がなかなか出ない。「恥ずかしいし、緊張すると思うけど、(舞台では)ちゃんとしゃべりたいなと思う」と話す。
「参加者には、学芸会でせりふが言えなかったり、国語の時間に教科書が読めなかったりした経験があるんです」と、伊藤さん(54)。竹内さんは練習で、声をスムーズに出しやすいよう、体の動かし方までアドバイスする。
「自分がしゃべれなかったから、それに比べたらみんなよくしゃべれる人だよ」と竹内さん。難聴で、若いころはうまくしゃべれず、普通にしゃべれるようになったのは四十歳を過ぎてからだ。十年前から年に数回、「からだとことばのレッスン」をしに大阪に来ている。参加者の半分は五年前に札幌で、「夕鶴」を演じた経験を持つ。
「『与ひょう』って最初の一声を出すのが本当に大変。せりふもぶつぶつ切れてね。詰まる瞬間、みんなも息を詰める。そのひとつの言葉を乗り越えていく様子が感動的だった」と竹内さんは言う。
会場は大阪市都島区の市立総合医療センターさくらホール。午後二時から約三時間の予定。公開・体験レッスンの後、芝居を上演する。入場無料。問い合わせは伊藤さん(0720・20・8179)へ。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/11/23