渡辺貴裕さんと同じくらいの参加回数の渡邉美穂さん。吃音親子サマーキャンプには、初めは、教室に通う子どもたちのために何か得られるのではと思い、参加したとのことですが、いつの間にか、そのおもしろさにはまってしまい、今では、もう自分のために、自分がおもしろくてたまらないから参加していると、よく言っています。そんな渡邉さんの感想を紹介します。
コロナで2年中止になった吃音親子サマーキャンプが3年ぶりにできてよかったと思いました。いろいろな不安もあったかもしれませんが、開催の決断に感謝します。
毎年参加しているサマキャンですが、1年ぶりに会うといろいろな出来事があったことをいつも報告し合います。今回は、3年ぶりですからたくさん報告し合うことがありました。
子どもだと思っていた子が大人になっていることが多かったかな。また、卒業生がスタッフになってみんなに声をかけている姿、ほほえましく思いました。
私の担当は、最初のプログラムの「出会いの広場」です。全国から集まってきているので、初めて参加する人、緊張している人などが少しでもリラックスできたり、仲良くなったりできるように考えています。
はじめは、一人でできるじゃんけんゲーム、二人でできる手遊びなどから、最後は、グループを作って、テーマに合ったパフォーマンスをしていました。今回は、コロナ禍ということで、密になったり、触れ合ったりしないで行おうと考えました。最後のパフォーマンスは、代表者がジェスチャーをして何をしているかを当てるクイズにしました。
2人に出てきてもらって、1人は「うさぎ」、もう一人は「かえる」というように似ているけれど、違いを強調してジェスチャーをしてもらいました。「そばを食べている人」と「スパゲッティを食べている人」や「プールで泳いでいる人」と「海で泳いでいる人」、「アイスを食べている人」と「かき氷を食べている人」というように、2人が違いを意識して表現し、その違いをみんなが読み取りました。初めて参加した小学生が率先して参加してくれたので、とてもよかったです。
それから、今回は劇を急に行うことになり、「がまくんとかえるくんシリーズ」のお話だったのでかえるのお面を用意しようと準備しました。いつもは、鈴木さんや西山さんが準備してくださっているので、鈴木さんに相談しました。絵を描いて写真を送ってくださったので、それをもとに画用紙でお面を作りました。当日は、これまで鈴木さんがつくってくれたカエルや、鳥、カラス、うさぎなどのお面のかぶりものというか、帽子をアレンジして縫ったものを溝口さんが持ってきてくれたので、「やっぱり違うな」と鈴木さんのすごさを感じました。
スタッフは、初日、トータル1時間弱の練習で「お手紙」というお話を上演することができました。
次の日からは、がまくんかえるくんシリーズの他の話3つを、子どもたちと一緒にグループごとに練習しました。これまでは、渡辺さんの演技指導を子どもたちに伝えるという劇の練習の仕方だったのですが、今回は、グループのスタッフでどうしようか?と話し合ったり、子どもたちとこれまで以上に意見を出し合って練習をしました。どうなることかと思いましたが、セリフを覚えて楽しそうに演じたり、アドリブを入れて笑いを誘ったりする子どもたちの様子を見ることができてうれしかったです。
最後の振り返りでは、サマキャンが開催できなかったことで高校3年生として卒業式ができなかった子を含めて6人の子が卒業しました。
一人一人のことばが、心に響きました。特に、私の劇のグループだった子が「今まで苦手だと思っていたナレーターにチャレンジできてよかった」と話していました。劇の練習では、さりげなく「ナレーターやります」と言っていたのですが、これまでどもるから演技でなんとかしてきた劇で最後だからことばだけで伝える「ナレーター」にチャレンジして、よかったということだったのです。
そんな思いをもって劇に臨み、練習をしていたのだと最後に知らされ、ぐっときました。個々に思いやドラマがあるなと実感しました。
やはり、今回も劇に取り組んだこと、サマキャンが開催できたことは、本当によかったと思いました。
伊藤さんは、今回が最後だと思っていたと言っていましたが、来年もやると言ってくれたので、また新しいドラマが生まれる現場に行きたいな、行けるなとうれしくなりました。また来年、みなさんと会えることを楽しみにして、1年、過ごしたいと思います。
3日間の出来事は、まだまだあります。また、報告していきます。(渡邉美穂)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/31
コロナで2年中止になった吃音親子サマーキャンプが3年ぶりにできてよかったと思いました。いろいろな不安もあったかもしれませんが、開催の決断に感謝します。
毎年参加しているサマキャンですが、1年ぶりに会うといろいろな出来事があったことをいつも報告し合います。今回は、3年ぶりですからたくさん報告し合うことがありました。
子どもだと思っていた子が大人になっていることが多かったかな。また、卒業生がスタッフになってみんなに声をかけている姿、ほほえましく思いました。

私の担当は、最初のプログラムの「出会いの広場」です。全国から集まってきているので、初めて参加する人、緊張している人などが少しでもリラックスできたり、仲良くなったりできるように考えています。
はじめは、一人でできるじゃんけんゲーム、二人でできる手遊びなどから、最後は、グループを作って、テーマに合ったパフォーマンスをしていました。今回は、コロナ禍ということで、密になったり、触れ合ったりしないで行おうと考えました。最後のパフォーマンスは、代表者がジェスチャーをして何をしているかを当てるクイズにしました。
2人に出てきてもらって、1人は「うさぎ」、もう一人は「かえる」というように似ているけれど、違いを強調してジェスチャーをしてもらいました。「そばを食べている人」と「スパゲッティを食べている人」や「プールで泳いでいる人」と「海で泳いでいる人」、「アイスを食べている人」と「かき氷を食べている人」というように、2人が違いを意識して表現し、その違いをみんなが読み取りました。初めて参加した小学生が率先して参加してくれたので、とてもよかったです。
それから、今回は劇を急に行うことになり、「がまくんとかえるくんシリーズ」のお話だったのでかえるのお面を用意しようと準備しました。いつもは、鈴木さんや西山さんが準備してくださっているので、鈴木さんに相談しました。絵を描いて写真を送ってくださったので、それをもとに画用紙でお面を作りました。当日は、これまで鈴木さんがつくってくれたカエルや、鳥、カラス、うさぎなどのお面のかぶりものというか、帽子をアレンジして縫ったものを溝口さんが持ってきてくれたので、「やっぱり違うな」と鈴木さんのすごさを感じました。
スタッフは、初日、トータル1時間弱の練習で「お手紙」というお話を上演することができました。
次の日からは、がまくんかえるくんシリーズの他の話3つを、子どもたちと一緒にグループごとに練習しました。これまでは、渡辺さんの演技指導を子どもたちに伝えるという劇の練習の仕方だったのですが、今回は、グループのスタッフでどうしようか?と話し合ったり、子どもたちとこれまで以上に意見を出し合って練習をしました。どうなることかと思いましたが、セリフを覚えて楽しそうに演じたり、アドリブを入れて笑いを誘ったりする子どもたちの様子を見ることができてうれしかったです。
最後の振り返りでは、サマキャンが開催できなかったことで高校3年生として卒業式ができなかった子を含めて6人の子が卒業しました。
一人一人のことばが、心に響きました。特に、私の劇のグループだった子が「今まで苦手だと思っていたナレーターにチャレンジできてよかった」と話していました。劇の練習では、さりげなく「ナレーターやります」と言っていたのですが、これまでどもるから演技でなんとかしてきた劇で最後だからことばだけで伝える「ナレーター」にチャレンジして、よかったということだったのです。
そんな思いをもって劇に臨み、練習をしていたのだと最後に知らされ、ぐっときました。個々に思いやドラマがあるなと実感しました。
やはり、今回も劇に取り組んだこと、サマキャンが開催できたことは、本当によかったと思いました。
伊藤さんは、今回が最後だと思っていたと言っていましたが、来年もやると言ってくれたので、また新しいドラマが生まれる現場に行きたいな、行けるなとうれしくなりました。また来年、みなさんと会えることを楽しみにして、1年、過ごしたいと思います。
3日間の出来事は、まだまだあります。また、報告していきます。(渡邉美穂)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/31