しばらくブログをお休みしました。吃音親子サマーキャンプの最終準備と、当日、そして、終わった翌日に長旅に出る無謀ともいえるスケジュールを組んだため、パソコンに向かう時間がとれませんでした。充実した日々を過ごしていて、とても元気です。
さて、第31回吃音親子サマーキャンプ、無事に終わりました。
コロナ感染大爆発の中、しかもキャンプ前日には感染者の数が過去最多となる中で、77名の参加でした。コロナ感染で急遽キャンセルも10人ほどいました。こんなに集まりにくい状況でも、初参加の人が多かったことに驚いています。
1年前、2年前に、吃音ホットラインに電話をいただいたり、サマーキャンプの問い合わせをいただいたりした方にも、サマーキャンプ開催しますの連絡をしたのですが、その中の2組の方が参加して下さいました。必要とされていたのだ、待っていて下さったのだと、うれしくなりました。
サマーキャンプが大切にしてきた柱のひとつ、演劇活動は、初め、コロナのためにできないと思い、別の活動を考えていました。声を出す喜び、表現することの楽しさを味わってもらえる活動を模索していました。これまで演劇活動を、竹内敏晴さんの代わりに担当してきて下さった東京学芸大学大学院の渡辺貴裕さんと私たちスタッフとで相談しました。その話の中で、やっぱり演劇は外せないと判断し、急遽、何か小さなお芝居でもできないだろうかとなり、取り入れることにしました。それがサマーキャンプ開催10日前のことでした。そこから、事前合宿もしない、いつもと違う形での演劇活動の準備に入りました。
渡辺貴裕さんが台本を選び、脚本をつくり、演出・構成をするなど、動いて下さいました。そして、一部のスタッフが、当日の短い時間、おそらく合計1時間ほどの練習で、なんとか形にしたものを、みんなの前で披露したのです。アーノルド=ローベル作の【がまくんかえるくんシリーズ】の「お手紙」というお話でした。ひとりでお手紙を待っているがまくんの悲しさの背景や、ふたりでお手紙を待っているときのやりとりをふくらませ、別の空間では、かたつむりくんが一生懸命手紙を運んでいる場面をユーモラスに表現しました。そのかたつむりくんの姿が、子どもたちに大いに受けたようで、このお話のタイトルが「かたつむりくんの大冒険」になるのではないかと思うくらいでした。
最終日には、同じシリーズの別のお話を、小さなお芝居として、3グループに分かれて完成させました。子どもも親もスタッフも大満足でした。
初めて参加したどもる成人が、「演劇って、こんなに楽しいものなのですね」と感激の涙を流していました。声を出す喜び、表現することの楽しさを感じてくれたのでしょう。
もちろん、スタッフとして成人のどもる人と専門家が入る、吃音についての同年齢の子どもたちに話し合いも充実していました。親の学習会は今回、新しいことを学習するよりも、一人一人との対話を重視したものになりました。
また、中止した2年間で、卒業式ができず、1年前に卒業するはずだった子、2年前に卒業するはずだった子が参加してくれたので、卒業証書を渡しました。計6人が、卒業したことになります。ひとりひとりのことを思い出し、手作りの卒業証書を渡しました。その後、卒業生のひとりひとりが、メモを見ることなく、自分のこと、吃音のこと、サマーキャンプでの出会い、今考えていることなど、自分のことばで話しました。これは、毎年恒例の光景ですが、見事なものです。これまで、先輩の姿を見て、後輩たちが受け継ぎ、学んできたことなのでしょう。いい伝統が受け継がれていることをうれしく思いました。
体調を崩す人もなく、無事終わりました。
吃音親子サマーキャンプは今年で最後、僕は実はそのつもりでいましたが、もう少し続けてみようかなという気にさせられました。来年、開催することにしましたので、どうか、来年是非参加していただければうれしいです。
僕も来年は79歳です。これからは、一年一年が勝負です。毎年、今年が最後、との覚悟を決めて開催することになります。もう少し詳しい報告を、少しずつしていきたいと思います。とりあえず、無事、終わったことの報告でした。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/25
さて、第31回吃音親子サマーキャンプ、無事に終わりました。
コロナ感染大爆発の中、しかもキャンプ前日には感染者の数が過去最多となる中で、77名の参加でした。コロナ感染で急遽キャンセルも10人ほどいました。こんなに集まりにくい状況でも、初参加の人が多かったことに驚いています。
1年前、2年前に、吃音ホットラインに電話をいただいたり、サマーキャンプの問い合わせをいただいたりした方にも、サマーキャンプ開催しますの連絡をしたのですが、その中の2組の方が参加して下さいました。必要とされていたのだ、待っていて下さったのだと、うれしくなりました。
サマーキャンプが大切にしてきた柱のひとつ、演劇活動は、初め、コロナのためにできないと思い、別の活動を考えていました。声を出す喜び、表現することの楽しさを味わってもらえる活動を模索していました。これまで演劇活動を、竹内敏晴さんの代わりに担当してきて下さった東京学芸大学大学院の渡辺貴裕さんと私たちスタッフとで相談しました。その話の中で、やっぱり演劇は外せないと判断し、急遽、何か小さなお芝居でもできないだろうかとなり、取り入れることにしました。それがサマーキャンプ開催10日前のことでした。そこから、事前合宿もしない、いつもと違う形での演劇活動の準備に入りました。
渡辺貴裕さんが台本を選び、脚本をつくり、演出・構成をするなど、動いて下さいました。そして、一部のスタッフが、当日の短い時間、おそらく合計1時間ほどの練習で、なんとか形にしたものを、みんなの前で披露したのです。アーノルド=ローベル作の【がまくんかえるくんシリーズ】の「お手紙」というお話でした。ひとりでお手紙を待っているがまくんの悲しさの背景や、ふたりでお手紙を待っているときのやりとりをふくらませ、別の空間では、かたつむりくんが一生懸命手紙を運んでいる場面をユーモラスに表現しました。そのかたつむりくんの姿が、子どもたちに大いに受けたようで、このお話のタイトルが「かたつむりくんの大冒険」になるのではないかと思うくらいでした。
最終日には、同じシリーズの別のお話を、小さなお芝居として、3グループに分かれて完成させました。子どもも親もスタッフも大満足でした。
初めて参加したどもる成人が、「演劇って、こんなに楽しいものなのですね」と感激の涙を流していました。声を出す喜び、表現することの楽しさを感じてくれたのでしょう。
もちろん、スタッフとして成人のどもる人と専門家が入る、吃音についての同年齢の子どもたちに話し合いも充実していました。親の学習会は今回、新しいことを学習するよりも、一人一人との対話を重視したものになりました。
また、中止した2年間で、卒業式ができず、1年前に卒業するはずだった子、2年前に卒業するはずだった子が参加してくれたので、卒業証書を渡しました。計6人が、卒業したことになります。ひとりひとりのことを思い出し、手作りの卒業証書を渡しました。その後、卒業生のひとりひとりが、メモを見ることなく、自分のこと、吃音のこと、サマーキャンプでの出会い、今考えていることなど、自分のことばで話しました。これは、毎年恒例の光景ですが、見事なものです。これまで、先輩の姿を見て、後輩たちが受け継ぎ、学んできたことなのでしょう。いい伝統が受け継がれていることをうれしく思いました。
体調を崩す人もなく、無事終わりました。
吃音親子サマーキャンプは今年で最後、僕は実はそのつもりでいましたが、もう少し続けてみようかなという気にさせられました。来年、開催することにしましたので、どうか、来年是非参加していただければうれしいです。
僕も来年は79歳です。これからは、一年一年が勝負です。毎年、今年が最後、との覚悟を決めて開催することになります。もう少し詳しい報告を、少しずつしていきたいと思います。とりあえず、無事、終わったことの報告でした。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/08/25