大阪吃音教室の開講式での話し合いを紹介します。最近の開講式のテーマはいつも、「吃音と上手につき合うために」です。僕たちの活動の基本となる前提を話し合います。初参加の人にとっては、ここがどんな考えをもっているグループなのかが分かりますし、もう何年も参加している人にとっても、年に一度、活動の基本に立ち返る大切な時間になっています。今日、紹介するのは、大阪吃音教室のニュースレター「新生」の1995年の記事です。今から26年前の開講式の様子です。

動機〜大阪吃音教室の開講の日にみる

 毎週金曜日に、大阪吃音教室を開いている。年間47回、それぞれ違うテーマで吃音講座がもたれる。この4月14日、1995年度の第1回が開かれた。
 初めて参加する11名のどもる人と両親3名を含む、合計35名が参加した。この『吃音治療について』の講座が、チャールズ・ヴァン・ライパーの動機と関連するので再録する。紙面の都合で参加者の発言など、一部カットされている。

☆大阪吃音教室に、多くのどもる人が訪れますが、新聞などで知っていても、直ぐに来るとは限りません。その切り抜きをずっと持っていて2、3年後やっと来たという人もいます。第一歩を踏み出すことは難しいのです。自分の意志か、親やきょうだいのすすめか、その経緯はいろいろあるにせよ、今日ここへ皆さんが来られたことにまず敬意を表します。

第一歩
 以前から参加されている人、この大阪吃音教室に第一歩を踏み出す時のことを思い出して、自分はどんなだったか、体験を話して下さい。
◇不安で一杯でしたが、「大阪吃音教室」っていう名称で、何をしているんだろうという興味がありました。吃音矯正所で2回失敗していますが、電話で問い合わせた時、吃音を治すところではないと聞き、これまでとは違うなと思いました。
◇僕は、自分がどもることを認めたくなかったから本当は参加したくなかった。ちょっと覗くつもりだった。それが今、会に入ってしまったのは、新しい考えと出会い、自分も吃音に対する考えが変わるんじゃないかと思ったから。
◇若い頃に吃音矯正所に行ったが、ここ20年ほど行ったことも忘れていた。これまで、吃音があまり影響がなかったが、年齢を重ねるにつれ、人前で話す機会が多くなった。普通の所では言えないけど、同じ吃音の仲間の中でならどもってもいいんじゃないか、できるだけ人数の多いところで練習したいと思った。
◇吃音を治すつもりで来た。吃音の治療法という講座の日、治す方法を教えてくれると思ったらそうじゃなかった。それでもほとんど6か月間休まずに来て、吃音に対する考え方が変わった。それまでは吃音を受け入れるということばすら知らなかった。

初めて参加した人
 今日初めて参加した皆さん。新しい所へ行くというのは緊張するものだし、不安もあるものですが、どんな気持ちでここへ来られましたか。
◆人前でスムーズにしゃべれるようになりたい。
◆4月からマンションの管理組合の順番性の組長が当たった。会議では自己紹介があるので、妻に代わりに行ってもらった。それが情けなくて、なんとか自分の名前が言えるようになりたい。話さなければならないことはこれまでは何でも妻にしてもらってきた。今まで逃げ続けてきた。今度組長になるし、2月で70歳になるので、死ぬまでには治したい。死ぬまでにはなんとか楽に話せるようになりたい。
◆スムーズにしゃべりたい。性格的なものだろうと思うけど、人前で恥ずかしい思いをしたらどうしようどうしようと思ってしまって毎日嫌な思いをしている。
◆どもっている人の話とか、情報とか、どういう取り組み方をしてきたかを知りたい。自分だけが苦しい思いをしてきたのではないことを知りたい。
◆軽い気持ちで参加した。家でテレビを見ているのもつまらないし。それで、ちょっと吃音も治ったらいいなと。
◆自分の言いたいことが言えるようになりたい。言えなくて嫌だったことはいっぱいある。
◆気にしないようにしているので日常生活は困っていないが、自分を客観的に見て勉強してみたい。
◆4月から社会人になった。職場で初めての時など緊張して、名前が出ない。変な目で見られてしまう。今はまだ、大事な仕事はしていないので実感はないけれど、相手に電話をするようになったら…。業者と交渉するのは怖いなあ。
◆スムーズにリラックスして話したい。初対面の人に対してつまって話ができなくて困る。(つづく)


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/11/21