自分を好きになる
  〜パット・パルマーさんのアサーティブ・トレーニング・ワークショップ

 どもることをからかわれた時、「そうだよ、僕はどもるよ。こんな自分が好きなんだ。それが何か問題でもある?」、そう言い返すことができたら、僕をからかった子どもたちは、どうしたでしょうか。子どもの頃に、アサーティヴ・トレーニングを学んでいたら、吃音を、自分を、嫌いにならずに、もう少し楽に生きることができただろうなと、少し残念です。



アサーティブ・トレーング
                  報告     伊藤照良
自分の欲求を満たす
 心理学者のマズローは、欲求の順位を作りました。
    マズローによる欲求の順位
        自己実現
        自己尊重
       愛情と所属感
       安全と安心感
        生理的欲求

 これは、人間の欲求についてのことを言っているのですが、3日間水を飲めないと水以外のことが考えられなくなります。食べ物が食べられないと空腹が続きます。一番下の「生理的欲求」が人間の基本的要求だということです。寒いときには着る服がほしい。寝る時は家がほしい。これが基本的要求です。
 その次は、「安全と安心感」です。家の中に泥棒が入ってこない状況にあることです。
 その次が「愛情と所属感」で、他人との結束、気持ちのつながり、自分がグループに所属しているという気持ちです。
 そして「自己尊重」。
 こういったすべての欲求が満たされた時、自分が高尚な人間と思えるようになります。下位のニードが満たされていれば可能です。

☆演習 自分の望むことを要求する
 2人組になり、何かして欲しいことを要求しましょう。相手はそれを断ります。断られても要求します。それを断る。これを何度も繰り返します。
☆演習後の感想
*断る側は、断るときどんな顔をすればいいのだろう。相手を傷つけてはいけないと思うと断りにくい。
*ことばだけでお金をくれと言われた。ことばだけだったから断れたが、表情や身振り手振り手のからだ全体で包みこむように要求されたら、断るのが怖くなってしまった。

 きちんとノーと言わないと、どんどん攻撃されます。ノーと言う時は、小さな赤ちゃんに言うような調子で言うことができます。ノーと言っても、赤ちゃんはますます泣くなどして、なかなかやめません。ノーといえる権利を持っていると確信をもって、お腹のあたりに力をいれて、ノーと言えば、はっきりしたノーが伝わります。本当にノーと言いたい時は、力を込めて言わなくても伝わります。

批判への対処
☆演習ぁ
 2人組になります。他人が自分について批判するであろう3つのことを書き出します。自分が自分自身を批判することも書き出します。このリストを相手に渡します。リストを渡された人はそれを読んで、お母さんになったつもりで相手を批判します。
 批判される側の人は、リラックスした状態でこの批判に耳を傾けましょう。そして、「その通りです」と受け止めてみましょう。批判に対しての反応の方法は、まず同意を示すことです。

「そうです、私は太り過ぎです」
「確かにおっしゃる通りだけど、私自身も努力しているのです」
「確かに太っちょだけど、そんな自分が好きなのよ」

「その通り」と言えばそれだけで、批判を止めさせてしまいます。誰かが傷つけようとして言った時はできるだけ早く止めさせることです。それを止めさせる方法は、同意して「ハイそうです。私はそのままの自分が好き」そう言ったらいじめよう、操作しようとした人は気持ちが失せてしまいます。「ハイそうなんですよ、このままの自分でいいのです」と反応することです。もちろん、反論することもいいです。

☆演習後の感想 
*批判に対して「そうなんですよね」と同意されるとそれ以上批判はできない。ということは、自分が傷つくような批判の時は早くやめさせるために、同意してしまえばいいのだ分かった。
*他人が思っているだろう想像して書いた批判に対しては同意がしにくく、反論したくなる。それに対して自分が自分自身を批判していることとして書いたことには素直に同意できた。

 上司や友達を批判する時には、悪い感情をもたず、いい気持ちで受け取ってもらえるように批判します。例えば、友達が約束の時間に大幅に遅れてきたとします。そんなときは、まず、相手がどんなに優れているか、自分が相手にどんなに高い評価をもっているか、などについて相手に伝えます。つまり、「私とあなたとは古くからの友達で、私はあなたのことが好きだ」ということをまず伝えます。その後で、「あなたがこんな風に約束の時間に遅れると私のことを思っていないのかと疑ってしまうわ」と続けます。そして、最後に、「私たちは本当にいい友達になりたいからこういっているのです」をつけ加えるのです。 これが批判のサンドイッチなんです。 (つづく)


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 201/7/22