これまでにないムーミン原画展

 吃音親子サマーキャンプの特集に戻り、昨日は、第5回を紹介したばかりですが、今日は、特別に、ムーミンです。
ムーミン4 大阪市天王寺区のあべのハルカス美術館で、ムーミン展が開かれていました。友人が行ってよかったと紹介してくれたので、行くつもりだったのですが、うっかりしていて、最終日の今日、ぎりぎり行くことができました。
ムーミン6 トーベ・ヤンソンの人物紹介、ムーミンの話が生まれたいきさつ、ムーミン谷の仲間たち、たくさんのスケッチ、挿絵、本の表紙、立体、映画やオペラなどにもなったムーミンなど、これだけのものを集めるのは大変だったろうなと思わせる展覧会でした。今日で終わりということもあるのか、訪れる人も多く、入館の際には人数制限をしていました。挿絵は、ペン描きで線描のものが多く、繊細なタッチです。なぜか浮世絵と似ているところもあり、並べられていて、おもしろいなと思いました。
 1939年に第二次世界大戦が始まり、フィンランドもソ連の侵攻で戦争に巻き込まれ、戦争に強く反対していたトーベは、政治風刺雑誌「ガルム」に、独裁者たちを痛烈に笑いのめす風刺画を描くようになります。政治風刺雑誌「ガルム」の風刺画も展覧会のテーマで、いくつかの作品が展示されていました。平和を願っていたトーベが、世界大戦後、人が幸せに生きていく道を探し続けたのは当然のことでした。

 僕は、ムーミンのことをよく知りませんでした。白い、どっちかというとコロンとした親しみやすい体型のカバみたいな動物、くらいの認識しかなかったのです。そんな僕は、2017年10月、僕の家の近くの絵本喫茶「ハーゼ」でムーミンと出会いました。散歩の途中で寄った絵本喫茶「ハーゼ」を経営しておられるのが、絵本、児童書の研究者で、幼児教育の専門家の長谷さんです。そのハーゼでの「絵本の集い」で紹介されたのが、「ムーミンの本当の姿」でした。ムーミンの世界の奥深さを教えていただきました。長谷さんのお話を聞いてから、ムーミンがぐんと身近になりました。

ムーミン_0001 長谷さんの幼児教育の視点からみて、トーベ・ヤンソンは、第二次世界大戦の後、人が幸せに生きていくために、人生にとって、教育や子育てにとって、とても大切な要素を、ムーミンの話の中に込めていたと、長谷さんは読み解きます。長谷さんは、それを「三間」として示したのではないかと話されました。とても納得できる話だったので、それを僕なりに解釈して、その後の僕の講演や講義で、ムーミンの話をするようになりました。

ムーミン3 「ところで、皆さんは、ムーミンを知っていますか?」と話を始めると、参加者の興味がぐんと増すようです。「人生にとって大切なもの、「三間」とは何でしょう」と質問していくと、案外に長谷さんが考えたことが出てくるのが不思議です。多くの人に共通するものだからかもしれません。
 長谷さんが言う、三間とは、ゞ間 ∋間 C膣屬裡海弔任后
 ,龍間は、ムーミン谷で、誰もが安心して自分を出せる場所。安全基地です。困ったことがあっても、その場所に行けば自分を取り戻せる、そういう空間です。
 △了間は、フィンランドは夏と冬の差が大きく、昼と夜の時間の長さも大きく違い、物語の描き方も季節によって違うとのこと。それぞれの季節に合わせて生き方を柔軟に変えていくということです。その瞬間、瞬間を精一杯生きるということでしょうか。
 の仲間は、ムーミン谷の住人たちで、たくさんいます。仲間です。
 <三間>は、教育、保育、子育てなどを考えるときも大事なポイントになります。忙しい現代の子どもたちにとっても、必要なことでしょう。長年続けてきたセルフヘルプグループは、まさに<三間>がそろっています。吃音親子サマーキャンプも、この<三間>を軸に考えることができます。

ムーミン_0002 フィンランドといえば、オープンダイアローグ発祥の地。対等な関係で、話し合いをするということと、どこかでつながっていると感じました。
 ムーミンを生んだフィンランドだから、オープンダイアローグの発想が出てきたのでしょう。ムーミンと、オープンダイアローグの地、フィンランドに行きたくなりました。
 今回の「ムーミン展」で、お話の奥深さや、トーベヤンソンの人柄にも触れることができ、とてもいい空間、時間を過ごしました。これからも、「三間」の話に磨きをかけていこうと思いました。

日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2020/8/30