第31回吃音親子サマーキャンプ、第9回親・教師・言語聴覚士のための吃音講習会 中止のお知らせ
僕たちが、「吃音の夏」と呼ぶ季節が、今年もやってきました。
吃音講習会、吃音親子サマーキャンプの事前レッスンやキャンプの本番などが、7月から8月にかけて行われることが多いためです。いつ頃からか、「吃音の夏」と呼び、大切にしてきました。ちなみに、島根、岡山、千葉、群馬、沖縄などでの吃音キャンプは秋に行われるので、「吃音の秋」と呼んでいました。
その「吃音の夏」ですが、今年は大きく様変わりせざるを得なくなりました。
新型コロナウイルス感染症は、僕たちの生活を変えてしまいました。僕たちが大切にしてきた、「直(じか)」の出会いの場を奪ってしまいました。今、解除の方向にいっていますが、感染拡大は収まっているとは言えません。
「コロナと闘う」から、「コロナと共存する」と変わり、少しずつ、そのつきあい方が分かってきました。これは、僕たちが考えてきた吃音とのつきあい方ととてもよく似ています。闘って、なくしてしまうのではなく、共存しながら、よりよく生きていく道を選んでいくことです。そう考えると、現状を冷静にみつめることができそうです。
残念なお知らせをしなければなりません。
今年の吃音親子サマーキャンプは、中止にいたします。
8月のその頃は、コロナの状態がどのようになっているか予想はできません。しかし、吃音親子サマーキャンプの参加者は全国から集まり、2泊3日の長い時間、濃厚な接触になります。また、全国的にすべての学校で、夏休みが短縮され、参加が難しい人が多数現れそうです。夏休みの短縮で、ことばの教室担当者や言語聴覚士などのスタッフの確保も困難かもしれません。
それでも、とても楽しみに待っている人は多いので、なんとか形を変えてでも開催できないか検討しました。土日の1泊2日はどうか、関東と関西に分けてはどうか、などいろいろ考えましたが、30年間、大切にしてきた本来の吃音親子サマーキャンプではなくなり、思い切って今年は見送るという結論に至りました。
開催は難しいかもと思いながらも、少しは期待しておられた方も大勢おられたことでしょう。僕たちも、なんとか開催できないかと、ぎりぎりまで粘りましたが、そろそろ決断しなくてはいけない時期になりました。
今年、卒業を迎える高校3年生が3人います。3人とも、3年以上参加しているので、卒業の資格はあります。卒業証書を渡すことを楽しみにしていました。その中の一人の女子生徒の両親は、2009年に初めて参加し、それから続けて11回参加しています。兄と妹のために両親そろって参加し続けました。1、2年なら両親ともに参加する場合も珍しくないのですが、11年連続とはすごいです。高校3年生の彼女は両親ともに、今年12回目の参加をし、キャンプでの卒業式を特別のものとして楽しみにしていました。この両親は、親の話し合いだけでなく、親が毎年取り組む表現活動を常に率先して取り組み、また初参加の保護者に働きかけるなど、吃音親子サマーキャンプにはなくてはならない存在になっていました。僕たちも、この父親、母親が卒業式にどのような話をするのか、とても楽しみにしていました。もちろん、お二人も、絶対に参加すると言っていました。
ご本人たちもとても残念な思いでしょうが、僕たちもとても残念です。
また、第9回親・教師・言語聴覚士のための吃音講習会も中止にしました。
開催趣旨の一部を紹介します。
その他の僕の今年の予定もほぼ、中止か延期になりました。
これまで考えてきたことを整理し、まとめていく時間を与えられたのだと思い、ブログ、Twitter、Facebookで発信しています。日本吃音臨床研究会のホームページのトップページに、Facebookが埋め込まれています。5月から1日も欠かさず、更新しています。ご覧いただければうれしいです。
また、日本吃音臨床研究会の月刊紙(年購読費5,000円)「スタタリング・ナウ」も、しっかり発行していきます。
どうぞ、コロナ対策と、熱中症対策を怠りなく、お元気でお過ごし下さい。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/6/24
僕たちが、「吃音の夏」と呼ぶ季節が、今年もやってきました。
吃音講習会、吃音親子サマーキャンプの事前レッスンやキャンプの本番などが、7月から8月にかけて行われることが多いためです。いつ頃からか、「吃音の夏」と呼び、大切にしてきました。ちなみに、島根、岡山、千葉、群馬、沖縄などでの吃音キャンプは秋に行われるので、「吃音の秋」と呼んでいました。
その「吃音の夏」ですが、今年は大きく様変わりせざるを得なくなりました。
新型コロナウイルス感染症は、僕たちの生活を変えてしまいました。僕たちが大切にしてきた、「直(じか)」の出会いの場を奪ってしまいました。今、解除の方向にいっていますが、感染拡大は収まっているとは言えません。
「コロナと闘う」から、「コロナと共存する」と変わり、少しずつ、そのつきあい方が分かってきました。これは、僕たちが考えてきた吃音とのつきあい方ととてもよく似ています。闘って、なくしてしまうのではなく、共存しながら、よりよく生きていく道を選んでいくことです。そう考えると、現状を冷静にみつめることができそうです。
残念なお知らせをしなければなりません。
今年の吃音親子サマーキャンプは、中止にいたします。

それでも、とても楽しみに待っている人は多いので、なんとか形を変えてでも開催できないか検討しました。土日の1泊2日はどうか、関東と関西に分けてはどうか、などいろいろ考えましたが、30年間、大切にしてきた本来の吃音親子サマーキャンプではなくなり、思い切って今年は見送るという結論に至りました。
開催は難しいかもと思いながらも、少しは期待しておられた方も大勢おられたことでしょう。僕たちも、なんとか開催できないかと、ぎりぎりまで粘りましたが、そろそろ決断しなくてはいけない時期になりました。
今年、卒業を迎える高校3年生が3人います。3人とも、3年以上参加しているので、卒業の資格はあります。卒業証書を渡すことを楽しみにしていました。その中の一人の女子生徒の両親は、2009年に初めて参加し、それから続けて11回参加しています。兄と妹のために両親そろって参加し続けました。1、2年なら両親ともに参加する場合も珍しくないのですが、11年連続とはすごいです。高校3年生の彼女は両親ともに、今年12回目の参加をし、キャンプでの卒業式を特別のものとして楽しみにしていました。この両親は、親の話し合いだけでなく、親が毎年取り組む表現活動を常に率先して取り組み、また初参加の保護者に働きかけるなど、吃音親子サマーキャンプにはなくてはならない存在になっていました。僕たちも、この父親、母親が卒業式にどのような話をするのか、とても楽しみにしていました。もちろん、お二人も、絶対に参加すると言っていました。
ご本人たちもとても残念な思いでしょうが、僕たちもとても残念です。
また、第9回親・教師・言語聴覚士のための吃音講習会も中止にしました。
開催趣旨の一部を紹介します。
どもる子どもとの対話〜健康生成論的アプローチ〜
吃音は、未だに原因も解明できず、有効な治療法も開発されていません。そうした中で、僕たちは子どもたちと吃音について学び、吃音のこと、どもる自分のこと、日常生活での苦戦にどう対処するかなどについて、対話を続けてきました。
今、大災害などによるトラウマやストレス、先の見えない不安などに対し、これまでの病気の原因を追及し、原因を除去することで病気を治す「疾病生成論」の考えでは立ち行かなくなりました。そこで、大変な状況の中でも健康に生きる人の要因を探る「健康生成論」が注目されています。健康状態を維持し続けた人々に共通していたのが、「把握可能感(わかる)」、「処理可能感(できる)」、「有意味感(意味がある)」の感覚でした。この三要素がバランスよく発達することが、重要だと指摘されています。どもる子どもがこれからのストレスが多い社会を生き抜くには、この3つの感覚を育てることが大切だといえるでしょう。ことばの教室や言語指導室での新しい吃音の臨床の展望を、健康生成論によって探っていきたいと考えています。また、子どもとの対話、レジリエンス、ナラティヴ・アプローチ、当事者研究など、これまでの講習会で考えてきたことを、初めての方が理解できるように、丁寧に整理していきます。どもる子どもと一緒に取り組める、楽しくそして豊かな実践を、みなさんと考えていきましょう。
◇日時 2020年7月25・26日(土・日)
◇場所 愛知県岩倉市総合体育文化センター
その他の僕の今年の予定もほぼ、中止か延期になりました。
これまで考えてきたことを整理し、まとめていく時間を与えられたのだと思い、ブログ、Twitter、Facebookで発信しています。日本吃音臨床研究会のホームページのトップページに、Facebookが埋め込まれています。5月から1日も欠かさず、更新しています。ご覧いただければうれしいです。
また、日本吃音臨床研究会の月刊紙(年購読費5,000円)「スタタリング・ナウ」も、しっかり発行していきます。
どうぞ、コロナ対策と、熱中症対策を怠りなく、お元気でお過ごし下さい。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/6/24