桂文福さんがネット配信
大阪吃音教室は、本来、4月10日の金曜日、2020年度の開講式を行う予定でした。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場が使用できなくなり、大阪吃音教室の2020年度の開講ができないままになっています。一年中、週に一度は会っていた人たちと会えなくなり、なんだか不思議な4月、5月を過ごしています。
セルフヘルプグループにとって、一番大切なはずの、いつもの時間、いつもの場所で会い続ける、ということができないのは、厳しいことです。ことに、今、不安を抱えている人にとっては、先が見えない不安になっていることでしょう。
緊急事態宣言が解除され、当面、6月5日に予定されている大阪吃音教室で、久しぶりにみんなと直(じか)に会えることを願っています。
そんな折、親しくさせていただいている落語家の桂文福さんから、おはがきをいただきました。
「コロナ、大変ですね。皆さんもお困りでしょう」から始まり、「私も今や冬眠状態!」と続きます。何かしないといけないと思い、ネット配信を始めたとのことでした。
You Tube「たぬき小屋から福もろ亭」で検索してみて下さい。満面笑みの文福さんをはじめ、息子の鹿えもんさん、三番弟子のまめださんなど、なつかしいお顔を見ることができます。
吃音であることを全公開している落語家・桂文福さんとの出会いも、また紹介しましょう。おもしろいエピソードがいっぱいあります。
僕の東京での大学生活は、新聞配達店に住み込んでスタートしましたが、吃音を治すために夏休みに新聞配達店をやめ、東京正生学院の寮に入寮しました。30日間の合宿生活の後、新聞配達店には戻らずに、アパートを借りて様々なアルバイトを始めました。新聞配達店と大学校舎の往復しかなかった、生活から一変し、本当の東京生活の始まりでした。
田辺一鶴さんが「講談でどもりを治そう」と始めたのが上野本牧亭で、すぐ近くには鈴本演芸場があり、大好きな浅草には浅草演芸場があり、よく落語を聞きに行っていました。大阪に来てからは、立川志の輔のパルコ劇場にもそれだけのために、東京まで行きましたし、大好きでつきあいのある松元ヒロさんのライブに、新宿の紀伊國屋ホールにも何度か行きました。
東京でしか聞けなかった立川志の輔、柳家小三治が関西に来るようになって、森ノ宮ピロティホールや京都のロームシアターには必ず聞きに行っていました。この3月には、大好きな立川志の輔が「春風亭昇太の落語はおもしろい」と言っていたので、初めて聞きに行こうとチケットをとり、楽しみにしていたのですが、コロナの影響で中止になりました。
好きな映画にも行けない、落語も聞きに行けない状態ですが、大変なのは表現者です。桂文福さんはどうしているかなあと心配していたところに、紹介したはがきがきたのです。
「笑い・ユーモア」に関心の強い僕なので、「どもって、なまって」と自分でも言い、「どもりを個性に」している落語家・桂文福さんと、ずっとつきあいが続いているのも自然の流れなのでしょう。
笑い、音楽、映画、演劇は、人が生きる上で必要不可欠なものです。なんとか、この大変な状況をしのいで、復活してくださることを祈るばかりです。
まずは、桂文福さんとお弟子さんたちの元気な姿を見ることができて安心しました。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/5/22
大阪吃音教室は、本来、4月10日の金曜日、2020年度の開講式を行う予定でした。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場が使用できなくなり、大阪吃音教室の2020年度の開講ができないままになっています。一年中、週に一度は会っていた人たちと会えなくなり、なんだか不思議な4月、5月を過ごしています。
セルフヘルプグループにとって、一番大切なはずの、いつもの時間、いつもの場所で会い続ける、ということができないのは、厳しいことです。ことに、今、不安を抱えている人にとっては、先が見えない不安になっていることでしょう。
緊急事態宣言が解除され、当面、6月5日に予定されている大阪吃音教室で、久しぶりにみんなと直(じか)に会えることを願っています。

「コロナ、大変ですね。皆さんもお困りでしょう」から始まり、「私も今や冬眠状態!」と続きます。何かしないといけないと思い、ネット配信を始めたとのことでした。
You Tube「たぬき小屋から福もろ亭」で検索してみて下さい。満面笑みの文福さんをはじめ、息子の鹿えもんさん、三番弟子のまめださんなど、なつかしいお顔を見ることができます。
吃音であることを全公開している落語家・桂文福さんとの出会いも、また紹介しましょう。おもしろいエピソードがいっぱいあります。
僕の東京での大学生活は、新聞配達店に住み込んでスタートしましたが、吃音を治すために夏休みに新聞配達店をやめ、東京正生学院の寮に入寮しました。30日間の合宿生活の後、新聞配達店には戻らずに、アパートを借りて様々なアルバイトを始めました。新聞配達店と大学校舎の往復しかなかった、生活から一変し、本当の東京生活の始まりでした。
田辺一鶴さんが「講談でどもりを治そう」と始めたのが上野本牧亭で、すぐ近くには鈴本演芸場があり、大好きな浅草には浅草演芸場があり、よく落語を聞きに行っていました。大阪に来てからは、立川志の輔のパルコ劇場にもそれだけのために、東京まで行きましたし、大好きでつきあいのある松元ヒロさんのライブに、新宿の紀伊國屋ホールにも何度か行きました。
東京でしか聞けなかった立川志の輔、柳家小三治が関西に来るようになって、森ノ宮ピロティホールや京都のロームシアターには必ず聞きに行っていました。この3月には、大好きな立川志の輔が「春風亭昇太の落語はおもしろい」と言っていたので、初めて聞きに行こうとチケットをとり、楽しみにしていたのですが、コロナの影響で中止になりました。
好きな映画にも行けない、落語も聞きに行けない状態ですが、大変なのは表現者です。桂文福さんはどうしているかなあと心配していたところに、紹介したはがきがきたのです。
「笑い・ユーモア」に関心の強い僕なので、「どもって、なまって」と自分でも言い、「どもりを個性に」している落語家・桂文福さんと、ずっとつきあいが続いているのも自然の流れなのでしょう。
笑い、音楽、映画、演劇は、人が生きる上で必要不可欠なものです。なんとか、この大変な状況をしのいで、復活してくださることを祈るばかりです。
まずは、桂文福さんとお弟子さんたちの元気な姿を見ることができて安心しました。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/5/22