2020年、日本吃音臨床研究会の活動のスタート
 東京でのワークショップ


 2020年のスタートは、東京ワークショップです。一週間後、東京北区の北とぴあで開催します。詳しくは、日本吃音臨床研究会のホームページのトップページ右にある案内をご覧下さい。ぎりぎりの申し込みも受け付けますので、どうぞ、ご都合がつきましたら、ご参加下さい。

日時 2020年1月13日(月・祝)10時〜17時
会場 北とぴあ
申し込み メール jspshinji-ito@job.zaq.jp

これまでのワークショップの様子を紹介します。

どもりそうな時、どんな手を使っても話す

 2017.01.08(日)開催の第5回東京吃音ワークショップには、吃音をめぐって様々な背景を持つ人たちが参加し、どもる人の人生が語られる温かく深い雰囲気の中で進行しました。 このワークショップで出た多くの話題の中、Aさんと伊藤伸二の対話を少し紹介します。Aさんは、伊藤の「吃音とともに豊かに生きる」と主張する書籍をかなり読んでいて、吃音は治らないだろうし、治せないだろう、吃音を受け入れて生きていこう、そう心に決めたものの、時に、そうできない自分に気づき、悩み、生きづらさを感じていました。

A 職場で仲間が聞いている中で電話をしないといけないことが多いと思った瞬間から、電話のことばかり考えてしまって、電話への不安から能率が悪くなる。<中略>
 「治す」と「治さない」があったら、僕は、「治さない」の方だとは思っている。でも、吃音を受け入れようとしている僕が、どもらないようにと言い換えをすると、後ろめたい気持ちになる。言いたいことを、どもって言えるようになるのが、僕の考えるゴールなんですが。
伊藤 ゴールの設定がまずいですね。言い換えてしまった自分に後ろめたさを持つのはやめましょう。<中略> 今、僕はこうしてしゃべっているけれど、いっぱい言い換えをしていると思う。その言い換えは子どものころからしているので巧妙で、無意識になっている。言い換えをしたという意識すらない。言い換えは、どもる僕たちの生きていくためのサバイバルだと考えよう。<後略>
A 私は、治すか、受け入れてどんなにどもっても言っていくかのふたつの選択肢しか持っていなかったようです。
伊藤 どもる子どもたちにも必ず複数の選択肢をもつようにと言っている。吃音以外のことでも、選択肢の幅を広げられたらいい。生きやすくなる。
A どもれるようになろう、に結論を置いていた。でも、そうではなくて、なんとかことばが出るようにいろいろな手を使って、サバイバルして、どうしても出ないときは、どもって言う覚悟を決めましょうということですね。
伊藤 そう。相手に伝えるということを一番大事に考えたら、何でもあり。大事にしたいのは、人と人との関係。ギリギリまで悪あがきをしたらいい。そして、最後はどもるに任せる。<後略>

 いろいろな人生に触れることができます。参加者が、その場をしっかり支えて下さるから、とてもいい雰囲気の中で、真剣で深い時間が流れていきます。
 よかったら、そんな時間を、ご一緒しませんか。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2020/1/6