動画配信中4 ホームページの概要

 力を入れている動画について、紹介してきました。最後に、この日本吃音臨床研究会のホームページの概要をお知らせします。

A どもる君へ
 学童期、思春期のどもる子どもに語りかけるように、伊藤伸二が、自身の体験に基づき、子どもたちへメッセージを送っています。吃音親子サマーキャンプの話し合いの中で、子どもが何を考え、学校での発表や音読の体験、からかいなどにどのように対処しているかを紹介しています。中学・高校生を対象に書いたものは、僕の思春期の苦悩を書きました。今、小学生を対象にした文章を少しずつ書いている途中です。

B 知っておきたい吃音知識
 正しい知識を持つことは、吃音と共に生きる上で不可欠です。原因、治療の歴史、真の吃音問題、国際大会や国際吃音連盟のこと、海外の情報など、吃音の正しい知識を整理します。

C 臨床の広場
 吃音と共に生きるをテーマに、全国のことばの教室の実践を紹介。『吃音と向き合う、吃る子どもへの支援−ことばの教室の実践集』を1冊そのまま掲載しました。明日からの実践に役立つ実践・情報です。

D 伊藤伸二のページ
 言語聴覚士養成の大学や専門学校で吃音の講義を担当してきた伊藤伸二が自分自身の体験だけでなく、これまで出会ってきた多くのどもる子どもたちやどもる人たちの体験を整理し、新しい臨床を提起します。全難言大会・鹿児島大会での記念講演や北海道言語障害児教育研究大会での記念講演などの講演記録、映画「英国王のスピーチ」の映画の見方など、どもる当事者としての視点から、吃音問題の本質に迫ります。

E セルフヘルプグループ
 あなたはひとりではない、あなたはあなたのままでいい、あなたには力がある、この3つを基本にしたセルフヘルプグループの活動を紹介。朝日福祉ガイドブックの「セルフヘルプグループ」を、朝日厚生文化事業団の許可を得て全文掲載しています。この冊子は、朝日新聞厚生文化事業団によって1998年3月31日に発刊されましたが、絶版になりました。これは、多くの当事者が執筆したきわめて貴重な文献です。セルフヘルプグループの社会的意義や実際の活動を広く知って欲しくて、ホームページへの掲載をお願いしたところ、許可をして下さいました。

F 吃音資料館
 新聞記事、吃音に関する書籍、論文、文芸作品に見る吃音、どもる著名人や、これまでかかわりのあった人たちとのエピソード、海外情報など、バラエティに富んだ資料館です。内須川洸さん、水町俊郎さん、竹内敏晴さんの部屋には、これまでの著作や論文などを掲載。吃音に関する知識・情報の宝庫です。

G どもる子どもの保護者の皆さんへ
 子どもがどもり始めたときの不安への対処、子育ての大切なポイントを伝えた「どもりの相談」のパンフレットを全文紹介しています。『どもりの相談』は、当時、私たちに深くかかわって下さっていた内須川洸・筑波大学教授、ことばの教室の教師、どもる子どもをもつ母親、どもる私たちが、何度も書いては議論し、書き直すという粘り強い取り組みの中から生まれました。また、財政的には、あゆみの箱、安田生命社会事業団、ライオンズチャリティファンドから、多額の援助を受け、5万部という大量の発行が実現しました。多くの人の手によってできあがったパンフレットです。新聞で紹介され、全国から問い合わせや注文がありました。5万部発行したにもかかわらず、長い年月の中で、今は手元にはなくなりました。41年前のパンフレットですが、内容は少しも色あせていません。ぜひ、お読みいただきたいと思い、紹介することにしました。

H 吃音の動画
竹内敏晴さんから学んだ「日本語の発音・発声のレッスン」や、映画上映とトークイベント、どもる人本人が、自分の体験を綴った「ことば文学賞」受賞の作文を、どもりながら朗読している様子、大阪吃音教室の講座など、映像で見ることができす。大阪吃音教室の講座「吃音Q&A」は、さまざまな質問に伊藤伸二が答えています。どもる成人の生き生きと話す姿は、子どもに勇気を与えることでしょう。

I 書籍『吃音者宣言−言友会運動十年』 
 言友会創立10年の節目に「吃音者宣言」文を起草しました。「吃音者宣言」の解説の意味で『吃音者宣言−言友会運動十年』(たいまつ社)を出版しました。40年以上も前に出版された本ですが、今も、この本の精神は色あせていません。むしろ、今の時代に多くの人に読んでいただきたいとの思いが膨らんできました。「どう治すかではなく、どうよりよく生きるか」が問題だとする私の考えに近い、考え方や実践が、2000年になって急速に広がっているからです。
 医療社会学者、アーロン・アントノフスキーによる、究極の恐怖を経験したアウシュビッツの強制収容所から生還した女性の3割が、良好な健康状態を保ち続けられたのはなぜかの調査研究から生まれた「健康生成論」。心理学者ウェルナーによる、ハワイ諸島のカウアイ島の貧困、暴力、犯罪など多発する劣悪な環境に生まれ育った子どもの約3割が能力のある信頼できる社会人として育っていたとの調査研究から生まれた「レジリエンス」。これらの研究が、今、世界で関心をもたれるようになりました。
 「べてるの家」の当事者研究、ナラティヴ・アプローチ、オープンダイアローグなども、この流れに共通するものです。これらの流れを参考にしながら「吃音者宣言」をもう一度再考し、私は、「吃音を生き抜く吃音哲学」を作ろうとしています。出版社そのものがなくなりましたので、1976年たいまつ社発行の『吃音者宣言−言友会運動十年』を全文紹介しました。

 ブログだけでなく、フェイスブックやツイッターでも配信中です。伊藤伸二が今考えていること、講演会や研修会、相談会で話したこと、読んだ本や観た映画の感想、これからのイベントの予定など、読みやすいエッセー風のものです。

日本吃音臨床研究会のホームページ www.kituonkenkyu.org

伊藤伸二のブログ www.kituonkokufuku.com/

日本吃音臨床研究会のフェイスブック www.facebook.com/JapanStutteringProject

伊藤伸二のツイッター twitter.com/jspshinjiito

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/5/27