糖尿病患者の幸せ

 4月28日が近づいてきました。僕の75歳の誕生日です。後期高齢者の仲間入りかと思うと、不思議な気がします。勝手に、63歳で野垂れ死にすると思っていたので、ここまで生きるとは感慨深いものがあります。
 誕生日の月には、いろいろなところから、ハッピーバースデーの催し物の案内が届きます。
 第1弾として、以前もブログで紹介したこともある、枚方市のサンタバーバラというフランス料理店に行きました。オーナーシェフは、僕より一つ年下ですが、同級生のようです。何回か通ううちに、顔なじみになり、ことばを交わすようになりました。サービス担当のおつれあいだけでなく、シェフも、厨房から出てきて、いろいろな話をするようになりました。僕のブログも読んで下さっているようで、お店に行くのにちょっと間が空いたりすると、体を心配して下さいます。「インフルエンザだったんですね」というふうに。
サンタバーバラ2 僕は糖尿病なので、普段は野菜や大豆食品中心のかなりの「粗食」です。糖尿病はいつも食事に気をつけなくてはならないし、一日45分はスロージョギングをするなど、時に嫌になることもあります。旅行には、薬やサプリをかなり用意しなければならないので、不便です。しかし、決して不幸ではありません。たまにおいしい食事をするとき、本当に幸せな気持ちになります。
 すき焼きは伊賀の「金谷」、てんぷらは銀座の「近藤」、うなぎは名古屋の「蓬莱」などに行きます。かなりのグルメだと自認しています。
 普段が普通の人以上に粗食だから、たまに食べるおいしいものの「おいしさ」がよく分かります。「何でもおいしい」というような「舌」ではなく、違いのわかる「舌」にしてくれた、料理が上手だった母親に、今、とても感謝しています。
 「舌」がこえているので、よほどおいしいところでないと複数回行くことはありません。「血糖値を上げる」リスクを負ってまで食べるのですから。
 枚方のサンタバーバラは、いい食材が入ったとき案内してくださいます。そんなとき、喜んで行ける、数少ないお店です。僕も、まだまだがんばらなくてはならないことがあるので、元気でいたいですが、シェフには元気で料理を作り続けていただきたいと願っています。
サンタバーバラ1 糖尿病患者には、あまり血糖値をあげないフランス料理が一番いいと、「糖質制限食」の提唱者はすすめています。誕生日なので、いつもは遠慮するデザートもいただきました。
 せっかくのスペシャルランチなので、写真を撮るつもりでいたのですが、普段、その習慣がないので、出てきたらすぐ食べ始めてしまい、気がついたら、時、すでに遅し状態でした。最初の一皿や、野菜スープ、天使の海老やシタビラメ、ステーキなどのメインのお皿が紹介できず、残念です。きれいに盛り付けられたオードブルと、デザートだけは、かろうじて撮ることができました。
 元気が出て、またがんばろうという気になりました。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/4/24