高知県言語聴覚士会の吃音研修会の感想


 「どもる子どもの保護者のための相談会」が終わった後の懇親会で、川野通夫先生のなつかしい思い出話をしました。その懇親会から1ヶ月もたたないうちに、川野先生が亡くなったとの知らせを受けたことになります。急遽、川野先生への追悼のブログを、前回書きました。今日は、高知行きの続きです。

 相談会・懇親会の翌日の12月23日は、高知県の言語聴覚士会主催の研修会でした。若い言語聴覚士の方、幼稚園や保育園の先生方など、50名の方が参加して下さいました。
ち 表の看板ち 始まる前のホワイトボード
 ここでの講演のタイトルは、「子どもの非認知能力を高めるために」としました。パワーポイントは使わないけれども、資料として配付したパワーポイントの資料に沿って話したいと最初に言いましたが、やはりそうはいかず、今、伝えたいという思いのまま、資料は見ないで語りました。皆さん、熱心に聞いて下さっていることが伝わってきます。
 研修会が終わって2日後、参加者の感想を送って下さいました。すぐにパソコン入力して下さったのだと思います。その感想の中から一部紹介します。

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〇伊藤さんの話は、どもる私にとってとてもわかり易く、本質を突いたものでした。とても勉強になりました。伊藤さんは、今でも常に新しい知見を取り入れながらも、ブレずにどもる子どもやどもる人のサポートをされていることがよくわかりました。

〇伊藤さんのお話の中で、いくつも思い当たり、 共感するところがたくさんありました。
 お話はどもる子どもや成人の方々への向き合い方だけでなく、私たちがかかわるすべての子どもや成人、親御さんへの向きあい方にとても参考になると思いましたし、基本的なことだと思いました。
 私自身、地域の臨床をする中で、社会モデルや当事者研究を学び、私の言語療法を根本的に変える(パラダイムシフト)契機になりました。今は改めて、その大切さを確認しました。

〇今後のSTの仕事に生かしていきたいと思います。
 吃音に対して、自分が思っていた事や感じていたことの考えが「全然違うな」と思った部分がたくさんあり、改めて勉学に励まないといけないという考えがさらに強くなりました。また子どもさんや患者さんに対しての接し方も気を付けていかないといけないと感じました。

〇日頃は、障害を抱える又は診断が下りている否かにかかわらず、発達に困り感を抱える子どもや親御さんに関わる仕事をさせていただいてます。今日の伊藤さんの話は、私の日頃業務でいつも自問自答している内容ばかりで、また明日からガンバロウ!と思えるようになりました。親御さんの子どもへの思い、それは期待感でもあり、現実を受け止め切れない苛立ちや焦りでもあり。これらの思いにどう寄り添い、どう動くか、今日のお話を思い出しながら、一緒に歩ませていただこうと思います。

〇伊藤さんの実体験や母親との関わりを聞かせて頂いてよかったです。
 また、安全地帯を作っておくことは、すごく重要だと実感しました。今まで通り、焦ることなく、よりそっていこうと思いました。

〇私は将来、言語聴覚士になりたいと考えております。そう考えるようになったきっかけが、吃音に悩む人の相談を受けたことからだったので、実際に吃音を持ちさまざまな経験をなさっている伊藤さんの講演に興味を持ちました。
 吃音に苦しむ人の側にいる私にできることは一体何なのか、専門性を持つことで、そこから先は何をしなければいけないのか、お話を聞くことでそれが見つかればいいなという思いがありました。
 講演を聞き終えた後は、その人の幸せを一緒に考え、苦しみとどう向き合うか、失敗した時はどういうことに努力すれば今後うまくいくだろうかということを共に考えることが私の役目なのだと、大きな気づきを得ることができました。
 これから目指していく言語聴覚士像をより明確にしてくれる貴重なお言葉をいただき、この度は本当にありがとうございました。

〇初めて吃音について学ぶ機会に参加できました。幼児と過ごす日々の中で、吃音に対してどう受けとめれば良いか分からず、吃音に関して触れないように対応してきました。今回、お話を聞かせて頂き、幼児のそのままのしゃべりを受けとめ、話していけるようにしていきたいと思いました。

 あっという間に時間になり、吃音研修会は終わりました。新しい本の販売もしましたし、サインもしました。サインをしながら、個別の質問にも答えました。
 その後、車で高知を案内していただきました。合流してくださる方もいて、5人でお昼ご飯をいただきました。その番外編は、次回のブログで。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/1/17