やっと原稿を書き上げました

 ナラティヴ・アプローチをテーマにした本を執筆中ですと、このブログに書いたのはいつだったか、書きたいことは明確で、普段書いていることなのに、悪戦苦闘しています。何度も何度も読み返し、読み直し、ことばを吟味し、言い回しを工夫し、執筆・編集の産みの苦しみを味わっています。紙面に限りがあるため、なおさらです。

 出版の話が降ってわいたのは、昨年の7月、国重浩一さんのワークショップの記録を年報として発行したときでした。そのときには、あくまでも年報であって、書籍としての出版は考えていませんでした。ところが、国重さんの方から出版しませんかと声をかけていただき、うれしく、是非とお答えしましたが、内容は明確には見えていませんでした。
 国重さんが、ナラティヴ・アプローチのワークショップのために、ニュージーランドから来日されるのに合わせて打ち合わせをし、吃音を生きる子どもに同行する教師・言語聴覚士の会のみんなと合宿をしたりして、少しずつ形が見えてきました。

 今年に入ってからは、2月の東京ワークショップの前に合宿、3月の千葉での吃音親子キャンプの時に打ち合わせ、4月にまた合宿をしました。その間、メールは、深夜まで飛び交いました。そして今、5月が終わろうとしていますが、なんだか2月、3月、4月、5月があったような、なかったような、長い一月だったような、そんな不思議な気分です。どうしてもブログまで手が回らず、長い間お休みしていました。

 大好きな高倉健さんに似て、本当に不器用なため、僕は、ひとつのことが始まると、他のことがおろそかになります。でも、日常は続いているため、なかなか進みませんでした。気分転換のための小旅行も組んでいるのですが、常に頭には原稿のことがありました。

 ジョギングする寝屋川公園やマンションの、桜がつつじに変わり、そして今、紫陽花に変わりました。季節の花々は、時を忘れず、必ずその時期になれば花を咲かせます。自然の営みの律儀さ、几帳面さに、改めてすごいなあと思います。
紫陽花1紫陽花2紫陽花3
 
 やっと原稿は、書き上げました。最終の編集も大詰めを迎えました。完全な開放感を味わうまでもう少し、がんばろうと思います。
 今年の夏か秋には、本屋の店頭に並ぶと思います。とても良い本になったと確信しています。出版されましたら、また報告します。
 
 明日から、専門学校で吃音の講義が始まります。6月から秋にかけてはスケジュールがびっしりです。74歳になって、まだまだしたいこと、しなければならないことがあるのは吃音のおかげです。いくら感謝してもし足りないくらいです。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/5/29