大阪吃音教室の運営会議

 2月17・18日、吃音教室の会場である應典院で、2018年度の計画を立てる大阪スタタリングプロジェクトの運営会議がありました。
 17日は、「新生」や「スタタリング・ナウ」の発送作業の後、午後1時30分から9時まで、18日は午前9時から12時まで、長時間にわたる会議でした。
 参加者は22人で、新しく入った2人も参加しました。大阪の運営委員のほぼ8割の出席率です。それぞれが仕事があっての活動なので、この出席率は毎年思うのですが、すごいことです。

運営会議の様子

 まず、ひとりひとりの振り返りと近況報告です。1年間の活動や行事全体を通しての振り返り、自分が担当した講座の話、印象に残っている講座の話、仕事や家庭のプライベートの話など、忘年会のときと同じような、温かな穏やかな時間が過ぎていきました。
 その後は、毎週金曜日の世話人や、ニュースレター「新生」の編集担当者を決めました。そして、大阪吃音教室の年間スケジュールを決めていきます。そのときにも、あの講座での、あの発言がよかったとか、あの進め方がわかりやすかったとか、今度はこんなふうにしてみたいとか、運営委員同士へのレスポンスあり、次回への抱負あり、反省あり、で賑やかに続きます。
 そして、いつの間にか、前期、後期合わせて40回を超える吃音教室の講座内容が決まっていきます。基本形は残しつつ、毎年新しい講座ができるのも面白いです。
 今年は、「どもり内観」と「吃音キャラクターを作ろう」と「物語る力を育てる」が入りました。どんな講座になるか楽しみです。

 1986年、第1回吃音問題研究国際大会を京都で開いたとき、吃音と上手につきあうことの大切さは分かったが、現実にどうしたらいいのか具体的に知りたいと海外の参加者からも尋ねられました。そんなことはそれぞれが考えればいいことと思っていましたが、そうもいかず、大阪吃音教室の全講座を僕が担当することになったのです。年間すべての講座の資料を作るのは、大変でしたが、それはとてもいい経験になりました。その後、だんだんとみんなが講座を担当するようになり、2018年度の僕の担当は、年間5、6回くらいです。
 スケジュールが決まれば、担当者です。これは翌日参加の人もいるので、翌日の午前中にかけて決めていきました。自分のしたい講座をどんどん名乗り出ていきます。押しつけることがまったくなく、決まっていくのも毎年のこと。頼もしい仲間たちです。
 その他、親・教師・言語聴覚士のための吃音講習会、吃音親子サマーキャンプ、新・吃音ショートコースなどのイベントへの参加についても話し合いました。
 特に、吃音講習会への参加は、ことばの教室担当者にとって意味のある大きなものになっています。担当者の中には、成人のどもる人に出会ったことがないという人も少なくありません。学童期のどもる子どもたちと関わっていますが、その子どもたちが大きくなってからのモデルを実際に見て、話をし、一緒に活動をすることの意義は大きいです。同時に、私たちの当事者としての発言も大切になってきます。いいモデルでありたいと思います。

 金曜日の大阪吃音教室が始まったのは、国際大会の翌年の1987年で、会場は森ノ宮のアピオ大阪でした。そのアピオ大阪が閉館になり、今の應典院に会場を移したのが、2008年でした。應典院での吃音教室は、2008年4月11日金曜日から始まりました。10年目に突入です。新たな歴史を刻んでいく、そのスタートにふさわしい、運営会議でした。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/02/22