
日本吃音臨床研究会のホームページに映像を公開しています。その中の一つに、吃音についての、様々な質問に、僕が答えるという「吃音の基礎知識」のコーナーがあります。第一回目の様子はすでに、公開していますが、今回、その二回目の収録が大阪吃音教室の例会の中で開かれました。
あらかじめ、よく出される質問、質問者が質問したい項目を考えてはおきますが、答えを用意しているわけではなく、僕がその場で即興で答えるというものです。
最近の僕の講演や講義では、たとえば60人程度の参加者の場合でも、質問用紙に、今一番聞きたいこと、疑問をもっていることを書いてもらい、その場で全ての質問に答えていくというスタイルをとっています。せんだっての、国立特殊教育総合研究所での一日の講義でも、2コマはそのスタイルで進めました。
今回、大阪の仲間の藤岡千恵さんが質問をして下さいました。ひとつの質問にだいたい10分程度で答えていきました。僕は質問をしてもらうと、頭が活性化して、それまで考えていなかった、言ってこなかったことも、質問に答える中で出てきます。今回も質問者の藤岡さんとのやりとりの中で、今まで言ってこなかったことが飛び出して、とてもおもしろい時間でした。
25名の参加者の前で、カメラの前で話すのはほどよい緊張で、だから、今まで口にしていなかったことも飛び出してくるのでしょう。普段、大阪吃音教室に参加している人たちも、初めて聞いた話があって、おもしろかった、ためになったと言ってくれました。
映像プロジェクトの井上詠治さんが、かなりのエネルギーを使って制作してくれています。編集作業が終われば、日本吃音臨床研究会のホームページにアップされます。是非、映像で見る「吃音Q&A」のコーナーを見て下さい。
先月末、言友会中部地区大会がありましたが、そこに参加していた人の中で、ホームページの映像を見てくれていた人がいて、「プロに頼んでいるのですか」と言われました。映像も音声もとても鮮明だから、そう思ったそうです。
日本吃音臨床研究会や大阪スタタリングプロジェクトの活動を記録して、YouTubeで公開するプロジェクトが軌道にのってきたこと、とてもありがたく、仲間の力でそれがやり遂げられることに僕は誇りを持っています。インターネット上には、間違った情報、どもる子どもやどもる人を幸せにしない情報が充ち満ちています。
どうか、日本吃音臨床研究会のホームページに、吃音の動画として、吃音の基礎知識の映像があること、お知り合いに知らせていただければうれしいです。僕が質問に答える映像だけでなく、ことば文学賞の作品を作者が読んでいる映像、竹内敏晴さんから学んだことばのレッスンの映像も公開しています。
今回の質問項目です。 大阪吃音教室 どもりQ&A 11月10日 質問項目
◆どもりと不安
・どもると不安が高まるのか、不安だからどもるのか
・どもる人の悩みのひとつ「話す前は不安が高まって何も手につかなくなる。不安への対処法が知りたい
◆緊張とのつき合い方
・緊張しやすいです。緊張を和らげるのに効果的な方法を教えてください。
◆事前練習の効果
・発表の前日に事前練習すると、余計に緊張が高まります。別のどもる人は、事前練習したら気持ちが楽になるといいます。事前練習はしたほうがいいですか?
◆喋りやすくする工夫
・どもりは治らなくても、日常で喋りやすくなるための良い方法があればできるだけたくさん教えてください。
◆自己紹介の工夫
・名字が言いにくいので自己紹介がいやです。どうすれば自己紹介をうまく切り抜けられますか?
・自己紹介が嫌で、自己紹介がある場を避けてしまう。
◆第一声が出ない
・吃音の状態のひとつ、ことばそのものが出てこないブロックの状態は、人から見て「何が起こっているのか」がわかりにくい。どもっているとは認識されにくい。
・会社の電話で第一声が出ないので無言電話だと思われて切られてしまうという声もある。
・第一声が出ないときの対処など
◆どもりは差別用語?
・「どもり」ではなく「吃音症」という言葉が目につく。昔は「どもり」と言っていた。
・「どもり」という言葉はあまり使わないほうがいいですか?と聞かれることがある。
◆どもりと落ち込み
・どもる人の悩みのひとつに「どもったあとは何日も落ち込んで引きずります。どうすれば引きずらずに明るくいられますか?」がよく出る。
すでに公開されている映像
◆どもる原因 ◆どもりは治るか ◆どもりの波 ◆どもりと障害 ◆吃音と発達障害
◆どもる人の人口 ◆どもる人の仕事 ◆世界の吃音 ◆どもりの説明の仕方
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/11/11