第28回吃音親子サマーキャンプ、終わりました
吃音の夏の最後のイベント、第28回吃音親子サマーキャンプが終わりました。
毎年、吃音親子サマーキャンプというお祭りが終わると、夏も終わりで、少し寂しくなります。そして、虫の声がにぎやかになり、秋の訪れを感じるのですが、今年は、まだまだ暑い日が続いています。サマーキャンプの会場である滋賀県彦根市の荒神山自然の家の涼しさが恋しいです。
毎年のことですが、いつも不安を抱いてキャンプの準備を始めます。あのとき少し気になったあの子は参加するだろうか。多くの人が参加して下さるだろうか。同時に、これまでスタッフとして参加して下さった人が、今年も参加して下さるだろうか。
そんな心配もあったのですが、今年の28回目の今年のキャンプ、124名の参加でした。スタッフの数が昨年に比べ、少し増え、48名でした。そのうち、サマーキャンプ卒業生が11名。卒業生の姉も参加してくれました。サマーキャンプが大切にしていることも、プログラムや流れもよく知ってくれている卒業生の参加は、頼もしい限りです。また、ホームページや口コミで、ことばの教室の先生や言語聴覚士の方の参加も少しずつ増えてきたように思います。
今年は、近畿や東海だけでなく、遠く北は宮城県から、また、千葉県、東京都、神奈川県などの関東地方から、南は沖縄県、鹿児島県、大分県、福岡県などの九州地方まで、全国から参加して下さいました。特に、沖縄県からは7名、三重県から12名もの方が参加して下さいました。三重県からの参加がこんなに多いのは、ことばの教室の先生が通ってきているどもる子どもや保護者にサマーキャンプの案内をコピーして渡し、誘って下さっているからだとお聞きしました。初めての参加が多かったのも、今年の特徴でした。
卒業生は4名。毎年、卒業式を行えるのもうれしいことです。ひとりひとりのこれまでのことを思い浮かべながら、卒業証書の文を考えました。卒業式で、卒業生がひとりひとり自分のことばであいさつをするのを見て、胸がいっぱいになりました。紙に書いたものを読むのではない、今、自分の中から生まれてくる思いを大切にし、自分のことばで自分を語るその姿は、まぶしいくらいでした。また、保護者のことばは、僕たちを幸せな気持ちにさせてくれました。
卒業式の後、初めて参加した方ひとりひとりに感想をお聞きしました。時間が短かったのですが、続けてきてよかったという気持ちにさせてくれるすてきな時間でした。
毎年、このようなキャンプが開催できるのは、スタッフが、その場その場で判断して動き、事前に演劇の小道具の製作など準備し、そして何よりも子どもや親のことを考えてキャンプに集中して下さるおかげだと思います。初めて出会う人もいるのに、48名のスタッフの、このチームワークのよさはいつも不思議であり、僕の誇りです。
人間関係の希薄な、このぎすぎすした時代に、お互いを思いやる、このような空間があることは奇跡だと僕は思います。スタッフ会議のとき、気になる子どもの話が出ると、次々に手が挙がり、その子の話し合いでの様子や劇の練習での様子、親のこと、きょうだいのことなど、途切れることなく、その子の物語が語られました。ともすれば、課題があると親が心配して参加している場合も、その子どもたちに対する見方がなんとも言えず温かく、やりとりを再現してくれるスタッフの話に共感をもって聞くことができるスタッフたちの見事な時間・空間でした。
今年は、親の学習会に特別ゲスト・兵頭さんを迎え、彼へのインタビューを聞き、事前に学習したレジリエンスやポジティヴ心理学のキーワードを使って、グループごとに模造紙にまとめるという作業をしました。「そんなにどもっていて、市民の命が守れるのか」と言われながらもそれに耐え、念願の消防士になった人、僕たちの中では伝説になっている人、僕が講義や講演の中でよく紹介する人、そんな兵頭さんの生出演で、保護者は大きな力を得たことと思います。ロングインタビューに真摯に応えてくれた兵頭さんに感謝です。
日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2017/08/22
吃音の夏の最後のイベント、第28回吃音親子サマーキャンプが終わりました。
毎年、吃音親子サマーキャンプというお祭りが終わると、夏も終わりで、少し寂しくなります。そして、虫の声がにぎやかになり、秋の訪れを感じるのですが、今年は、まだまだ暑い日が続いています。サマーキャンプの会場である滋賀県彦根市の荒神山自然の家の涼しさが恋しいです。
毎年のことですが、いつも不安を抱いてキャンプの準備を始めます。あのとき少し気になったあの子は参加するだろうか。多くの人が参加して下さるだろうか。同時に、これまでスタッフとして参加して下さった人が、今年も参加して下さるだろうか。
そんな心配もあったのですが、今年の28回目の今年のキャンプ、124名の参加でした。スタッフの数が昨年に比べ、少し増え、48名でした。そのうち、サマーキャンプ卒業生が11名。卒業生の姉も参加してくれました。サマーキャンプが大切にしていることも、プログラムや流れもよく知ってくれている卒業生の参加は、頼もしい限りです。また、ホームページや口コミで、ことばの教室の先生や言語聴覚士の方の参加も少しずつ増えてきたように思います。
今年は、近畿や東海だけでなく、遠く北は宮城県から、また、千葉県、東京都、神奈川県などの関東地方から、南は沖縄県、鹿児島県、大分県、福岡県などの九州地方まで、全国から参加して下さいました。特に、沖縄県からは7名、三重県から12名もの方が参加して下さいました。三重県からの参加がこんなに多いのは、ことばの教室の先生が通ってきているどもる子どもや保護者にサマーキャンプの案内をコピーして渡し、誘って下さっているからだとお聞きしました。初めての参加が多かったのも、今年の特徴でした。
卒業生は4名。毎年、卒業式を行えるのもうれしいことです。ひとりひとりのこれまでのことを思い浮かべながら、卒業証書の文を考えました。卒業式で、卒業生がひとりひとり自分のことばであいさつをするのを見て、胸がいっぱいになりました。紙に書いたものを読むのではない、今、自分の中から生まれてくる思いを大切にし、自分のことばで自分を語るその姿は、まぶしいくらいでした。また、保護者のことばは、僕たちを幸せな気持ちにさせてくれました。
卒業式の後、初めて参加した方ひとりひとりに感想をお聞きしました。時間が短かったのですが、続けてきてよかったという気持ちにさせてくれるすてきな時間でした。
毎年、このようなキャンプが開催できるのは、スタッフが、その場その場で判断して動き、事前に演劇の小道具の製作など準備し、そして何よりも子どもや親のことを考えてキャンプに集中して下さるおかげだと思います。初めて出会う人もいるのに、48名のスタッフの、このチームワークのよさはいつも不思議であり、僕の誇りです。
人間関係の希薄な、このぎすぎすした時代に、お互いを思いやる、このような空間があることは奇跡だと僕は思います。スタッフ会議のとき、気になる子どもの話が出ると、次々に手が挙がり、その子の話し合いでの様子や劇の練習での様子、親のこと、きょうだいのことなど、途切れることなく、その子の物語が語られました。ともすれば、課題があると親が心配して参加している場合も、その子どもたちに対する見方がなんとも言えず温かく、やりとりを再現してくれるスタッフの話に共感をもって聞くことができるスタッフたちの見事な時間・空間でした。
今年は、親の学習会に特別ゲスト・兵頭さんを迎え、彼へのインタビューを聞き、事前に学習したレジリエンスやポジティヴ心理学のキーワードを使って、グループごとに模造紙にまとめるという作業をしました。「そんなにどもっていて、市民の命が守れるのか」と言われながらもそれに耐え、念願の消防士になった人、僕たちの中では伝説になっている人、僕が講義や講演の中でよく紹介する人、そんな兵頭さんの生出演で、保護者は大きな力を得たことと思います。ロングインタビューに真摯に応えてくれた兵頭さんに感謝です。
日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二 2017/08/22