第2回吃音親子キャンプinおきなわ

5月20・21日、沖縄で、第2回吃音親子キャンプinおきなわが開かれました。
昨年11月に第1回を開いてから、半年後の開催です。

大阪から、昨年に引き続き、坂本英樹さん、井上詠治さん、溝口稚佳子さん、今年初参加の西田逸夫さん、鹿児島から溝上茂樹さん、僕を加えて計6人が参加しました。参加者総数は、なんと97人でした。

沖縄のキャンプは、他のキャンプと違う特徴があります。他のキャンプのスタッフがことばの教室担当者が中心なのに比べて、沖縄のキャンプのスタッフは、ことばの教室の担当者と言語聴覚士、むしろ言語聴覚士の方が多いことです。また、今年は平良和さんが教師として勤めている、言語聴覚士養成の専門学校の2回生の学生が全員、講義の一貫として参加しました。

5月19日、定刻通り、飛行機は那覇空港に着き、僕以外の5人がそろって、会場の石川青少年自然の家に向かいました。僕は、専門学校の講義のため、木曜日から沖縄入りしました。自然の家に着くと、昨年11月にそうだったように、セミの鳴き声が出迎えてくれました。11月でも、5月でも、沖縄キャンプは、セミの鳴き声から始まりました。

 19日は、キャンプには参加できないけれども、吃音の学習はしたいという人たちのために、吃音学習会をしました。

 僕が、夏の全国難聴・言語障害教育研究協議会の講習会・吃音のレジメとして書いたものをもとに、話をしました。「夏のための練習です」と前置きして始まった学習会。「子どもの将来を展望しての・・・」と話し始めて、これまでほとんど話してこなかった、「聴覚障害の子どもの自己概念」について話していました。僕は自分でも予想していなかった出始めにびっくりしながらも話していました。大阪の人達も初めて聞く話に、新鮮だったようです。

 その後は、レジメにある、オープンダイアローグ、レジリエンス、ナラティヴ・アプローチ、おまけにネガティヴ・ケイパビリティまで、カタカナ用語が多かったので、初めて耳にする参加者にとっては、少々とまどいがあったようです。しかし、そのようなキーワードをもつことは、これから物事を考えていくとき、アンテナを張ることができ、その視点で考えることができる軸になります。予想したとおり、レジメどおりには全く進みませんでしたが、話したいと思っていたことはほぼ話せました。

 そして、いよいよ、キャンプ当日。参加者がぞくぞくと集まってきました。
 出会いの広場は、言語聴覚士の若い人が緊張しながら進めてくれました。じゃんけんゲームや、3人組になって始める「リスと木」のゲーム。
 「リスが怖いものは何でしょう」の問いかけに、「ハブ!!」という答え。「リスも木も怖いものは何でしょう」には、嵐ではなく、「台風!!」。さすが沖縄です。
 最後は、みんなが知っている歌をグループに別れてパフォーマンスをしました。曲は、ちょうちょ、ぶんぶんぶん、海、キラキラ星、どんぐりころころ、です。不思議なことに、初参加の人も多いのに、短時間のうちに、パフォーマンスが完成していました。

 話し合いは、滋賀のキャンプと同じで、子どもは年代別、親もグループに別れて行いました。
 低学年の子どもたちが、去年の話し合いのことをよく覚えているのにびっくりしました。キラッと光ることばがたくさん拾えました。2段ベッドにのぼったり、遊び始めたり、これも想定内の子どもたちの動きでした。
 中学校の子どもたち、話さないのではないかと心配しましたが、よく笑う子もいて、なごやかに進みました。
 親のグループも、普段感じていることを出し合い、セルフヘルプグループができあがったようでした。

 保護者やスタッフとの話し合いの時間、子どもたちのナイトウォーク、作文、2回目の話し合い、2日間だけれども、話し合いの時間をたっぷりとり、ひとりで自分の吃音と向き合う作文の時間もあり、すてきなプログラムになっています。

 最後は、90人以上が円く輪になって、ふりかえりの時間です。大きな大研修室がいっぱいになりました。時間は、90分ありますが、一人1分しゃべったらそれで90分になります。パスはありにしましたが、2周まわると、全員が発言し終わりました。

 沖縄特有のまったり感に、去年は、なんか違うなあという感覚を持ったのですが、今年はすっかり染まってしまい、全然違和感がありません。
 大阪の気温はかなり高めということでしたが、沖縄は、梅雨の中休みで、とてもさわやかです。涼しい風が吹き、湿度も低く、本当に過ごしやすい2日間でした。

番外編
 日曜日の夕食は、ステーキ。
 なんか、これが定番になりそうです。自然の家の粗食のせいか、キャンプの終わり頃から、「さあ、ステーキだ」とはりきっていました。私たち6人と、平良さん、平良さんの子どもたち、滋賀のキャンプに来たこともある宮城さん、車で送迎をしてくれた森田さんの11人で、超人気店のジャッキーというステーキ屋さんに行きました。リーズナブルで、外にはたくさんの人が待っていました。伊藤は、迷いながら、200グラムを注文しましたが、ペロリと食べることができました。西田さんや坂本さんは、もちろん250グラムのLサイズ。まだ食べられそうだったようです。夜、国際どおりに戻って、昨年行ったショットバーの「あっちゃんの店」へ。

 翌日は、レンタカーを借りて、平和祈念公園、知念岬、佐喜眞美術館、旧海軍司令部壕を回りました。佐喜眞美術館では、丸木位里・俊さんの沖縄戦の絵に圧倒されました。昼食は、「最強食堂」。ネーミングからして、安くて、ボリューム満点のお店でした。戦争と平和を考え、青い海に癒された6人でのドライブ、名運転手の溝上さんに感謝です。井上さんは、記録を残そうと、ずっとカメラを回し続けてくれました。知念岬のきれいな景色も収まっているはずです。

 少なからず犠牲を払って参加してくれた井上さん、坂本さん、西田さん、溝上さんのおかげで、いいキャンプになりました。もう少し、沖縄での出番はありそうです。
 おおざっぱな報告をしました。詳しくは、これから紹介しいく予定です。

日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/05/24