「The Way We Talk上映会とトーク」

 人と人とが出会うお寺として有名な應典院で、「The Way We Talk上映会とトーク」イベントが行われました。

 應典院は、大阪吃音教室の会場として使っているところですが、演劇や映画、いろんな種類のイベントが常時開催され、常に、大勢の様々な人々が集まります。僕たちも、これまで、コモンズフェスタに、桂文福さんの講演や、竹内敏晴さんと鯨岡峻さんとの対談や、セルフヘルプグループの意義などのイベントを企画してきましたが、今回、久しぶりの参加でした。マイケル・ターナーの吃音ドキュメンタリー映画は、昨年の4月に大阪吃音教室の開校式で上映し、40名以上がすでに見ているので、参加者は少ないと思っていたのですが、僕たち関係者以外からの参加もあり、結局、今回も40名が参加してくれました。

 終わった後、やりとりされたメールをまず紹介します。トークに登壇した藤岡千恵さんからです。

 昨日、開催された、コモンズフェスタの企画の「The Way We Talk上映会とトーク」イベント、おつかれさまでした。

 應典院の本堂ホールに入った瞬間、大きなスクリーンが目に飛び込んできました。早くから会場に入ってセッティングしてくださる方がいたから、あのサイズのスクリーンでの上映が叶ったこと、感謝です。当日までの打ち合わせや準備や手配、当日の進行など、溝口さんがリードしてくださったことで、このタイトなスケジュールでのイベントや分刻みの当日のスケジュールが何事もなく終えられたこと、本当にありがとうございました。

 ミニシアターのような雰囲気のなかで「The Way We Talk」を観ることができて、映画の世界にどっぷり浸ることができました。音楽も、景色も、マイケルのナレーションも、大阪吃音教室の開講式の時の研修室で観た時も心地よかったですが、あの時の数倍、映画の世界観にどっぷりハマったという感じでした。
 今回、エンドロールで、伊藤伸二さんの名前が二番目に流れたことに気づき、マイケルにとって伊藤さんとの出会いが大きかったことを改めて感じました。マイケルとの出会いも不思議な縁を感じます。

 昨日、帰りの電車でトークのゲストの一ノ瀬かおるさんからさっそくメールがありました。
 
 「すてきな場に呼んでいただいて、ありがとうございました。光栄でした!みなさんによろしくお伝えください」とのことでした。トークでは、「桟橋で行き止まったシーンの、あの感覚がわかる」と言われていた一ノ瀬さんから出てくる言葉や視点に、私も刺激をうけました。
 伊藤さんの「どもる人だけでなくいろんな領域の、いろんな立場の人と交わるからこその豊かな世界」というメッセージ(実際に言われた内容と違っているかもしれませんが)、本当に納得!です。トークが始まるまでは、50分を長く感じていましたが、始まってみると「え!??もう時間!?」という感じでした。

 スポットライトを浴びてドキドキされながら(!)司会をしてくださった平松さんもよかったですし、ゆったりと話される、大阪スタタリングプロジェクトの会長・東野晃之さんからはあの場でも安心感をもらいました。早くから会場に入り撮影の準備や本番の撮影をしてくれた井上さん、スクリーンや会場の設営をしてくださったみなさん、資料の印刷と物販担当してくださった坂本さん、早めに来てくださった赤坂さん、昨日参加されたみなさん、ギリギリまで準備してくださった伊藤さん、溝口さん、皆で叶えた上映会だったと思います。
 みなさん、本当にありがとうございました。 藤岡千恵


 坂本英樹さんからのメールです。

 コモンズフェスタ、盛況のうちに終わりましたね。40人の来場は上々の出来でしょう。1月9日東京渋谷のロフト9でビールを飲みながら、あの映画を観た私は、お寺だけに般若湯(お酒)を飲みながらのイベントにしたかったなと一人いらぬことを考えていました。

 あの大画面で観たことで新たな気づきを得た人も多いと想像します。吃音氷山説のジョゼフ・G・シーアンの場面です。どもっているにもかかわらず、それをなかったことにして隠そうとしているのを、吃音を「カバ」という大きな動物」に喩え、誰にも見えているのに隠しているどもる人の現実を表していました。二回見ているのに「カバ」に気づけなかったという、新たな発見がありました。

 「どもるという経験」、「どもる経験を語る」ということについて展開されたトークは聞き応えがありました。東野晃之さんからはグループのもつ意味について、藤岡千恵さんからは、父親から伝えられたと考えていた、どもってはいけないというメッセージは実は自分自身が与えていた命令であったという、洞察が示されました。

 そのうえで伊藤伸二さんと一ノ瀬かおるさんから、他領域との交流の重要性、そこから開かれていく世界のイメージが語られました。
 普段とは異なる聴衆を得て、語りは進化、深化していくものだと悟りました。

 またの機会があれば、また!、ですね。 坂本英樹


 西田逸夫さんからのメールです。

 スクリーン、大ホールで使える最大の210インチのものを選んで正解でしたね。開演3時間前に、集合可能なメンバーが集まった甲斐がありました。

 個人的には、2度目に「The Way We Talk」を観て、確かめたいシーンがありました。最後近く、マイケルがお母さんから「もし子どもがどもり始めたらどう思う?」と尋ねられる場面です。去年の開講式に最初に観たとき、答えを返そうとしたマイケルの手が震えたような気がしたのですが、映画終了後の記憶がおぼろげで、自信を持てませんでした。

 今回見直すと、その場面、お母さんから尋ねられた後に長い間があり、画面が大きく揺れて、マイケルの涙をこらえているような、くぐもった声が続きます。
 記憶していた以上にマイケルの心の動揺が描かれていて、以前よりも一層、大好きなシーンになりました。
                                                   西田逸夫

 トークでの僕の発言はまた紹介します。

日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/02/01