
ウクライナ国立歌劇場管弦楽団による第九の演奏
2016年末、東京で過ごしたときのことをまだ書いていなかったので、少し書いていきます。
年末といえば、第九。第九を、昔は、レコード、ラジオ、テレビで聞くことはたびたびあっても、年末に、生のオーケストラで聞く機会は、これまで残念ながらありませんでした。上野公園を歩いていて、東京文化会館に行くと、あちこちのコンサートホールの催し物のチラシが置いてありました。その中からみつけたのが、12月29日、東京オペラシティコンサートホールでの催しでした。
ウクライナ歌劇場管弦楽団 名門オペラハウスが奏でるベートーヴェン不朽の名作。響き渡る圧巻の“歓喜の歌”と、チラシにはあります。ベートーヴェン「エグモント」序曲 作品84 と、同じくベートーヴェン交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」です。
チケットが無いまま、会場に行ってみました。当日券は、1時間前に発売されるとのことでした。当日券はステージの後ろ側だけでした。それもすぐに完売でした。待って買えてよかったです。
東京オペラシティコンサートホールは、とてもすてきな会場でした。音響効果のいい木を使った建物です。席は、ステージの後ろ側の2階の席。演奏する人たちの顔は見えません。後ろ姿しか見えません。でも、指揮者の顔はばっちり見えます。指揮者は、ミコラ・ジャジューラ。エネルギッシュで、表情が豊かで、演奏者ひとりひとりを際立たせ、細部にまで心を配って、指揮をしていました。その豊かな表情の顔や音楽に合わせて動く姿を見ることができ、とてもラッキーな席でした。
ウクライナ国立歌劇場管弦楽団は、総勢70名を超す大所帯で、後ろにずらっと並んだ合唱団の人たちも100名を超えています。そして、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンの4人もいます。
今、オープンダイアローグの本を何冊か読んでいます。その特徴のひとつが、多声的な対話によって、新たな理解が生じるとする、ポリフォニーです。目の前の演奏者の姿、楽器をみながら、聞きながら、これがオープンダイアローグの目指すところかと、納得したのでした。
生の演奏は、迫力満点でした。歓喜の歌は、よく知っていますが、演奏と合唱で、厚みが増し、厳かでいて、からだが弾んできます。おなかに響いてくる大迫力でした。
毎年、年末に第九の演奏があちこちでされる訳が分かったような気がしました。演奏と歌声に包まれ、幸せな気分になりました。
僕たちの年末の恒例の行事になりそうです。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2017/01/16