2016年の仕事納めは、埼玉県越谷市で

 毎年吃音の講義で行っている、神奈川県久里浜の国立特別支援教育総合研究所で受講生として来ていた、埼玉県越谷市のことばの教室の飛田さんが、僕を講師に呼んで下さいました。前日の夜は、ことばの教室の担当者4人と、旧知の人二人が加わって、食事をしました。質問をして下さったのでつい、翌日話す予定にしていたことなどを話していました。

 12月26日、午前中は、子どもと保護者に向けての学習会でした。ことばの教室の卒業生の中学生の体験談の発表は見事でした。自己紹介が不安だったけれど、最初の自己紹介で「音読などで、ことばがつまることかあります」と、話したことで、いい中学生活をスタートできたことなどを話し、部活や、勉強に忙しいので、吃音に悩んでいるヒマがないという話でした。本人はこの発表を楽しみにしていたのですが、残念ながら風邪のために参加できなくなり、母親が代読しました。見事な文章でした。他の卒業生の話も、在籍する子どもたちに向けて、心配しないで中学校へおいでという、応援のメッセージでした。

 その後、僕が90分話すことになっていたのですが、はじめに、子どもにも保護者にも、質問を書いてもらいました。その後、質問に答えていったのですが、それは、たとえば、「僕は、小学2年生から悩み始めましたが、どんなことがあって、悩み始めたと思いますか」と、僕自身の当事者研究のようなことをしながら、みんなの質問に答えていきました。

 「伊藤さんは、どんな時困りましたか」の質問に、「僕は吃音で困ることはありませんでした。なぜだと思いま すか」と、逆に子どもたちに尋ねました。僕は、音読も発表も逃げていたので、困らなかったけれど、とても、悔しくて、悲しかったなど、僕の小学、中学、高校生の頃のことなどを話しました。そして、吃音を治すことをあきらめてからは、楽しく生きていることなどを、子どもの質問に合わせながら話しました。子どもの質問に続いて、保護者の質問に答えました。子どもにとっては難しい内容でしたが、小学2年生から6年生の子どもが90分集中して聞いてくれました。

 6年生の女の子が、どもりかるたを作って、それを僕にプレゼントしてくれました。市販のカルタのように、化粧箱に入れた立派なものでした。子どもがつくった読み札に、絵の得意なことばの教室の教師が絵札をつくった、それはりっぱなものでした。こんな読み札がありました。

 あらふしぎ 体たたくと 言葉がでる
 かっこいい きつおん でてても どうどうと
 きにしてない これが私の 話し方
 けんかした  姉にきつおん バカにされ
 さいしょにね 自分のことを 話しておこう
 せいちょうと 同時に気分も 楽になる
 中学生になる時は 不安な気持ち 少しでる
 手をあげる 先生私に あてないで
 

 日常生活での吃音との向き合い方が伝わってきます。
 全国で、このような「どもりカルタ」の実践が広がっていくことは、うれしいことでした。

 明日は、講演会での話を紹介します。


眼を向いて話す

子どもと話す1


日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/12/27