

2016年最初の大阪吃音教室の例会で、想像もできなかったうれしい出来事がありました。NPO法人・大阪スタタリングプロジェクトの運営委員の総意で僕たちに感謝状が贈られたのです。
東野晃之会長の挨拶
日本吃音臨床研究会主催の吃音ショートコースは、2015年11月で1995年から続けられた21年の幕を一応幕を閉じました。
吃音ショートコースは、体験的に学ぶというワークショップ形式で、精神医学、臨床心理、教育など様々な領域の第一人者を講師に2泊3日の研修会として開催されました。どもる人たちだけでなく、吃音の臨床に関わる人、吃音でなくても自分らしく生きたい願う人などの学びと出会いの場となりました。
大阪スタタリングプロジェクトにとって、この学びの経験が即、大阪吃音教室の吃音と上手につき合う吃音講座に取り入れられました。吃音ショートコースは私たちの活動にとって、なくてはならないものでした。会の専従者はなく、私たちはそれぞれに仕事を持ちながら会の活動に携わります。だから「できることを、できる人がする」というスタンスを貫きますが、それは自分が関わらないことに無関心でいいということではなく、他の人の尽力や貢献を認め、その意義の共有に努めることでもあると思います。ひとりひとりが活動の意義を共有することは、非営利のセルフヘルプグループにとって大切なことだと考えています。
21年間、主催者として尽力くださり、貢献いただいた日本吃音臨床研究会の伊藤伸二さん、稚佳子さんに感謝の意を表し、感謝状と記念品を贈りたいと思います。
メンバーの藤岡千恵さんからは、こんなメールがきました。
藤岡です。今年のカルタも楽しすぎました。毎年参加していても、毎回、心揺さぶられる読み札に出会います。今回、奥野さんの読み札とイラストがいい味でしたね。今日の伊藤さんと溝口さんへの感謝の贈り物、とても感動しました。
これまでたくさんの吃音親子サマーキャンプの卒業生に賞状を渡してこられた伊藤さんと溝口さんが、東野さんから感謝状を受け取られる姿は、とても新鮮で、とても感動しました。東野さんがご用意くださった感謝状とメッセージはとてもジーンときました。
「読むのは苦手ですが」と言いながら東野さんが読み上げるメッセージを聞きながら、私が参加した10年間のショートコースの思い出がよみがえりました。
吃音ショートコースで出会ったたくさんの人、体験したこと、様々な講師の方たち…。論理療法や交流分析、アサーション、認知行動療法、アドラー心理学、ナラティブアプローチなど、こういうことを学ぶことができたことは、生きていく上でものすごく強いことだったと感じています。
伊藤さんや、大阪吃音教室に出会っていなかったら、もっと大変な人生だったかもしれないなと、時々思います。これまで吃音ショートコースを思う存分味わえたこと、本当に幸せなことでした。残念ながら、講師を招いていただくショートコースは終了となりましたが、これからは皆で作る吃音ショートコースを作っていけたら嬉しいです。改めて、伊藤さん、溝口さん、ありがとうございました。
東野さんが用意くださった、東さんの会社のオジコの Tシャツもとても素敵な贈り物ですね。東野さん、いつも色々と考えてくださり、ありがとうございます。
本当にありがたい仲間たちです。この仲間がいるからこそ、50年続けた活動を、まだこれからも続けられるのだと思います。感謝の気持ちをこめて、僕はこんなメールを仲間に送りました。
新年の幕開けにふさわしい楽しい「どもりカルタ」例会でした。
何度もしているカルタづくりなのにつきないものだと、どもりの世界の豊かさを思います。思いがけずに、吃音ショートコースに対する、東野さんのことばと、感謝状と、記念品、とてもありがたく、うれしく受け取りました。
自分たちが興味をもつこと、楽しいことをしてきたことに、みなさんが輪の中に入って下さったことが、私たちの人生を豊かなものにしたわけですから、私たちの方こそ感謝の気持ちでいっぱいです。
吃音ショートコースには、考えられる限りの素晴らしい講師をと常に考えてきました。それが、一年一年と積み重なり、精神医学、臨床心理学や教育、演劇の世界の人が、「よくまあ、こんなすごい講師が3日間もきてくれましたね」と、いろんなところで、うらやましがられた21年間でした。それは、19冊の吃音研究誌と、金子書房からの4冊の書籍の出版が証明してくれています。
そんな、思い入れが強く、この素晴らしいゲストから、少しでも多くのことを学びたい、吸収したいとの思いか強く、一般的な研修では考えられない、夜遅くまでのハードスケジュールになりました。それにつきあい、その後の大阪吃音教室の講座に反映させ、学び続けて下さっているみなさんに、改めて、心からの敬意と、感謝の気持ちをお伝えします。
東野晃之会長の挨拶、そして私たちのコメントを自分たち自身も聞きながら、楽しい、幸せな21回の吃音ショートコースだったなあと振り返っていました。個人的な関心、好みでスタートしたものであっても、多くの人にいい経験をしていただいたことが、今回あらためて分かり、温かい気分になれました。
吃音の世界は、風雲急を告げています。50年で初めての逆風かもしれません。私は、さだまさしの「風に向かって立つライオン」が好きです。いかに強い風であっても、しっかりと立って向かっていきたいと思います。その勇気を昨日いただきました。ありがとうございました。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2016/01/28