記憶と生きる 001
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土井敏邦さんは、イスラエル・パレスチナ問題を中心に取材活動をしているジャーナリストで、ドキュメンタリー映画の「沈黙を破る」「“私”を生きる」「異国に生きる」「「飯舘村―放射能と帰村―」の監督です。
 「“私”を生きる」という、教師の生き方をえがいたドキュメンタリーは、このブログでも以前紹介しましたが、その映画に共感し、「どもりの映画」を作っていただけないかとお願いしたことをきっかけにして、いろいろとご連絡いただけるようになりました。今回も、この映画の上演の案内をいただきました。

 時々、このブログでも書いていることですが、どもりの問題は、ひとりどもりの問題だけで成立するものではありません。差別をゆるさない、戦争をさせない、「人がいかに平和に生きるか」を追求する、根本思想がないと、自分だけが幸せに生きればいいにつながってしまいます。
 だから僕は、憲法の平和主義をもとに、過去の戦争への思いや、原子力発電の問題、あらゆる差別問題に関心を持ち続けたいと考えています。

 しかし、僕のからだはひとつです。あれもこれもできる訳ではありません。僕は、僕のライフワークであるどもりについては、大げさに言えば、命をかけてやり抜きます。残念ながら、自分が直接関われない分野については、強い関心を持つ続け、できる場合は、側面的に応援するしかありません。

 慰安婦問題は、今とても微妙な立場にあります。いろんな考えもあるでしょう。しかし、原爆の被害者である僕たち日本人が、原子力の反対を訴えるとき、日本が加害者であった過去の歴史を、ちゃんと認識すべきだと思います。いろんな考えの人も、この映画をみて、考えるきっかけになればと思います。
 この時期に、この映画を上演する意義を思います。関心がある方がおられましたら、多くの人にこの情報を知らせていただければうれしいです。詳しくお知りになりたい方は、土井敏邦さんのブログをお読み下さい。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2015/05/30