第3回 ナラティヴ・コロキウム
3月8日、シンポジウムに参加してきました。僕たちがナラティヴ・アプローチに関心をもって3年ほどが経ちました。昨年は8月金沢で、斎藤清二・富山大学教授をまねいて「臨床家のための吃音講習会」をひらき、エビダンス・ベースジ・メディスンとナラティヴ・ベースド・メディスンを学びました。また、秋には、ニュージーランド、ワイカト大学で直接ナラティヴ・アプローチを学んだ、臨床心理士の国重浩一さんに、ニュージーランドから、わざわざ来ていただいて、吃音ショートコースでナラティヴ・アプローチを勉強してきました。
吃音にとって、ナラティヴ・アプローチはとても役立つ、いやこのアプローチの基本思想こそが、吃音に生かせるものだと確信し、今後の僕たちの取り組む方向でとさだめてきました。
今回、このシンポジウムに参加して、看護、福祉、臨床心理、教育の領域の、福祉のナラティヴ・アプローチの実践の現状を聞くことができました。
1999年、「物語としての家族」(金剛出版)でナラティヴ・アプローチ紹介されて15年ほどたつのに、日本では、いや世界でナラティヴ・アプローチは根付いていないとの印象をもちました。
それぞれの分野で、真摯で、精力的な活動を続けている人がいることを知ったことは有意義でしたが、ナラティヴ・アプローチの本質的な部分が、浸透して行くにはまだまだ時間が必要だと思いました。どのような論議がなされ、僕がどう感じたかは、少し時間をかけてまた報告したいと思いますが、僕の主張する「吃音と共に生きる」が少数派であるように、ナラティヴ・アプローチも少数だとの話がよく出ていました。少数派だからこそ、やりがいはあるし、豊に、広げていくチャンスがあると思います。
学童期・思春期の子ともたちにとって、ナラティヴ・アプローチの基本的な思想はとても役に立ちます。ことばの教室の教師、言語聴覚士の僕たちの仲間と共に、吃音へのアプローチに、ナラティヴ・アプローチをどう活かしていくか、ますます思いを強くしたシンポジウムではありました。
第3回 ナラティヴ・コロキウム ──ナラティヴ・アプローチの困難と喜び──
横断する概念のためか,たくさんの関係者がいるのに,なかなか一堂に集まる場がない。「ナラティヴ」は,そういうところがあります。医療,心理,看護,福祉,教育といった対人援助職の方や,社会学,人類学といった異なるの分野の方がバラバラにおられるのが現状です。
そこで,「みんな集まれば面白いのでは?」という趣旨で,ナラティヴ・コロキウムなる集まりを催すことになりました。学生の方,初学者の方からベテランの方まで,新しい視点を見つける時間をご一緒しませんか?
こうした呼びかけから始まった「ナラコロ」ですが,大変多くの方々にご参加いただけました。
今年もまた,第3回大会を行いたいと思っております。
日時 2015年3月8日(日) 13:00〜17:00(受付12:30から)
会場 東京学芸大学 中央講義棟C303教室
主催 ナラティヴ・コロキウム実行委員会(事務局:遠見書房内)
会費 2,500円(学生・院生 2,000円)
シンポジウム 「ナラティヴ・アプローチの困難と喜び──看護,心理,福祉,教育の領域から」
企画・司会 野口裕二(東京学芸大学)
シンポジスト 看護:紙野雪香(大阪府立大学)
心理:児島達美(長崎純心大学)
福祉:荒井浩道(駒澤大学)
教育:小山聡子(日本女子大学)
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2015/03/11