どもる子どもからもらう、勇気と元気

 10月18日から始まったどもる子どものキヤンプは、岡山、島根と続いて群馬で終わりました。
 4つのキャンプの中で、たくさんのどもる子どもや、どもる子どもの保護者、ことばの教室の先生と、どもりについて語り合ってきました。島根のキャンプで子どもから「どうして伊藤さんはそんなに元気なんですか」と質問されました。中学1年生の女の子に、「元気」だと思われたこと、喜んで良いのかどうか、「年の割には」かもしれませんが、どもる僕が、明るく、元気で話し、動く姿を子どもにみてもらうことはうれしいことです。

 「今年も、たくさんのどもる子どもに会ってきました。どもる子どもの元気な生き血を、ドラキュラのように吸っているから、元気なのです」といいましたが、これは本音です。生き血を吸う、とは、子どもへの答えとしては、冗談でもふさわしくないだろうと思いますが、子どもたちに囲まれて、どもりについて質問され、それに、こちらからも質問し、対話を重ねていく。子どもたちの、自分の吃音に真剣に向き合う姿、苦しいこともあるけれど、いろいろと工夫して、サバイバルして生きる子どもたちのしなやかさ。ただ一人で、くよくよとどもる苦しみだけを。ぶつぶつとつぶやいて、いつも滅入っていた子どもの頃の僕。それに比べて、キャンプにくる子どもたちは、同じようにどもる子どもたちと合い、どもりについて語り合い、たのしい活動を通して、元気になっていく。いきる力をつけていく。

 それを支えることばの教室の先生たち。それでなくても忙しい教師が、仕事の合間に集まって、何度も打ち合わせをして、キャンプのプログラムや担当を打ち合わせをしてキャンプを迎える。土曜日、日曜日、疲れているからだを休めたい休日にキャンプのハードなスケジユールの中に、喜んで身を置いている。この人たちも、僕と同じように、子どもの楽しそうな姿に、自分自身も勇気や、元気を得ているのだと思います。

 このようなキャンプに参加出来る子どもは、幸せだと思います。親以外に、こんなに真剣に、自分の課題であるどもりについて考え、取り組んでくれる。そんな大人がいるだけで、どんなに心強いことでしょう。日常の学校生活では、時につらいことがあるでしょうが、キャンプの中で、新しい力をつけていく。キャンプが終わる頃にみせる、子どもの満足な笑顔が,僕にも、勇気や元気を与えてくれます。

 そのとき、そのときの自分に与えられたプログラムを、一所懸命生きているので、後になって、その時気づいた、感じたことを何かにまとめるのが難しい。それらは、僕の血となり、肉となっているのですが、改めて、ブログなどで紹介するには、かなりの時間とエネルギーを必要としますが、今回の島根から群馬のキャンプまで間隔が5日間しかないと、なかなかかけるものではありません。

 それでも、過去の記憶が、自分よがりなもので、事実とは多少違っていたとしても、やはり書いて残したいとは考えています。自分の25回のキャンプでさえ、ちゃんと振り返らないままに、スケジュールに追われていました。誰か秘書がいて、僕がつぶやいたことをすぐに文章にしてくけないかなあと思ったりします。

 不十分でも、思い出しながら書いていこうと思います。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/11/17