ナラティヴ・アプローチのワークシヨップ
参加者からの感想を紹介します。僕の感想もほとんど同じです。楽しく、ゆたかな3日間でした。
どもりでよかった 藤岡千恵
ナラティヴ・アプローチがテーマの、今回の吃音ショートコースの三日間、楽しくてうれしくて、ひたすらワクワクしていました。
今年は出会いの広場から国重浩一さんが進めてくださり、いつもは味わえない吃音ショートコースになりました。国重さんはとてもフレンドリーな方で、私たちに強く共感してくださり、とても心強い仲間が増えた気持ちです。
ナラティブ・アプローチの第一人者である国重さんから直接、ナラティブ・アプローチの話をたっぷり聞くことができ、3日間をふり返ってあらためて、すごい経験をしたのだと思いました。
私は、認知行動療法の大野裕さんの年から毎年続けての参加が叶っており、どの講師の先生との時間もとてもよく覚えています。普通の人生では決して出会うことができない世界の方々と出会い、一緒に時間を過ごせること、本当にすごいことですね。本当に感謝しています。
吃音ショートコースでは毎年初めて会う方もいて、遠方に住む久しぶりに会う仲間、吃音の夏を一緒に過ごした仲間、いつも大阪で会っている仲間、その人たちと積み重ねた3日間は、本当に特別な時間です。どの瞬間も見逃したくなくて、時々「この仲間のなかにいること」に幸せな気持ちがこみあげていました。笑い、泣き、心を揺さぶられる体験、感動的な場面に出会える、あの時間がすごく好きです。
国重さんの、ナラティヴ・アプローチでの奥田さんへのインタビューは、奥田さんの芯の強さを垣間見て、とても新鮮な気持ちになりました。強いまなざしと素直なキャラクターに、とても心を動かされました。去年の4月、大阪吃音教室に出会った奥田さんが変化していく姿は清々しく思っています。
ことばの教室の教員である、高木さんへの、ことばの教室での実践に対するインタビューはとても力強かったです。奥田さんのインタビューの時とは国重さんの雰囲気も使う言葉もガラリと違っているように思え、それぞれ、全く違う二つのインタビューを見ることができたことも良かったです。
「発表の広場」のことば文学賞の発表・授賞式は、もう本当に胸がいっぱいになりました。斎さんの「教育実習への挑戦」は、どもる自分に体当たりした教育実習での体験、斎さんの一生懸命で誠実な人柄がよく伝わりました。西村さんの「東京」は、西村さんのことばの世界に夢中になって聞いていました。鳥肌が立ちそうな、ため息の出るくらい素敵な世界でした。
最優秀賞の東さんの「吃音物語」は、胸がいっぱいになりまだ言葉にできませんが、あのユニークで愛らしい東さんが、あれほどの文章を書かれることに衝撃を受けました。あれだけ明るい東さんですが、どもりに悩んで壮絶な苦労をしてこられたことが、あの文章をさらに深いものにしていると感じました。他の作品もとても気になっているので、大阪吃音教室で味わえるのが楽しみです。
吃音ショートコースに参加した人も、参加できなかった人も、どもりの仲間は本当に、とびきりいろんなキャラクターがいて、本当に面白い世界です。どもりで本当によかったです。
今年も吃音ショートコースに参加できたこと、とてもうれしかったです。ありがとうございました。 藤岡千恵
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/10/15