どもりカルタを作ろう
世界中で、どもりのことをこんなに楽しく語り、遊べるグループはあるだろうか。
年の初めに大阪吃音教室で、どもりカルタの講座をするようになって8回目。そろそろネタが尽きる頃かと思ったけれど、終わってみれば一年に一回、44文字のひとつのカルタが出来上がっているという不思議な時間を過ごしました。去年の反省で、読み札を味わう時間をできるだけ長く取り、カルタができた背景を味わいました。
(1)カルタを作る時間(読み札、絵札)
(2)味わう時間(読み札)
(3)カルタで遊ぶ時間
「読み札」「絵札」を、グループになって作ります。一番読み札に入れてほしいことは「自分の経験」です。自分のどもりの経験から言葉を探していきます。経験から学んだこと、自分が大切にしていること盛り込み、それをユーモアに包んで作っていきます。グループに分かれて、わいわいがゆがや、2時間という時間の中で、最後のカルタ取りまでする、おもしろい時間です。こんなカルタができました。
あ あわてずに ゆっくりどもろう 自分のことば
い 言い換えて 結局吃って 意味ないじゃん
う 上を向いて どもればツバが 落ちてくる
え 「えーっと」の 起爆装置で 話し出す
お 追いかけよう どもったままでも 夢叶う
か からすかよ ばかにされても どもりきる
き 吃音が結ぶ 世界の 大きな輪
く 苦しかった 日々が私の 宝物
け 蹴りを入れ 壁を打ちつつ 電話する
こ 公表を するなら 笑顔で伝えたい
さ さぁ、行こう!! みんなでどもれる 日本の未来
し 心配ない!! どもりのままで 花は咲く
す すさまじく どもった後は ひらきなおり
せ 先生と 目線を合わせぬ 努力する
そ それもこれも どもりのせいに してた僕
た たまごから 鶏卵・エッグと 七変化
ち 調子悪い ときはジェスチャー 大活躍
つ つまってもなまっても きっとなれるさ 落語家に
て 手を抜いた わけではないのに 声出ない
と 友達が 沢山できるよ どもりなら
な ナリタブライアン 第4コーナー いくぞあせるな ゴールまで
に にわか雨 いつか止むんだ どもり晴れ
ぬ ぬくぬくと お風呂にはいって 発声練習
ね 粘り強く あきらめないぞ どもっても
の のんびりと ゴロゴロしたって どもり消えない
は 初詣 治りませんようにと 今、祈る
ひ ひょっとして 隠れ吃りか!? あの人も
ふ ふんばって 言えた言葉が 通じ合う
へ 平気なふりして 笑っているが ぼくのどもりは泣いている
ほ ホッとした ぼくの前で止まった 朗読
ま マンネリだ 本読み練習 もう飽きた
み みんなの視線 気にしたあの日も 今は懐かし
む 無理やろか? いやいや待てよ 言い換えじゃ
め メンチカツ 言いやすいから いつも食う
も もっとなめらかに もっと早く もっともっともうやめた
や 屋根の上大きな声で どもったら 思いが天に 届くだろうか
ゆ ゆわしたる 私を笑う あの連中
よ 酔ってたら スラスラ出るのは なんでやろ
ら 楽にどもる それができれば 世話はない
り リモコンが 音声認識 えらいこっちゃ
る 留守電の コールが鳴ったら 受話器置く
れ 練習を やめて開ける 新世界
ろ 録音じゃ 5倍以上も どもってる
わ わがままな どもりの機嫌を 今日もとり
「初詣 どもりませんようにと もう願わない」がみんなでみんなで話し合い、「初詣 治りませんようにと 今祈る」に変わるなど、グループの話し合いがおみしろいのです。
■気に入った作品をひとり5つ選んで挙手して、人気投票。
に にわか雨 いつか止むんだ どもり晴れ 12票
わ わがままな どもりの機嫌を 今日もとり 10票
は 初詣 治りませんようにと 今祈る 8票
感想
・考えていたときは「治さない どもりのままで」っていうことを頭にイメージして作りました。「治さなくていい」「どもっていてもいいんだ」っていうメッセージを伝えたかった。それを込めて。
・何人かの経験からの共作のものがけっこう上位にきていた。いくつかありましたね。
・グループのなかでの話し合いがなかなか良かったのではないかな、と思います。はじめのほうはみんな静かであんまり声が聞こえてこなかったんですが、だんだんと時間が経つにつれて、笑い声がでてきたり「それちゃうやろ〜」っていう声が聞こえてきたり、その輪のなかがだんだん盛り上がっていくのを、私は感じているので、合作というもの、いい言葉がきっと出てくるんだろうなあと思います。
・僕らの「たまご」もそうだし「初詣」もそうだし、初詣とかたまごというものがあってね、そのなかで話し合っているうちに出てきて面白かったね。
・いつも思うんですけど、この読み札にあるような言葉は、1人で悩んでいた時には絶対に思えなかったことばかりで、それを一年の初めに笑いながら味わえるというのはとってもいいなあと思います。
・今までは予期不安があったり、そういう言葉が出るんだけど、そういう言葉がないのに表しているっていうのがいいですね。
・ 新しい言葉ができた。「どもり晴れ」「起爆装置」こういう言葉を大事にしていきたい。
・この中の、気に入ったものを書き留めておいて、しんどい時にそれを思い出しながら、
元気グッズのひとつに加えていただいて、これから一年元気にやっていけたらいいかなと思います。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/01/15


世界中で、どもりのことをこんなに楽しく語り、遊べるグループはあるだろうか。
年の初めに大阪吃音教室で、どもりカルタの講座をするようになって8回目。そろそろネタが尽きる頃かと思ったけれど、終わってみれば一年に一回、44文字のひとつのカルタが出来上がっているという不思議な時間を過ごしました。去年の反省で、読み札を味わう時間をできるだけ長く取り、カルタができた背景を味わいました。
(1)カルタを作る時間(読み札、絵札)
(2)味わう時間(読み札)
(3)カルタで遊ぶ時間
「読み札」「絵札」を、グループになって作ります。一番読み札に入れてほしいことは「自分の経験」です。自分のどもりの経験から言葉を探していきます。経験から学んだこと、自分が大切にしていること盛り込み、それをユーモアに包んで作っていきます。グループに分かれて、わいわいがゆがや、2時間という時間の中で、最後のカルタ取りまでする、おもしろい時間です。こんなカルタができました。
あ あわてずに ゆっくりどもろう 自分のことば
い 言い換えて 結局吃って 意味ないじゃん
う 上を向いて どもればツバが 落ちてくる
え 「えーっと」の 起爆装置で 話し出す
お 追いかけよう どもったままでも 夢叶う
か からすかよ ばかにされても どもりきる
き 吃音が結ぶ 世界の 大きな輪
く 苦しかった 日々が私の 宝物
け 蹴りを入れ 壁を打ちつつ 電話する
こ 公表を するなら 笑顔で伝えたい
さ さぁ、行こう!! みんなでどもれる 日本の未来
し 心配ない!! どもりのままで 花は咲く
す すさまじく どもった後は ひらきなおり
せ 先生と 目線を合わせぬ 努力する
そ それもこれも どもりのせいに してた僕
た たまごから 鶏卵・エッグと 七変化
ち 調子悪い ときはジェスチャー 大活躍
つ つまってもなまっても きっとなれるさ 落語家に
て 手を抜いた わけではないのに 声出ない
と 友達が 沢山できるよ どもりなら
な ナリタブライアン 第4コーナー いくぞあせるな ゴールまで
に にわか雨 いつか止むんだ どもり晴れ
ぬ ぬくぬくと お風呂にはいって 発声練習
ね 粘り強く あきらめないぞ どもっても
の のんびりと ゴロゴロしたって どもり消えない
は 初詣 治りませんようにと 今、祈る
ひ ひょっとして 隠れ吃りか!? あの人も
ふ ふんばって 言えた言葉が 通じ合う
へ 平気なふりして 笑っているが ぼくのどもりは泣いている
ほ ホッとした ぼくの前で止まった 朗読
ま マンネリだ 本読み練習 もう飽きた
み みんなの視線 気にしたあの日も 今は懐かし
む 無理やろか? いやいや待てよ 言い換えじゃ
め メンチカツ 言いやすいから いつも食う
も もっとなめらかに もっと早く もっともっともうやめた
や 屋根の上大きな声で どもったら 思いが天に 届くだろうか
ゆ ゆわしたる 私を笑う あの連中
よ 酔ってたら スラスラ出るのは なんでやろ
ら 楽にどもる それができれば 世話はない
り リモコンが 音声認識 えらいこっちゃ
る 留守電の コールが鳴ったら 受話器置く
れ 練習を やめて開ける 新世界
ろ 録音じゃ 5倍以上も どもってる
わ わがままな どもりの機嫌を 今日もとり
「初詣 どもりませんようにと もう願わない」がみんなでみんなで話し合い、「初詣 治りませんようにと 今祈る」に変わるなど、グループの話し合いがおみしろいのです。
■気に入った作品をひとり5つ選んで挙手して、人気投票。
に にわか雨 いつか止むんだ どもり晴れ 12票
わ わがままな どもりの機嫌を 今日もとり 10票
は 初詣 治りませんようにと 今祈る 8票
感想
・考えていたときは「治さない どもりのままで」っていうことを頭にイメージして作りました。「治さなくていい」「どもっていてもいいんだ」っていうメッセージを伝えたかった。それを込めて。
・何人かの経験からの共作のものがけっこう上位にきていた。いくつかありましたね。
・グループのなかでの話し合いがなかなか良かったのではないかな、と思います。はじめのほうはみんな静かであんまり声が聞こえてこなかったんですが、だんだんと時間が経つにつれて、笑い声がでてきたり「それちゃうやろ〜」っていう声が聞こえてきたり、その輪のなかがだんだん盛り上がっていくのを、私は感じているので、合作というもの、いい言葉がきっと出てくるんだろうなあと思います。
・僕らの「たまご」もそうだし「初詣」もそうだし、初詣とかたまごというものがあってね、そのなかで話し合っているうちに出てきて面白かったね。
・いつも思うんですけど、この読み札にあるような言葉は、1人で悩んでいた時には絶対に思えなかったことばかりで、それを一年の初めに笑いながら味わえるというのはとってもいいなあと思います。
・今までは予期不安があったり、そういう言葉が出るんだけど、そういう言葉がないのに表しているっていうのがいいですね。
・ 新しい言葉ができた。「どもり晴れ」「起爆装置」こういう言葉を大事にしていきたい。
・この中の、気に入ったものを書き留めておいて、しんどい時にそれを思い出しながら、
元気グッズのひとつに加えていただいて、これから一年元気にやっていけたらいいかなと思います。
日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/01/15


