東海四県言語・聴覚・発達障害教育研究大会 吃音分科会

 吃音はアメリカやオーストラリアなどが進んでいて、日本は遅れていると思っている人が多いようです。では、それらの国でどもる子どもへの教育が成果を上げているかというと、世界大会などで私が海外の状況を知る限り、多くの臨床家が吃音の指導を苦手としている事情を聞くたびに、成果を上げているとはいえないようです。日本の方がはるかに進んでいると私は考えています。
 アメリカなどが、治療法がない現状でも、相変わらず「吃音治療、改善」にこだわっている中で、日本では、「治すことにこだわらない」取り組みがされていることばの教室が少なくないからです。
 今回の大会で二人の実践発表の場にいさせていただいて、実践を聞き、その後の質疑の中で、日本の取り組みのすばらしさを、もっとみんなが自信をもてばいいのにと強く思いました。

 8月20日、三重県桑名市で研究大会がありました。昨年の名古屋大会でも、吃音分科会の助言者の依頼を受けたのですが、予定がすでにあって残念ながらゆけなかった大会です。今年は都合よく日程が重ならずにありがたいことでした。
 三重県は私が物心をついてから高校卒業まで過ごした県なので特別の感慨があります。私が住んでいたのは津市ですが、会場の桑名市にもたびたび訪れたことがあります。

 さて、吃音分科会、ふたりの発表者の演題です。
   嵜び伸びと自己表現できる子どもをめざして」
 ◆ 峙媛擦呂海錣ない〜3つの輪を意識した支援の提案」
 この演題だけ読んでも、アメリカとの違いは明らかです。
 ,蓮◆峙媛擦あっても、話したいことを伝え、やりたいことわあきらめない子になってほしい」との願いをもって指導をしている」とまず基本的な教師としての態度が説明され、苦手なことは苦手なこととしてあるものの、得意なことで表現力を伸ばそうと、「絵を描く」学習が取り入れられていました。それが絵本作りに発展していきます。
 △蓮■海弔領悗寮睫世ありました。わ(わかるのわ)−児童理解、和(和やかな雰囲気の和)−環境、教材の工夫、輪(ネットワークの輪)−連携。担当者自身が吃音指導に当初は苦手意識をもっていたが、こわくない−安心をキーワードにした吃音指導の提案でした。
 お二人とも、教材を独自に工夫して、楽しく指導をされていました。

 助言者として30分ほどしか話す機会はなかったのですが、まず、ふたりの実践がどもる子どもが楽しそうに指導をうれている印象をまず話しました。その上で、「指導者が自分自身が楽しくない指導はしない」ことが大事だと話しました。自分がどもる子どもだったとしたら、このような指導が楽しいか、うれしいかを考える必要があると思うのです。私が民間吃音矯正所で受けた指導、「呼吸練習やゆっくり、そっと話す訓練」は、本当につまらなくて、「どうしてこんな練習しなければならないのか?」と常に疑問を感じながらしていました。
 楽しくも、おもしろくもない練習は、指導を受ける側としてはいやです。その点、ふたりの実践は、会話の録音を聞かせてもらいましたが、教師も、子どもも楽しそうでした。
 
 短い時間の中で、あまり話せなかったのですが、3つの輪にちなんで、場の持つ3つの機能を話しました。
  ,蓮安らぎ、居場所、ほっとできる場
 ◆‖佻辰箜惱をなどを通して、自分に気づける場
  課題があれば、それを練習する場
 日本のことばの教室は、それぞれ教材を工夫して、この3つの場を生かしていると私は思います。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2012/09/06