毎日3件ほどはある、吃音ホットラインの電話。当然のことながら最初から明るい声はあまりありません。昨日の電話は、珍しく明るい声で始まりました。

 「私、OOOOです」。
 実はこの出だしも珍しいです。最初から苗字を言う人はいますが、名前までフルネームで言う人はあまりいません。先だっての相談の電話の時も、この中学3年生はフルネームでのスタートでした。なので、明るい声で名前を告げられて、すぐに高校面接の相談のあった彼女だと分かりました。
 高校合格の知らせが届き、すぐに私に電話をしなければと思って、報告の電話をしてくれました。面接官は、柔らかい雰囲気で質問してくれたようで、楽に話せたようです。また、一所懸命話す彼女の姿を面接官は好感を持ってくれたようです。これで、自信がつきましたと話してくれました。そして、自分のことが書いてある私のブログを読んで、ブログの後に拍手まであって、うれしかったそうです。
 私も、あのブログを読んだ人から、もし電話が彼女からまたあったら、応援していると伝えて欲しい言われていたことを伝えました。とても喜んでいました。

 たくさんの電話があるので、その時は一所懸命なのですが、忘れてしまうことが少なくありません。だけど、あのようにブログに書くと、よく覚えているものです。だから、彼女からの電話ですぐに、相談の時の電話を思い出しました。「同じように困っている人に、少しでも役に立てばと思ってブログに書いたのですよ」と話すと、「私もうれしかった」と言ってくれました。

 今回は面接がうまくいったけれど、また今度いろんなことが起こるかもしれません。だけど、今回、人に相談して、自分なりに考えて頑張った経験は、今後も役に立つだろうと話しました。時間ができたら、私の書いた本で、紹介したものは是非読んでおいてねと伝えました。
 彼女は、私のブログの読者になってくれましたので、このブログも読んでくれていると思います。このように、報告をしていただくと、私もとてもうれしくて、吃音ホットラインの電話相談をしていてよかったと思います。

 これからは、印象にのこった相談については、プライバシーに配慮しながら、ブログに書いていこうと思いました。
 OOOOOさん、うれしい報告の電話、ありがとうございました。

日本吃音臨床研究会・会長伊藤伸二 2012年2月17日

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