12月17日は、大阪スタタリングプロジェクトの忘年会でした。
今年は33名が参加。
大阪の忘年会は、スピーチがメイン。30分ほど食事に専念した後、延々とひとりひとりのスピーチが続きます。ひとりひとりのスピーチに耳を傾けていて、涙がにじむこともありました。
ひとりひとりの、誠実に、まじめな生活を続けた一年が伝わってきました。誠実でまじめであるがゆえに、今の社会はとても生きづらくなっています。時に悩み、落ち込んでも、私たちには帰る大阪スタタリングプロジェクトという港がある。だから、私は続けられるのだと、改めて思いました。
スピーチの途中に、大阪らしいヤジやつっこみが入ることがあります。温かいヤジやつっこみは、スピーチをする人にとっていい合いの手になっているようです。そして、スピーチの後に、聞いていて思い出したことや補足やコメントや質問があちこちから入ります。それらは、話し手への応援と共感のメッセージです。
ひとりひとりのスピーチがあまりにもすてきだったので、途中からメモをとってもらいました。全体から見れば、ごくわずかですが、紹介しましょう。
夕方6時に始まり、終了したのは午後10時。延々4時間も続いた、大阪スタタリングプロジェクト恒例の忘年会の様子を想像していただけることでしょう。
・ギャンブル依存とどもり。悩みは人を成長させるという話がさきほど出た。そのとおりだと思うけれど、一人ではダメ。仲間がいる中でこそ悩みは人を成長させると分かった。今年は、セルフヘルプグループとつながることのできたいい年だった。大きな節目の年になった。
・面接で失敗が続いて引きこもっていた。でも、就活を再開しようと思う。森田療法の講座で、気がついた。どもらないようにと考えて失敗していたんだ。どもりのためにいろいろなことを避けてばかりいた。これからは積極的に、前向きに、目的本意で取り組んでいきたい。
・吃音教室皆勤賞をねらっていたが、東日本大震災のボランティアのためにできなくなった。しかし、東北に縁ができて、ライフワークになりそうだ。昨年の吃音ショートコースで出会ったサイコドラマを、その後ずっと続けている。サイコドラマで、青春時代の自分にもう一度会いたいなあと思った。
・1989年に入会して、23年、長くお世話になった。自分がどもっているのも、他人がどもっているのも見るのが嫌だった。拒否していた。でも、今は、みんながどもっている姿を目をぱっちり開けて見ることができている。受け入れている自分がうれしく、会に感謝している。52歳の頃に出会っているが、変わることに遅すぎることはないと実感している。
・スピーチをすると聞いてはいたが、こんなにひとりひとりのスピーチがある忘年会は初めて。4月22日から参加し始めて、その後は皆勤賞。大阪吃音教室は、吃音のことはもちろん、吃音以外の、人生について考えることができた。いろいろな人としゃべって、いろいろな話を聞けた。今までの小さい世界が広がり、変化のある年だった。濃い一年だった。
・去年の忘年会の席で、詩吟の会の司会をする不安について話した。言いにくい固有名詞もあったけど、その司会はうまくいった。おかげで、またやってくれと言われた。もし、ひどくどもったら、「どもりだったので、詩吟をやっていたのだ」と言おうと思っている。
・去年の10月より参加。1年半ほど前よりどもりだした。みんなは、小さい頃からどもっていて、いろいろ悩んできて、今にいたっている。みんな強いなあと思った。途中からどもりだしたことは、受け入れるのに大変だった。
・忘年会は3回目の参加。最初の年は、新聞配達をやめて、介護の仕事に就くことになったという話をした。2回目は、だんだん慣れてきて、リーダーになるかもしれないという話をした。そして、3回目の今日は、そのリーダーの話をしたい。12月からリーダーを数回した。まだ、リーダーの入り口にいる段階だが、緊張する。未知の領域へ入っていく感じだ。みんなから勇気をもらってがんばりたいし、もしできれば、みんなに勇気が与えられたらうれしいなと思う。
・先週初めて吃音教室に行って、今日、図々しくも忘年会に参加した。どもることで馬鹿にする人もいるが、精一杯がんばっていればちゃんと見ていてくれる人もいる。どもりは、相手がどちらの人なのか、人を見分けることができるものだと思う。
・職場でいじめられ、しんどい一年だつた。悪い人もいるんだなと思ったが、仲間に救われた。毎月のようにあるレクリエーションでは楽しい時間を過ごすことができた。会社は、辞めるのはいつでも辞められる。しがみつこうと思う。
・禁煙をしているが、禁煙してみて、いろいろな不安やストレスがあるとき、気持ちが不安定になるとき、たばこに依存していたんだということに気がついた。仕事で、婚活セミナーの企画にスタッフとして参加した。小グループに分かれて、15分から20分くらいずつで交代していく。積極的にしゃべる人とそうでない人がいる。大阪吃音教室の小グループと同じでおもしろかった。
・娘のどもりがきっかけで大阪吃音教室に参加。吃音親子サマーキャンプに参加して以来、娘は、学校も、通っている劇団も楽しいと言っている。どんなところか見学しようという一回限りの参加のはずだった私が、ずっと参加している。吃音教室に行くようになって、謙虚になったと妻から言われる。吃音教室は、学びの場であり、集団の力を感じる。思いと力をつくして、これからも関わっていきたい。