昨夜、久しぶりに、どもる人のセルフヘルプグループのミーティングである、大阪吃音教室に参加しました。
 このように書き始めると、何か、いつも参加している自分のグループではないような感じがしますが、そんな感覚でした。吃音教室は午後6時45分から始まります。

 私はその直前、大阪セルフヘルプ支援センターで一緒に活動をしていた、大阪府立大学の人間社会学部・松田博幸准教授の誘いで「私のセルフヘルプグループ」について話をしていました。松田さんの対人援助の講義の中の、セルフヘルプグループの当事者から話を聞くという松田さんならではの取り組みで、私はもう10年以上も続けて話をさせていただいています。話が終わって学生から活動の内容について質問を受け、いつものことですが、私は誇らしく大阪吃音教室のプログラムやその他の活動について話しました。午後5時45分に講義が終わって、急いで大阪吃音教室の会場に駆けつけたのですが、大阪吃音教室には30人ほどが集まり、もう始まっていました。

 吃音ショートコースや静岡のキャンプ、群馬のキャンプ、そして眼科への入退院を繰り返していたために、しばらく大阪吃音教室に参加できませんでした。私は、大阪にいる時は必ず大阪吃音教室に参加しているので、2か月ほど間隔があくと、ずっと参加していなかったような寂しさを感じます。このため、自分のグループでありながら、少し客観的な目で参加することができたのでしょう。

 今日のテーマは、アドラー心理学に学ぶ〜自分の執着を超えて〜でした。
 大阪吃音教室は、参加者が今悩んでいること、困っていることに耳を傾けることを最優先にしながらも、吃音と向き合い、自分を生きるための「吃音講座」が毎回組まれています。講座には、役に立つことは何でも学び合おうと、様々なことを取り上げます。交流分析、アサーティヴ・トレーニング、論理療法を中心に、ゲシュタルトセラピー、サイコドラマ、内観法、森田療法、認知行動療法などたくさんあります。その他、コミュニケーションの書く、聞く、話すなどのトレーニングや「当事者研究」などとても幅広いのです。様々な領域のセルフヘルプグループがある中で、ひとつのテーマに絞らず、これほど幅広く学んでいるグループはきわめて珍しいでしょう。
 
 セルフヘルプグループだから講師がいるわけではありません。20人近くいる世話人が、入れ替わり立ち替わり、講座を担当します。専門家でもない私たちが話すので、みんな必死で担当講座を勉強し資料をつくります。教師生活と子育て真っ最中の仲間の教師は、時間の余裕がないので、毎回前日は必ず徹夜をして準備するそうです。集中しての準備はさすがに迫力があります。参加者はその熱意を知っているから、一所懸命です。この真剣さが大阪吃音教室をつくりあげているのだと思います。

 今日の担当者も、仕事と子育てに大変に忙しい毎日です。だから普段はあまり参加ができません。しかし、自分の担当する吃音教室の準備はとてもよく勉強して備えてきたことが、話の端々からわかります。アドラー心理学は、講義をすると決して易しい心理学ではありません。自分が理解していることと、それを講座担当者として2時間の進行をするのとは、まったく違うレベルです。2回の連続のアドラー心理学のうち初回は、群馬キャンプのために参加できませんでした。今日は先週に続いての2回目の講座です。 

 書き始めてみると、予想外の展開になってしまいました。タイトルにあるように、「ほめることと他者貢献の違い」を書くつもりでいたのですが、大阪吃音教室の説明があまりに長くなってしまいました。読み手である皆さんも、長文のブログは読むのに大変でしょう。
 昔の紙芝居ではありませんが、それは次回のお楽しみにまわすとして、今日はここまでにします。忘れないうちにと思っているので、すぐに書くことにします。

 日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二