島根保育勉強1 島根県の通級指導教室担当者向けの島根県聴覚言語障害教育研究会の春季研修会の翌日、6月14日(土)は、島根県立美術館ホールでの講演会でした。島根には車で行くことが多いのですが、この美術館の前の道はよく通ります。宍道湖のすぐそばにある美術館ですが、入ったことはありません。初めて建物の中に入りました。大きなガラス窓は、宍道湖に面していて、すてきな所でした。
講演会の総合タイトルは、「子どもが幸せに生きるために」で、午前は、「あなたはあなたのままでいい、あなたはひとりではない。あなたには力がある〜非認知能力について考える〜」、午後は、「私ならできる、やってみる、そんな子どもを育てる非認知能力」という演題にしました。保育士、幼稚園教諭、小学校の通常学級の教師、保護者が参加するかもしれないということだったので、こんなタイトルにしました。講演会の開始時刻が近づくと、保護者に連れられた子どもたちも会場に入ってきました。いろいろな立場の人が参加してくれたことになります。
島根保育勉強2 昨日以上に、僕のことを知らない人ばかりです。体験を語ることから始めました。配布資料がないので、パワーポイントをできるだけ利用するようにしました。ひととおり話した後、何か質問はないかと聞いてみました。すると、小学生の男の子が手を挙げてくれました。「友だちに、自分の吃音のことを説明したいが、どんなことを説明したらいいか」という内容でした。ホールで、知らない人ばかりの中で、勇気を出して最初に発言してくれたこと、うれしいことでした。その後、質問がいくつか続きました。これを聞きたい、これを知りたいと思っていることを質問として出してもらうことが、僕にとっても一番ありがたいことなのです。
 午前のしめくくりとして、「世の中に分からないことはいっぱいある。吃音も同じ。治らないけれど、変わる。これは信じていい。不確かな中で不安に耐えながらがんばっているどもる子どもには、ネガティヴ・ケイパビリティという能力がある」ことを話しました。 僕の体験だけでなく、僕が出会ったたくさんのどもる子どもたちのことも伝えました。 あなたはあなたのままでいい、あなたはひとりではない、あなたには力がある、このメッセージを受けた子どもたちです。
島根保育勉強3 午後は、非認知能力について、会場の皆さんから出していただきました。たくさん出ました。出された非認知能力について、解説を加えながら、僕は幸せな気持ちになりました。皆さんから出されたたくさんの非認知能力、それらを育てていくことで、子どもは元気になり、何かに挑戦する子どもになっていくでしょう。最後は、僕の両親についての質問が出たので、吃音について何もしなかった両親、僕のことを信頼して僕の選択に任せてくれた両親のことを話して、アドラー心理学の、親の課題と子どもの課題を分けることの大切さを伝えて、終わりました。
 出雲空港まで送ってもらって、2日間の島根での出会いを思い浮かべていました。多くの方に支えられてここまできたなあという思いを一層強くしました。こうして「吃音の夏」は、島根からいいスタートを切りました。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2025/06/20