吃音と就職Q&A

 21歳の夏まで、吃音に深く悩んでいた時、僕は「どもっていたら、就職なんてできない」と本当に考えていました。だから、将来、社会人となって仕事をしている姿を、僕はまったくイメージすることができませんでした。高校時代、国語の音読ができなくて、一ヶ月ほど不登校になっていた僕が、まさか、大学の教員になって、講義や講演をしているなど、想像もできなかったことです。大勢のどもる人の就職相談にのってきました。たくさんの人の人生と向き合ってきました。その中で出会った人々のことが、話の中に出てきます。

Q&A  6吃音Q&A  4 大阪吃音教室の講座の定番となった「どもりQ&A」の動画をつくる講座。
 大阪吃音教室の仲間の一人が代表して僕に質問してくれます。その質問に、僕がその場で瞬間に考えたことをそのまま話します。編集なしの「ぶっつけ本番」です。その場には大阪吃音教室の参加者がいてくれます。質問してくれた人にだけでなく、その日参加している人たちに対しても答えています。ひとりで話しているところを撮影してもらうのとは全く違うのです。周りの人たちを意識するということは、動画を見て下さる人のことを意識していることにつながります。僕にとっては、少し緊張しますが、脳が活性化するとてもいい時間になっています。普段考えてもいなかったことが、質問と対話によって引き出される、この感覚がとても好きなのです。
 You Tubeにアップするための編集作業と、動画にふさわしいタイトルの検討は、大阪吃音教室の仲間の制作です。みんなで検討したタイトルをつけた編集が終わり、公開することになりました。

 今年は、全ての質問が、就職に関係しているので、動画のタイトルを「吃音と就職Q&A」としました。就職を目前に控えた学生だけでなく、就職できるだろうかと子どもの将来に不安をもつどもる子どもの保護者や、どもる子ども自身にも、考えていただける内容になっています。
 多くの人に観ていただきたいと思っています。ぜひ、ご覧下さい。また、興味がありそうな人にぜひ紹介して下さい。
 8つの動画のタイトルを紹介します。

吃音と就職Q&A
1.入学時から始まる就職活動…高校や大学に入学した直後から、就職の準備を始める 
2.学童期から始める仕事の話…学童期から仕事や就職について考える
3.学校の就職セミナーの活用…学校の就職セミナーは、あくまで練習の場と考える
4.自分の強みの育成…学力、体力、対人関係力など自分の強みを育成する
5.自分の吃音を語る力…吃音に悩みながらどう生きてきたかを語れることは、面接の大きな武器になる
6.自分が納得できる人生…自分が納得できる人生を送るために、就職活動は粘り強く挑戦する
7.好きな道で苦労をする…できるだけ早く自分が好きなことをみつけて勉強する/話すことが多い仕事をすることがお薦め
8.吃音理解を求める前に…自分の吃音をどう理解してもらいたいかを整理し、語れるようにしておく/どもらないようにするための言語訓練ではなく、相手に伝わるようにするための日本語のレッスンは必要

1.吃音と就職Q&A「入学時から始まる就職活動」
https://youtu.be/tWbq9m61v-o

2.吃音と就職Q&A「学童期から始める仕事の話」
https://youtu.be/ezis8Z3KsvM

3.吃音と就職Q&A「学校の就職セミナーの活用」
https://youtu.be/TverIfF5y9g

4.吃音と就職Q&A「自分の強みの育成」
https://youtu.be/QEf_5KKIRl8

5.吃音と就職Q&A「自分の吃音を語る力」
https://youtu.be/4qvLydlbJtU

6.吃音と就職Q&A「自分が納得できる人生」
https://youtu.be/ONmyssSpXcE

7.吃音と就職Q&A「好きな道で苦労をする」
https://youtu.be/mXntCsRPx5Q

8.吃音と就職Q&A「吃音理解を求める前に」
https://youtu.be/4Gi6Pa3DmwY

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/07/26