「どもって声が出ないときの対処法」の講座の紹介の最後になりました。挨拶やお礼を言うとき、朝礼の場面です。改めて、実際に使っているたくさんの対処法を聞き、それを選択肢として持っておくことが大切だと思いました。
どもって声が出ないときの究極の対処法は、自然にどもること。これは、僕が長くどもってきて、みつけた、どもりと上手につきあうコツのひとつです。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/7/15
どもって声が出ないときの究極の対処法は、自然にどもること。これは、僕が長くどもってきて、みつけた、どもりと上手につきあうコツのひとつです。
大阪吃音教室だより
どもって声が出ないときの対処法 2015.11.6
◎挨拶やお礼を言うとき
・声が出ないときは会釈をする。
・「ありがとう」がでなければ、「いただきます」「うれしいです」など他の言い方をする。
・「どうも」をつけて、「どうも、ありがとうございました」と言う。
・「あ」を省略して、「りがとうございました」と言う。
・感謝の気持ちが伝わればいいので、声が出ないときは笑顔でにっこりほほ笑む。
・お礼が言えなかったときは、後日「おいしかったです」など、感想を言う。
◎朝礼
・開き直って、ひどくどもりながらでも言う。
・朝礼でどもっても、落ち込みを最小限にして、他の仕事をがんばる。
香川 : 朝礼での唱和を、逃げたり、誰かに代わってもらったりしたこともありますが、以前の朝礼でみんなの前でどもって笑われたことで、みんなにどもることを知られてしまったので、その場でどもっても、笑われてもいいと思って開き直って言いました。そんなふうに思えたのは、大阪吃音教室にきて、吃音の知識を深めたり、「どもった方が面接で印象に残る」とか、「どもったけど面接に合格した」などいろんな人の体験を聞いたりできたのが大きいです。
東野 : 朝礼でどもって唱和をしたっていうのが良かったですよね。それがなかったら、ずっと逃げていたかもしれませんよね。
香川 : どもりをみんなに知られるのが悪いことだけではないと思います。
森 : みなさんからさまざまな対処法を聞いて、どもってもなんと乗り切ろうと、日々サバイバルしておられる様子がよくわかりました。「究極の対処法はどもること」だと思います。ひどくどもっても、なんとかなる場面が多いと思います。
《講座の担当者の感想》
この講座を初めて受ける人がわりと多かったようですが、みなさんが活発に発言してくださったので、さまざまな対処法が出ました。「こんな対処法があるんだ」と知っておくだけで、安心できるので、もし使えそうなものがあれば参考にしていただけたらと思います。
昔、一人で悩んでいた頃は、吃音を治すことばかり考えていて、どもりは恥ずかしいもの、どもっていたら仕事ができないと思い込んでいました。でも、大阪吃音教室と出合って、どもりが治らなくても他に努力できることはたくさんあるし、どもりでも豊かな人生が送れることを実感しました。
以前、伊藤さんが「どもって声が出なくなったときの対処法はどもること!」とおっしゃっていた言葉がとても心に残っていますので、「究極の対処法はどもること」で講座をしめくくりました。(了)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/7/15