伊藤伸二の吃音(どもり)相談室

「どもり」の語り部・伊藤伸二(日本吃音臨床研究会代表)が、吃音(どもり)について語ります。

2014年09月

北海道言語障害児教育研究大会 渡島・函館大会


 今から北海道です。どもりについて話してきます

 明日から、北海道のことばの教室の先生の年に一度の研究大会が開かれます。
 先月は、札幌市での吃音の研修会でも講演したのですが、今回は、大会記念講演です。私の「吃音はどう治すかではなく,どう生きるかだ」として、言語訓練をしないで、子どもと対話をし、生き方をともに探る、日常生活の困難さを、子ども自身が研究者となって取り組む」との考えは少数派です。

 その少数の私の考えを聞いて下さる人がいるというのは、とてもありがたいことです。難聴・言語障害教育はも全国難聴言語障害教育研究協議会の全国大会と、地域の大会があります。
 全国大会は昨年鹿児島でありましたが、記念講演をさせていただきました。以前、熊本で開かれた九州大会でも記念講演をさせていただきましたので、全国、九州、北海道の3つの大きな大会の記念講演をしたことになります。少数の考え方の僕の話を聞いて下さる人がいること、本当にありがたいことです。

 今回は、特に力が入り、講演原稿をしっかり考えました。不器用な僕は、ひとつのことにとりかかると、他のことがまったくできなくなってしまいます。吃音親子サマーキャンプの報告もしないままに、北海道の講演にとりかかっていました。函館から帰れば、少し時間の余裕ができます。
 ぼちぼちとこのブログも更新して行きます。

 昼には、函館です。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/09/11

大阪教育大学の、最後の集中講義


 吃音学、人生を語り合った大学

 「どもりを治す、少しでも改善する」の声がほとんどの中で、僕の提案する「吃音と共に豊に生きよう」は、極めて少数派の考えだと思います。
 どもり(吃音)について、話をさせていただけるのであれば、どんな小さな集まりでも行って話したいと、お坊さんの辻説法のように、僕の考えていることの布教活動をしたいと、ここ数年とても強く考えるようになりました。だから、講演や研修会に呼んでいただいても、できるだけ時間をほしいと考えています。それが伝わったのか、先だっての、東海四県難言大会の吃音分科会でも、普通は助言者は20分と計画されているところを45分ほど話させて下さいました。申し訳ないいような、でも、聞きたいと言って下さったのでありがたいことでした。

 30時間という集中講義は僕にとって、とてもありがたい時間です。4日間でするところを3日間で収めるために、今回は、朝の9時から、夕刻6時まで、じっくりと吃音をテーマに学生と話し合いました。僕は一方通行の、話すだけの講義はしません。僕が話し、感想をいってもらったり、質問をしてもらい、それをもとに議論を深めていきます。

 大阪教育大学の特殊教育特別専攻科は、現職の教員の一年間の研修を主な目的としてしているので、受講生のほとんどは、現職のベテラン教員です。実際に特別支援学校や、特別支援教室、ことばの教室の経験のある人たちです。これまでは通常学級だったのが、一年の研修の後、その方向に進みたいと考えているひとたちなので、真剣です。

 もともと僕は、大阪教育大学の専任講師でした。大学を退職して、カレー専門店のオーナーシェフになつたのですが、大学をやめてからしばらくして、カレー専門店のアイドルタイムに大学に非常勤講師として講義に行くようになりました。昼の忙しい時間が終わってから大学に行っていました。よく行っていたなあと思います。カレー専門店を止めてからは、集中講義で4日間ゆくようになりました。25年ほどになるのでしょうか。

 集中講義の最終日に、カレーを作ったこともありました。僕との出会いから、自分を見つめ直して、1冊の本を書いた人がいました。東京から民間放送のTBSが取材に来て、一日カメラが廻っていたこともありました。たくさんの人と出会い、たくさんのことを語り合いました。それが昨年、非常勤講師にも定年があり、昨年で終わることになっていたのですが、今年、もう一年話す機会を与えられました。とてもうれしいことでした。

 古い校舎の大阪教育大学平野分校から、統合されて柏原に新しい校舎ができて、20年だそうです。その一年目、駅から大学までの坂道のあまりの長さにおどろいたことが、思い出されます。

 たくさんの学生、といっても現職の教員ですが、教育について、障害について、人生について、いろいろと議論できた場が、今年でなくなると思うと、とても寂しいきもちになりました。3日間〜4日間集中して長い時間話せる場がなくなりました。人生道場のような、そんな場ができたらいいなあと思ったりします。

 今年も、講義が終わってから、是非話を聞いて欲しいという学生がいて、その話をきいていたために、もう真っ暗になった、大阪教育大学の学舎に別れを告げました。もう二度とくることはないでしょう。
 長い間、いろいろとありがとうとこころでつぶやきながら、車を走らせました。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/09/05
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