読売新聞の人生案内で、三木善彦・大阪大学教授が紹介してくださったことをきっかけに、他の新聞でも、冊子『吃音と上手につきあうための吃音相談室』を紹介する記事が掲載されました。冊子の注文が殺到し、相談の電話もたくさんありました。治す・改善するということではなく、つきあうという方向の僕たちの考え方・哲学を理解した上での掲載記事はうれしいものでした。
 当時は僕たちの活動が紹介されることが多かったのですが、最近は、全国で様々な活動が展開され、本の出版も多いため、僕たちの活動が紹介されることはほとんどなくなり、寂しいことです。いい記事ならいいのですが。
 「スタタリング・ナウ」NO.61(1999年9月)で紹介している新聞記事を紹介します。

2,000通の手紙と200本の電話、4,000部完売

スタナウ57〜62 新聞記事_0001 読売新聞の『人生案内』で三木善彦・大阪大学人間関係学部教授が女性への相談に答える形で紹介した、吃音ガイドブック『吃音と上手につきあう吃音相談室』。
 前々回750通の反響として紹介しました。その後、朝日新聞の全国版で紹介され、その反響も大きくこれも1000通を越えました。合計2000通をはるかに越える反響だったのが、また、その反響が大きかったことが記事になり、また沢山の問い合わせ、注文が殺到し始めました。
 10部、20部と注文することばの教室もあり、2000部、1500部、1000部と版を重ね、現在4000部を完売しました。
 これまで、私たちの活動はよく新聞やNHKテレビなどで紹介されましたが、このように大きな集中的な反応は初めての経験です。掲載された新聞記事を紹介します。


吃音と上手につきあう法 提案
 言葉がつまる吃音に悩む子どもや親のためのガイドブック「吃音相談室」が発行された。「治す」ことよりも「上手につきあって生きる」ことに重点を置いている。
 発行したのは、相談活動などに取り組む日本吃音臨床研究会(大阪府)。代表の伊藤伸二さんらが書いた。「お母さんへ」「学級担任の先生へ」「十代の君たちへ」などの章で、著者自身の体験をもとに、手紙の形式で語る。
 「一緒に考えていきましょう」と当事者の立場に寄り添う視線があたたかい。
 例えば「親の評価が吃音を作る」という説について。この説に基づいた「『言い直してごらん』などと言ってはいけません」「よい聞き手になって下さい」というアドバイスが親に勇気を与えたと評価しながらも、一方で「子どもの吃音は自分の子育てのせいだ」と育児に自信をなくす親も生む結果にもなった、という。そして「どうかご自分を責めないで下さい。いたずらに過去を振り返るより、これから子どもとどうかかわれはよいかを考えていけばよいと思うのです」と助言する。
 ドキッとする指摘もある。
 子どものときのある人の体験を引きながら、いじめっ子にも傷つけられたが、「代わりに本を読んであげようか」という「やさしい子」にもっと傷つけられた、というのだ。「配慮が相手を傷つけることもあり得るという想像力を持ちたい」
 伊藤さんは「吃音に悩んできたひとりの人間が自分の人生を振り返り、自分を整理し、ひとつの提案としてまとめた」と話している。
 また、同研究会は三十日から三日間、吃音で悩む親子向けに滋賀県でサマーキャンプを予定している。演劇の練習や野外活動を通して、親子で交流する。一人一万五千円。申し込みは、はがきかファクスで。二十日締め切り。(朝日新聞 1999年7月13日付け)
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親の会パンフレット表紙 冊子『吃音と上手につきあうための吃音相談室』は、すでに絶版となり、今は、NPO法人全国ことばを育む会から『吃音とともに豊かに生きる』として発行しています。1冊700円(送料含む)です。ご希望の方は、700円分の切手を同封して、日本吃音臨床研究会へお申し込みください。〒572-0850 寝屋川市打上高塚町1-2-1526

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/02/01