10月8・9日、吃音哲学〜吃音の豊かな世界への招待〜をテーマとした第5回新・吃音ショートコースを開催しました。
 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会、吃音親子サマーキャンプに続く、僕たちが大切にしている秋のイベントです。これも、コロナのために中止が続き、3年ぶりの開催でした。

 今年は、全て、対面で開催することができました。セルフヘルプグループ型の僕にとって、直に出会い、参加者の顔を見ながら、ことばや表情の温かさや豊かさを感じながらのミーティングは、何にも代えがたい大切な時間だったことを改めて感じました。
 参加者は、大阪吃音教室のメンバーが多かったのですが、遠く千葉や東京、山口からも参加してくださいました。16名の参加でした。
 申し込んではキャンセル、申し込んではキャンセルを繰り返した会場の寝屋川市立市民会館は、僕の地元です。初めてこのような集まりの会場として使用しました。広めの会場を予約していたので、ゆったりと使うことができました。

吃音SC    2 8日(土)午後、参加者の自己紹介から始まりました。名前、どこから来たのか、このショートコースで経験したいこと、ちょっとした自己開示など、さらーっと回るかと思ったら、そうはならず、何度も立ち止まり、立ち止まったところから、広がり、深まり、いろんな話が飛び出しました。最初から、豊かな吃音の世界にみんなで入っていったような感覚でした。

吃音SC 1 ホワイトボードの左に、参加者の吃音ショートコースで何がしたいかのリクエストを書き挙げました。2日間で、この全てを、なんとか行うことができました。僕はこのようなリクエストが大好きです。随分昔ですが、藤山寛美が会場に来た人のリクエストで新喜劇の舞台をしていました。これは、劇団員全員がいくつもの演題をいつでもできるようにしておかなければならず、大変なことです。僕の場合は一人で話すのですから、楽です。講演会は、いつもそのような形にしたいくらいです。さて、みんなからのリクエストは、次のようなことでした。

・竹内レッスン…からだほぐしで脱力し、身体の緊張をほどいて対話に入ったら面白そう。可能なら声出しのレッスンもしてみたい。
・今、会社勤めで、教育の現場に関わっているわけではないが、住んでいる地域で、どもる子どもたちと交流を持ちたいと考えている。何かよいアイデアがあれば。
・もし、「何が何でも吃音を治したい。どもっている自分はだめだ」と、自分の吃音を受け入れず、吃音を治すことに必死な人に出会ったら、どう声をかけるか。
・20年間くらいどもりを否定してきたので、日常生活でどもらずにしゃべる自分なりの調整方法を持っている。最近は自分の吃音を受け入れつつあるので、時々連発でどもるが、まだまだ「どもれない体」になっていると思う。「どもれる体」になりたい気もあるが、どちらが自分にとって生きやすいのか分からない。「どもれる体」に変化した人の話を聞いてみたい。
・他の人が考えていることを共有してもらって、学びたい。
・「コミュニケーションとどもり」「対話とどもり」をテーマに話したい。そう思った背景は、どもる人の話を思い出しているとき、その人はどもっていない。どもり方に注意を向けると思い出すことができるので、忘れているわけではない。話の内容が重要でどもり方は重要ではないということだろう。一方、どもることに馴染みのない人は、内容よりどもり方に驚き、どもることばに注意が向いてしまうのだろう。また、記憶に残る魅力的などもり方をする人もいる。
・吃音で良かったことを考える
・来年度の「ことば文学賞」のテーマを考える
・文章の書き方講座
・吃音とは直接関係ないかもしれないが、コロナ禍の生活の中で考えたことや悩んだことなどについて、共有できたらと思う。
・どもる人が職場や地域などの社会で、力強く前向きに生きている様子、またサバイバルしている体験を聞きたい。

 なんともバラエティに富んだ内容が並びました。関係ないようで、どこかでつながっていて、おもしろい時間になりました。まじめに考えたり、大笑いしたり、いつもの僕たちのスタイルで濃い時間を過ごしました。竹内敏晴さんに教えていただいたからだ揺らし(ぶら下がり)や、歌を歌うこともできました。
 毎週金曜日の大阪吃音教室の開催時間は、2時間くらいと短いです。時間を気にせず、ゆったりと過ごせるこの新・吃音ショートコース、来年も開催しますので、今回、参加できなかった人、どうぞ、来年、ご一緒しましょう。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2022/10/10