僕は、いつまでたっても、インターネットやパソコン関連は不得手なままです。いろいろな人に助けていただいて、ブログやフェイスブック、ツイッターに投稿してきました。投稿の元になっているのが、ブログなのですが、契約していたライブドアからの連絡で、僕のこのブログのURLが突然変更になり、読めなくなった方がおられるのではないかと思います。
読めなくなった方に、どうして伝えたらいいのか分からないのですが、なんとか探して、ここへたどり着いてくれること、願っています。
日本吃音臨床研究会のホームペーシの伊藤伸二のブログをクリックしていただくと、ブログに飛ぶことができます。下記のURLを周りの人に、お知らせいただければありがたいです。
伊藤伸二の吃音(どもり)相談室
http://kituon.livedoor.blog/
昨日は、どもる女性の体験を紹介しました。今日も、結婚を控えた女性の体験です。どもる彼女が自分の吃音をなかなか受け入れられず、どもらない彼が彼女の吃音を受け入れているという、おもしろい体験です。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/5/17
読めなくなった方に、どうして伝えたらいいのか分からないのですが、なんとか探して、ここへたどり着いてくれること、願っています。
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伊藤伸二の吃音(どもり)相談室
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昨日は、どもる女性の体験を紹介しました。今日も、結婚を控えた女性の体験です。どもる彼女が自分の吃音をなかなか受け入れられず、どもらない彼が彼女の吃音を受け入れているという、おもしろい体験です。
どもる不安からどもる勇気へ
沢田由希子(さわだゆきこ) 会社員、27歳
私は来年春、5年つき合った彼と結婚する。私は5年つき合っている間、私が吃音だということを言っていなかった。
私の場合、みんなの前で発表したり、みんなの前で音読したり、電話したり、緊張すると、初めの言葉が出にくくなり吃音がでる。家族や彼や親しい人などと話をする時は、時々言いにくい時はあるけれども、ほとんど言葉が簡単に出る。普段は言葉が簡単に出るので、周りの人は私が吃音だということは気づいていないだろう。
デートでご飯を食べに行って食べたいもののメニューが言いにくいとき「これ」と言ったり、話をしていて言葉が出にくかったら言いやすい言葉に換えたり、また話すことを止めたりもしていた。自然と彼にどもりだということがばれないようにしていたのだと思う。
でも、結婚すると決まり、私は彼に私が吃音だということを言わなければと思っていた。でも言い出せなかった。
私は特に仕事場での吃音でずっと悩んでいた。そして大阪吃音教室に通うことを決めた。大阪吃音教室に通うとなれば私が吃音だということが彼にばれる。だからこれをきっかけに彼に私が吃音だということを伝えた。やはり彼は5年つき合っていたのに私の吃音に気づいていなかった。
「吃音なんて全然気づかなかった。そんな、ひどくないやん」と彼に言われた。「ひどくないやん」と言われて、少しむきになり、話しにくい時は色々自分なりに小細工してきたのだから…と心のなかでつぶやいた。でも私自身、5年もばれていなかったことに驚きである。注文するとき「これ」とごまかしていたことや、言いにくい言葉は言い換えをしていたことを彼に説明した。彼は「そんなことしてたん?」という感じだった。
私は吃音でない彼にどもる人の苦しみを話しても全部は分かってもらえないと思った。
でも私が吃音だということを知ってもらい、気が少し楽になった。
そして、6月の初めに両家の顔合わせをした。顔合わせの日にちが決まった時から私は、上手く喋れるかと不安と心配の毎日だった。
顔合わせの当日、彼と父の日も近いのでお互いの父に服をプレゼントしようということでお店で服を選んでいた。選んでいる時も頭の中はどもらずに話ができるかいっぱいいっぱいで服を選んでいる場合ではなかった。我慢できなくなり、彼に「顔合わせの時、絶対どもるわあ。多分自分のお母さんを紹介する時、名前言えないわ。どうしよう」と言った。彼は「そんなん、どもってもいいねん。どもってあかんことないねんから。落ち着いて言えばいいねん。どもってでも話すことが大事やねんから」と言ってくれた。少しはホッとしたものの私は不安で落ち着いていられなかった。
そして、顔合わせの時間が来て、母を紹介する時、「母の…。母の…。母の佳代子です」やっぱり佳代子ってなかなか言えなかったけど、最後は言えた。その後も、何回か言葉が出にくいこともあったけど、そこまで時間かからずに言えて、無事に顔合わせは終わった。
家に帰ってから、彼に「やっぱりどもってしまったわあ」とメールをした。彼のいる前で一番言葉が出なかったから、彼からどんな返事がくるか怖かった。そして自分の中で「どう思われたやろう。嫌われたんじゃないか」など色々想像して不安になっていた。そして、彼からメールが来た。「どもってでもちゃんと話してたやん。周りはそんなに気にしてないもんやで。ユキはどもっていてもユキやねんから。どもっていいねん」とメールを読んで、安心したと同時に、私よりも彼の方が吃音について受け入れられているように感じた。
吃音を隠すことで一生懸命だったり、どもったらどうしようとばかり考えている吃音の私。どもってもいいと思っている吃音でない彼。
それから彼と吃音について話すことが多くなった。今まで吃音について話すことは全くなかったのに…。
どもる人はどもることがありのままの自分。無理することはない。自分のできる範囲で頑張ればいい。流暢に話そうと格好つける必要はない。どもってでも言いたいことは言えばいい。どもることは悪くない。吃音に限らず、人間には完壁な人はいない。人は人それぞれ悩みや弱いところがある。世の中に一般的に凄いと言われる人がいるけれども、自分の悩みや自分の弱いところを人に言えるということが本当の凄いということだ。と彼は私に話してくれた。
私はまだ大阪吃音教室に来て日が浅いので、正直、自分の吃音について受け入れられていない部分がある。これから毎週大阪吃音教室に通って自分の吃音を受け入れられるようになりたい。吃音でない彼が受け入れられて、吃音の私が受け入れられないはずがないだろう。
自分で自分の吃音を受け入れて、勇気を出して堂々とどもれるようになりたい。
(2011年)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2021/5/17